競売物件に(根)抵当権を連件設定する | 資金繰り 事業再生 M&Aアーク司法書士法人@代表社員 李 永鍋(リ ヨンファ)のブログ

競売物件に(根)抵当権を連件設定する

民事執行法第82条第2項を利用する時とは

この手続は競売によって不動産を取得する時に用います。

競売では一番高い金額を入札した人が、その代金を支払うことによって不動産を取得できます

金融機関から融資を受けて競売物件を落札するとき民事執行法法82条2項の適用です

競売による所有権の移転は、裁判所が法務局に嘱託する嘱託登記によってされます

融資をしている金融機関は当然対象物件に担保をつけたいのですが、嘱託登記による所有権移転と、金融機関による担保設定登記との間に時間差が生じます(連件にならない)

所有権移転に関しては裁判所から法務局、担保設定に関しては司法書士から法務局となり同時に申請していません

民事執行法82条2項は、この時間差を無くすために作られた制度です

民事執行法82条2項の申出を裁判所にすると裁判所から直接送付されていた所有権移転登記の嘱託書を、予め指定されていた司法書士(又は弁護士)が受け取ることができます。

これによって、所有権移転登記と担保設定登記(抵当権設定や根抵当権設定)を同時に連件で申請することができます

所有権の移転と担保設定が連件で申請できます金融機関も安心して融資を実行できます


手続の流れ


物件目録を持参(よく忘れる)

1 管轄裁判所に、嘱託書を交付する司法書士(又は弁護士)を指定した申出書と指定書を提出

2 競売代金を支払う代金納付の当日に、買受人は競売代金を支払う

3 上記で指定された司法書士が裁判所の書記官から所有権移転登記の嘱託書を受け取る

4 司法書士は所有権移転登記の嘱託書と金融機関の担保設定登記を管轄の法務局に連件で申請

5 所有権移転登記の登記識別情報は           法務局→裁判所→買受人の流れで送付されます

6 担保設定の登記識別情報は          法務局→司法書士→金融機関の流れです。


※所有権移転登記は司法書士が法務局に持ち込んではいますが、あくまで嘱託登記です司法書士が申請代理人でありません

その為、登記識別情報は司法書士が受け取ることができませんので、上記のような流れになります。

担保設定に関しては通常の取引と同様です。このように、競売物件を融資を受けて購入する場合に使用する手続です。