事業再生の必要性 | 資金繰り 事業再生 M&Aアーク司法書士法人@代表社員 李 永鍋(リ ヨンファ)のブログ

1 事業再生の必要性

会社が、金融機関から融資を受ける時には、ほとんどのケースで経営者から個人保証をとります。

経営が悪化すると、保証人が追加されたり経営者の友人知人が保証人になったりすることもあり、あげくに会社が倒産してしまえば、その借入金の連帯保証の責任を追及されます。

借金を抱えた経営者や保証人が自己破産をせざるを得なくなったり、夜逃げしたりといった背景にはこのような事情があるのです。

政府は個人保証を制限する姿勢を示していますが、それでも経営者の個人保証が減免されるまでは至っていません。

「事業再生」とは、このような倒産を極力避け、会社を清算しないで債務の一部免除や弁済期の繰り延べなど解決策を見つけながら、事業の再生を目指すことをいいます。


2 私的再生

事業再生を検討する際には、まずは個々の債権者との話し合いで進められる私的再生を目指すべきです。

法的再生(整理)はあくまで最終的な手段として検討すべきです。
なぜまず私的再生を目指すべきなのか。 

3 私的再生のメリット

私的再生は、法的再生(整理)と比較すると、迅速かつ柔軟に手続きを進められるというメリットがあります。
法的再生の手続きには、時間がかかるものが多く、しかも申立てをする際には裁判所に多額の予納金を納めなければなりません。
私的再生では、このような予納金は必要ありません。

法的再生は、裁判所の監督下で行われますが、私的再生は債権者との話し合いで進められるので、取引先などの外部の第三者に知られずに済むというメリットもあります。

4 私的再生の方法

私的再生の方法としては、借入金を削減して再生する方法と、第二会社を利用する方法があります。
いずれの方法を選択するにせよ、まずは借入金の削減が最大のポイントとなります。

1つ目の方法としては、従来の会社のまま事業を継続して債権放棄を受ける方法です。

当然のことながら、債務者にはお金を返さなければならない義務がありますので、単に債権者に「債権を放棄してくれ」と依頼するといった単純な話では済みません。


従来の会社がそのままの状態で債権者に債権の放棄をしてもらうためには、相応の手続が求められることになります。まずは、実現可能な再生計画を作成し、返済可能な最大額を返済することを明確にし、その返済計画が認められてからはじめて、債権放棄を受けることになります。

2つ目の方法としては、資産譲渡、事業譲渡、会社分割などの方法で第二会社に経営を引き継ぐ方法です。
この第二会社は融資を受けることになりますので、そのために金融機関に事業計画を提出して信用を得ることが必要です。

この場合は、第二会社は新しくスタートした会社であり再生会社ではありません。したがって作成すべき計画は、「事業再生計画」ではなく「事業計画」ということになりますので、その点は注意が必要です。