グラディウスミニ卓上筐体の製作 その2 - レーザー加工機を使って工作 | Arcade Cabinet

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自作したゲームコントローラを紹介します


今日は仕事が休みだったので、筐体製作を少し行いました。
筐体の基本構造は以前製作したゼビウスミニ卓上筐体とほぼ同じです。

今回はレーザー加工機による木工について、詳しく書いてみたいと思います。


数年前、私がレーザー加工機を使いはじめた時、本当はお手本となる参考資料があるとよかったのですが、うまく見つけることが出来ませんでした。結局、自己流で試行錯誤を繰り返しながら、なんとか使えるようになり今に至ります。
今までブログに作業工程を公開していますが、実際には公開できなかった失敗がかなりあります。作業の中には誤った使用方法や危険作業もあるかと思いますが、全て自己責任のもと作業しています。

一般的なレーザー加工機の使用例でよく見かけるのは、上の写真のような木材への文字やイラストの彫刻ですが、私が普段使っているのは切断モードでの使用です。


レーザー加工機は、プリンターと同じ感覚で木材やアクリルをカットできるのですが、そのためには、まずイラストレーターなどのドローソフトで、設計する必要があります。
レーザー加工にによる木工作業の約7-8割はこのドローソフトでの設計になります。
私の場合は、筐体製作のほとんどの時間をこの設計に費やしています。
上写真はiDraw(イラストレーターのようなMacのドローソフト)の編集画面です。製作は平面図での作業になります。3D CADが使えればもっと楽に設計できるのでしょうが、使えないので立体の完成図を頭の中で想像し平面図で設計しています。


レーザー加工機のワークエリアは、上写真にあるハニカムテーブルの範囲内になります。
基本的にこのサイズを超えるものは加工できません。この加工機は600x400mmのワークエリアがあります。よって筐体の側面のような600x400mm以上の大きさのパーツを作るときは複数のパーツをカットし組み合わせる必要があります。



コンピューター制御で木材をカットする別な方法にCNCルーター(使ったことも見たこともないのですが)があると思います。
レーザー加工機の利点は切り口が非常に細いため、きれいに四角く切り抜くことができます。上写真のように鋭角に切り抜くことも可能です。
欠点は厚い素材はカットできないことです。レーザー管の出力にもよりますが、30wのレーザー管だとMDFは2.5mmぐらいまで、50wだと5.5mmぐらいまでのカットが現実的です。それ以上厚いものをカットする場合は焦点距離を変えながら同じ箇所に複数回レーザーを当てることになります。また切断面が焦げて黒くなるのも欠点ですし、素材を蒸散させながらカットするという構造上、素材によってはものすごい臭いがします。室外で使用するのが良いかと思います。


私のレーザー加工機にはCorelDrawのプラグインソフトがあります。まずiDrawで設計したデータをPDFファイルで保存し、CorelDrawでPDFファイルを読み込んで、プラグインソフトを介してレーザー加工機に出力するシステムになっています。
カットするスピードは結構遅く4-6mm/秒のスピードでカットします。


まず筐体の側板のカットです。
側板は554x493mmのサイズなのではみ出る部分は上写真のように複数のパーツに分離してカット。


こんな感じにパーツに凹凸をつけたらカットしたあと綺麗に接合できます。


側面の板は5.5mmのMDFを異なる組み合わせで3枚カットし重ねて16.5mmになります。


木工ボンドをやや多めにつけます。


ヘラで木工ボンドを広げます。


ずれないようにあり合わせ、固定します。
ボンドが乾くまで半日間待ちます。


その間に他のパーツをカット
なるべく余白を少なくして廃材の量が少なくなるように設計します。


切り出したパーツです。


切断面は真っ黒で触ると手が汚れるのでウェットティッシュなどで綺麗に拭いています。


パーツの設計に間違いがなければきちんと組み立てることができます。
筐体上部のマーキーの部分です。


カット面が黒くなるのと、パーツを組み立てるために彫り込んだ穴が不細工なのでパテで補修


いつも使っている穴埋めパテです。


角を丸くしたいため、大雑把にカンナで削ります。


そのあとに、紙やすりでパテも含め表面を綺麗にします。


紙やすりで角を丸くし穴を埋めたパテの表面を平滑にしたところです。


次はコントロールパネルです。
この筐体はファミコン、スーパーファミコン、メガドライブ、PS1など接続するつもりで作っています。PS1のボタンに準じて設計しました。


パーツの切り出し


パーツを組み立てます。コントロールパネルのような力が加わる場所は木工ボンドとネジの両方で固定しています。


ボンドを多量に使います。


しっかり固定


パネルは角ばっていると手が痛いので、丸くカンナと紙やすりで削りました。


側面の板がしっかり接着できたら、表面をビニールシートで化粧します。
ゼビウスミニ卓上筐体の時は艶消しブラックのラッカーで塗装しましたが、楽なのでシートを貼りました。


側面に掘っていたパーツをはめ込む溝の部分のシートをカッターで切ります。


こんな感じ


掘った溝にこのようなパーツをはめ込みます。
4歳の末娘がいつも手伝ってくれます。


側面の溝にパーツをはめ込むことで市販のL字金具を使うより強度があると思われます。


反対側から見たところです。


子供が手伝ってくれたので3倍ほど時間がかかりました。


どんどん組み立てます。



パーツのネジ穴はあらかじめレーザー加工機で開けているのですが、このようなドリルを使ってネジ穴にY字型の溝を付けます。


こんな感じに


するとネジが綺麗にパーツにはまり込みます。


このくらいになると嬉しくなります。
ゼビウスミニ卓上筐体に並べてみました。


レーザー加工機はカット面が黒くなるため、そのままではエッジが汚いので化粧が必要です。以前から使用しているTモール用の溝をトリマーで掘りました。
以前、トリマーで指が飛びそうなほどの怪我した経験があります。
非常に危険なため、一番、神経を使う工程です。


設計段階では頭の中だけで立体構造を想像し作っているので、このくらいまで作らないと、思った通りの形だったかどうかわかりません。
気に入らないと全て分解して処分しないといけないのですが、今回は思った通りにできました。

続く・・・。