【見せすぎない家】は、なぜ心に残るのか?
深い軒と格子がつくる和モダン住宅の設計とデザインの効能。
大きな窓がある家は、明るくて開放的。
そう思ってつくったはずなのに、
道路や隣家からの視線が気になり、
昼間もカーテンを閉めたままになっていませんか?
「明るい家にしたい」
「庭を眺めながら暮らしたい」
「でも、外から丸見えになるのは落ち着かない」
奈良で家づくりを考える方からも、
よく伺う悩みです。
開放感とプライバシーは、
どちらか一方を諦めなければならないのでしょうか。
私は、そうではないと考えています。
【大切なのは、窓の大きさより“どこへ開くか”】
道路側に大きな窓を設けても、
外からの視線が気になれば、
カーテンを閉める時間が長くなります。
そこで考えたいのが、
窓の数や大きさではなく「視線の行き先」です。
道路側は壁や格子、植栽によって穏やかに閉じる。
その一方で、中庭や奥庭、空が見える方向へ開く。
外からは暮らしが見えにくく、
室内からは光や緑を感じられる。
この関係を整えることで、
守られる安心と内側の開放感を両立しやすくなります。
深い軒が、家に落ち着きをつくる。
深い軒は、夏の日差しや雨を
遮るためだけのものではありません。
軒の下に生まれる影が、
外と内の間にやわらかな境界をつくります。
明るい庭から、少し暗い軒下へ。
そして、落ち着いた玄関や室内へ。
帰宅する人の気持ちを、
外の緊張から家の安堵へと静かに切り替えていく。
深い軒には、
そんな心理的な役割もあると考えています。
格子は、隠すためだけのものではありません。
格子の向こう側は、完全には見えません。
けれど、光や人の気配、庭の緑は、
わずかに伝わってきます。
すべてを遮断する壁ではなく、
見えるものと見えないものの間を整える存在。
日本の美意識には、
余白や間、陰影、奥ゆかしさがあります。
格子や深い軒を使うから
和モダンになるのではありません。
何を見せ、何を見せすぎないのか?
光をどこから迎え、影をどこに残すのか?
その一つひとつを、
現代の暮らしに合わせて考えることが、
和モダン住宅の本質だと思っています。
上質な家は、高価なものを集めた家とは限りません。
高級なキッチンや大きな窓、
高価な素材には、それぞれ魅力があります。
ただ、それらを多く採用すれば、
必ず心地よい家になるとは限りません。
グレーの塗り壁。
濃淡のある格子。
深い軒が落とす影。
石のアプローチと、季節を映す植栽。
色や素材の数を整え、
見せたいものを丁寧に選ぶことで、
静かで品のある佇まいが生まれます。
大切なのは、価格の高さではなく、
その素材や空間が暮らしにどのような感覚をもたらすかです。
家の形を決める前に、考えてほしいこと。
和モダンの家にしたい。
中庭が欲しい。
ホテルのような空間で暮らしたい。
そうした希望の奥には、
ご家族が本当に求めている気持ちがあります。
外からの視線を気にせず過ごしたい。
忙しい毎日の中で、心を落ち着かせたい。
家族の気配を感じながら、一人の時間も大切にしたい。
その気持ちまで整理すると、
必要な窓や格子、軒、庭、空間のつながり方が少しずつ見えてきます。
住まいづくりは、
要望をできるだけ多く詰め込むことではありません。
そのご家族にとって、
本当に必要なものを一緒に見つけ、
暮らしの輪郭を整えていくことだと考えています。
オフィシャルブログでは、
窓・陰影・素材・色・環境心理の視点から、
「見せすぎない家」が心に残る理由を、
より詳しく書いています。
これから家を建てたい方。
新築かリフォームか迷われている方。
和モダンが好きでも、
自分たちに合う形がまだ分からない方。
答えを急いで決める前に、
これから家でどのような気持ちで
過ごしたいのかを考えてみてください。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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