事業者むけファクタリングに注意 | 資金繰り 事業再生 M&Aアーク司法書士法人@代表社員 李 永鍋(リ ヨンファ)のブログ

事業者むけのファクタリング注意


中小企業などを狙い、貸金業登録を受けていない者が、ファクタリングを装って、業として、貸付け(債権担保貸付け)を行っている事案が増えてます。


 1 ファクタリングとして勧誘を受けたが、契約書に「債権譲渡契約(売買契約)」であることが定められていない


 2ファクタリング業者から受け取る金額(債権の買取代金)が、債権額に比べて著しく低い

などのケースは、ファクタリングを装った貸付けの疑いがありますので、十分注意してください。


 ファクタリングであっても、経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなものについては、貸金業に該当するおそれがあります。


 譲渡した債権の回収(集金)がファクタリング業者から売主に委託されており、売主が集金できなかった場合に、


 1売主が債権を買い戻すこととされている

 2売主自身の資金によりファクタリング業者に支払をしなければならないこととされているなどといったようなものについては、貸金業に該当するおそれがあります(貸金業の該当性については、契約書の文言だけでなく、経済的側面や実態に照らして判断されるものです。)。



 (参考)

 裁判例においても、


〇 ファクタリング業者が債権回収のリスクをほとんど負っていない


〇 債権の額面と無関係に金員の授受がなされていた


〇 売主は、買戻しを行わざるを得ない立場にあった


〇 債権が回収不能となった場合には代金を減額されるなど、債権の回収リスクが売主の信用リスクと同じとなっている


 といった事情等を考慮して、金銭の授受が金銭消費貸借契約に準じるものと判断されたものがあります(大阪地方裁判所平成29年3月3日判決)。


 業として、金銭消費貸借を行う場合には、貸金業登録を受ける必要があります。


悪質な取立ての被害については相談を! 

 悪質な業者から、業務の平穏を害するような取立てが行われるおそれがあります。


 最高裁判所の判例では、権利の実行について、権利の範囲又は社会通念上一般に、忍容すべきものと認められる程度を逸脱するときは違法となり、恐喝罪又は脅迫罪が成立することがあるとされています(参考:最高裁判所昭和27年5月20日判決)。


 悪質な取立ての被害に遭った場合には、警察に相談をお願いいたします。


高額な手数料のファクタリングに要注意!

 

 ファクタリングにおいて、高額な手数料を支払うと、かえって資金繰りが悪化し、多重債務に陥る危険性がありますので、十分注意してください。