廃業と休眠、倒産の違い | 資金繰り 事業再生 M&Aアーク司法書士法人@代表社員 李 永鍋(リ ヨンファ)のブログ

廃業の休眠・倒産と比べた際の相違点

廃業の検討をする場合、一旦会社の事業活動を停止する休眠という方法もあります。

廃業の検討に時間がかかり、会社の経営状態が悪化すると、最終的に倒産という結果になることもあります。

会社の休眠、倒産について廃業との相違点を説明したいと思います。

休眠とは
会社の休眠とは、会社を登記上存続させたままで、経営や事業活動を一時的に停止させることをいいます。

事業活動を一時停止している会社を休眠会社と呼びますが、税務署などに対して、所定の手続きを行った自主的な休眠と、登記の放置などで自動的に休眠会社として扱われる場合があります。

会社を休眠させる手続きは、期限は特に設定されておらず、休眠を決めたタイミングで税務署などへ書類を提出すれば手続きは完了します。

自動的に休眠会社として扱われる場合は、登記を放置した場合です。

株式会社の場合、最後の登記から12年が放置すると、長期間事業活動を行っていないと判断され、休眠会社として扱われます。

休眠は事業活動の一時停止
休眠の場合、会社の事業活動を一時的に停止するだけで、会社は消滅しません。

休眠となっても、環境や状況が変われば、会社を再開させることができます。

事業活動の停止の原因が、一時的なものであれば、廃業ではなく休眠を選択するという方法もあります。

「経営者の健康状態が悪化し、一時的に会社経営が困難なとき」や「経営環境の一時的な悪化により、事業活動が行えないとき」「複数の会社経営をしていて、そのうちの1社の経営を停止したいとき」など、事業の再開を検討する余地があるときは、休眠を選択も考えたいところです。

休眠中、会社を存続したまま事業活動を停止できるといっても、会社が不動産を所有している場合は、固定資産税が発生しますし、毎年税務申告を行う必要もあります。

休眠中、従業員をどうするか、店舗を契約している場合はどうするかなど、処理する問題は多く、手続き自体は簡単なものの、実際の作業は大変です。

倒産とは
会社の倒産とは、会社が経営破綻し、債務の支払いが困難となった状態や債務超過をいいます。

廃業が、自ら事業をたたむのに対し、倒産は、事業を続けることができなくなる状態です。

倒産自体は状態を指しますので、選択できるわけではありません。

そして、倒産となった状態で選択できるのは、倒産手続きです。

倒産手続きには、民事再生や会社更生などの再建型と、破産などの清算型の2種類に分かれます。

再建型には、様々な条件をクリアする必要があるため、一般的には清算型の法人破産を選択することになります。

法人破産という選択
法人破産と聞くと、マイナスイメージが強く、どうしても避けたい選択だと捉えると経営者も多いと思いますが。
会社の状況によっては、法人破産を選択することも検討する必要があります。

法人破産は手続きが複雑ですが、清算手続きによって債務をゼロにすることができる法的手続きです。

会社の資産はすべて現金化され、債務に充てられますので、何も資産は残りません。
会社の経営状況が悪く、自主廃業では債務返済の見通しがつけられないときは、法人破産の選択もできます。

法人破産は債務をゼロにできるというメリットだけではありません。

中小企業の場合、会社の債務について経営者自身が連帯保証人になっていることが多く、そのような場合、法人破産の手続きとともに、経営者個人も自己破産することがほとんどです。

個人破産の場合、経営者個人の持ち家などの資産も現金化され、債務に充てられます。

法人の破産手続には、費用もかかりますので、費用を捻出できる余力がある内に、弁護士等専門家に相談してください。

※注 
任意清算 任意売却 リースバックの組合せで、資産を残せる場合もあります

アーク司法書士法人では良く説明した上で破産するかどうか選択してもらってます

破産は義務ではなく権利です