建設業のM&Aや事業譲渡 | 資金繰り 事業再生 M&Aアーク司法書士法人@代表社員 李 永鍋(リ ヨンファ)のブログ

建設業の事業譲渡とは?

課題や注意点について解説


建設業では、人材不足を理由に事業譲渡するケースが多くなってきています。


しかし、建設業が事業譲渡を行う場合、許認可の引き継ぎに注意しなければならないなどの課題もあります。事業譲渡の際は、M&A仲介会社などの専門家に相談しながら進めていきましょう。





建設業の事業譲渡の流れや注意点を解説!許認可はどうなる?


建設業の事業譲渡の概要

まずは、建設業の事業譲渡の概要について解説します。


建設業とは

「建設業」といっても、その業種はさまざまです。大工や左官など、専門工事を請け負う業者は「専門工事業者」といい、建築・土木工事一式を顧客から請け負い、必要な専門工事全体のとりまとめを行う業者を「総合建設業者」といいます。


建設業の仕事の流れとしては、まず発注者からの受注があり、予算見積もりなどの提案を行い、契約を締結します。その後、請け負った工事をそれぞれの工事の専門下請け業者へ依頼し、完成後引き渡しとなります。


建設業は、1つの会社ですべての工事をすることは少なく、元請けから下請け、孫請けと何連にも連なる構造となっており、総合建設業者から専門工事業者へ2次、3次下請けまで存在することも多いです。


工事は国や地方公共団体が発注する公共工事と、個人や民間企業が発注する民間工事があります。


業界の勢力図と近況

建設業界では、「スーパーゼネコン」と呼ばれる清水建設、大林組、大成建設、鹿島建設、竹中工務店の5社が存在しています。いずれも創業100年以上の歴史があり、それぞれが売上1兆円超の規模を誇り、日本国内で不動の地位を築いています。


その下に、会社規模の順に大手ゼネコン、中堅ゼネコンが存在し、さらにその下に各地域で建設業を営んでいる建設会社や工務店が位置します。建設業界は、バブルを頂点とし業界規模は縮小傾向にありますが、近年は2020年の東京オリンピックによる建設需要もあり、業界の状況は良くなっています。



建設業の事業譲渡や事業承継

中小規模の建設会社においては、過去20年で大幅に経営者の高齢化が進んでおり、事業承継はますます課題となっていくものと予想され、後継者がいない企業は廃業となるほかなく、10年間で80万社以上が減少するという調査もあります。


そのため、他企業へ事業を引き継ぐ「事業承継型のM&A」が大きな潮流となっています。国や省庁でも、後継者不足に苦しむ中小企業を救うため、制度の緩和や補助を行う動きがあり、今後も事業承継型M&Aは活発化していくと予想されます。



建設業はM&Aが進みにくい業界

建設業はその特性上、M&Aが進みにくい業界であるといわれています。その理由は、同じ仕事内容でも規模を大きくすることで原材料や労働力のコストを抑える「規模の経済」が働きにくく、事業規模拡大によって公共工事への入札参加資格が制限されるなどがあるためです。



建設業界では現在、人手不足が課題となっており、それを解決するための手法としてM&Aが用いられるようになってきました。現在、国内の就業人口は減少の一途にあります。20歳から65歳の人口が、2000年には約8,000万人であったのが、2060年には約4,400万人まで減少するというデータがあります。



そのような状況において、M&A手法を用いて企業買収を行い、労働者の確保にあたる企業が増え、事業承継型M&Aの需要は増加しています。また、近年ではハウスメーカーがゼネコンを買収するケースもあり、事業拡大や基盤の強化のためのM&Aも行われています。