過払い金バブル終焉 | 資金繰り 事業再生 M&Aアーク司法書士法人@代表社員 李 永鍋(リ ヨンファ)のブログ

大人から子供まで一人で携帯ゲームに興じる昨今でも、親戚が集まるお正月に、みんなで
『人生ゲーム』を遊ぶと盛り上がる。昔と変わらず、人気の職業に弁護士があるが、
サラリーマンの“4倍”も給料がもらえるのだから当然だろう。

しかし現実は、超難関の司法試験を突破したからといって一生安泰というわけではない。
“弁護士”と名乗るだけでステータスがあったのは昔のこと。彼らからは「稼ぎがいいのは
優良企業の顧問弁護士くらい」との嘆き節も聞かれる。

特に、債務整理や倒産処理を得意とする弁護士は厳しい。2006年12月に成立した『改正
貸金業法(サラ金規制法)』により過払い金問題が発生し、一時は収入が劇的に増えたものの、
先行きは極めて不透明だ。

過払い金返還請求は、いわゆる“グレーゾーン金利”が撤廃されたことに端を発する。本来、
払う必要がないにもかかわらず、貸金業者に支払い過ぎた金利負担を「過払い金」と呼び、
債務者は「過払い金」があれば過去にさかのぼって返金を求めることができた。

テレビCMでも有名な弁護士法人アディーレ法律事務所がホームページ上で公表している
過払い金回収実績は、'12年11月1日時点で15万4219件、804億1781万円。仮に報酬金を
回収額の20%とすると、同事務所はこの請求だけで160億円強を稼ぎ出したことになる。
もっとも、この額は、示談交渉により過払い金を回収した場合の一般的な報酬率を基に
計算しているので、裁判になった場合等を踏まえると、報酬金はさらに膨れあがる。

アディーレは有名法律事務所として例示したが、同様の案件が、全国の零細弁護士法人にまで
持ち込まれており、弁護士たちの懐を潤してきた。正確な数字は判明していないが、潜在的な
過払い金は10兆円にも及ぶともいわれており、その2割を彼らが分け合ってきたのだ。つまり、
少なくとも2兆円あまりが返還請求における見込み報酬であり、これがまさに“過払い金バブル”
といえよう。

しかし、ここにきてその“バブル”も終焉を迎えようとしている。月別の返還請求件数は
連続して減少を記録。全国の弁護士、司法書士が我先に取り合ったため、さすがに案件数
自体が減少してきたわけだ。

さらに時効も迫っている。返還請求の時効は10年。'06年の改正貸金業法施行後、貸金業者は
利息の引き下げを行ったため、グレーゾーン金利での借入自体がその施行付近で終了している。
あと数年で「過払い金」そのものが消滅するのだ。

そんな状況下、大幅に経費を削減せざるを得ない弁護士事務所が増えている。単に過払い金
返還請求の案件が減っただけでなく、広告に多くの費用を捻出したことや、相談料や着手金の
無料化を進めたことで、業績悪化が進んだのだ。新しい収益の柱を見つけなければ、弁護士
といえども生き残りが厳しいのである。

■“倒産弁護士”の哀れな末路

弁護士が食えなくなった原因は司法制度改革にもある。裁判員制度に象徴される司法への
一般人の参加促進の一方、欧米に比べて圧倒的に少ない法曹資格者も増やし、法曹サービスを
充実させるという狙い通り、この新制度により弁護士の数が劇的に増えた。'05年には
2万1185人だったが、7年後の'12年には51%増の3万2088人にまで急増したのだ。(※続く)

◎ソース
http://wjn.jp/article/detail/2259279/
http://wjn.jp/article/detail/8085382/
http://wjn.jp/article/detail/7438774/


2: ライトスタッフ◎φ ★ 2013/01/27(日) 11:27:17.35 ID:???
>>1の続き

中でも、過払い金返還請求に代表される債務整理を専門とする弁護士が多いことが“食えない”
という顕在化の大きな要因といえるのである。

そんな中で“パクリ屋の手先”となる弁護士も少なくない。“パクリ屋”とは、別名“取り込み詐欺”。
商品を買えるだけ買って、その商品を売却した後に計画倒産する(もしくは、商品を持って
夜逃げする)のが典型的パターン。その片棒を担ぐのが“手先”である。

この“手先”が関与した“パクリ屋”を、刑事事件として扱うのは非常に難しいという。

「当職はA社倒産に伴う債務整理について受任しました。しかし、売掛債権・在庫等の資産がなく、
商品を売却した先からの回収も滞っているため、債権者に対する返済ができない…(中略)…債権者
各位におかれましては、早急に債権回収の法的手続き等をとられることをおすすめ致します」

これは“手先”と疑われているX弁護士が“パクリ屋”と思われるA社の債権者に対して送付した
通知である。

X弁護士として大切なのは、正規に受任して正規の調査を行ったということ。A社として大切
なのは、支払う気があったにもかかわらず、やむを得ない事情で倒産に至ってしまったという
ことを弁護士に証明してもらうことである。

こうなると、詐欺罪としての立件が極めて難しい。さらに、このケースでいえば、「法的
手続きを自らとるつもりはなく、債権者から破産を申し立てるなら構わない」という姿勢である。
破産も甘んじて受ける、しかし、自らは動かないというものだ。債権者から破産を申し立てる
にも相応の費用がかかり、回収見込みがない破産申請は行わないという債権回収の常識を知って
のことである。

「このX弁護士は近年、把握しているだけでも5、6件の“パクリ屋”と思われる倒産案件に関与
しています」と、某信用調査会社の調査員は証言する。

'09年12月4日に時限立法として施行された『金融円滑化法』は、今年3月末にその期限を迎える。
同法は金融機関に対する中小企業の返済条件を変更しやすくする法律で、'12年3月末時点では
延べ約308万7000件の条件変更が行われている。平たく言えば、「借りたカネを約束通り返さ
なくて良い法律」だ。

いよいよ2カ月半後の期限を見据え、各金融機関は今、顧客中小企業の選別に取りかかっている。
同法終了後も支援するかしないか、すなわち再度の返済猶予に応じるかどうかだが、支援しない
に分類された企業の倒産が相次いでいる。民間の信用調査会社帝国データバンクによると「金融
円滑化法を利用したにもかかわらず倒産した企業が、'12年10月は51件発生し、'09年12月の
集計開始以来、過去最多を記録した」という。(※続く)

3: ライトスタッフ◎φ ★ 2013/01/27(日) 11:27:27.24 ID:???
>>2
の続き

この倒産増加の背景に、“食えない”弁護士の姿が見え隠れする。債務整理に代わって金融
円滑化法に目を付けたのだ。

「弁護士が中小企業側に立ち、金融機関に金融円滑化法に基づく返済条件の変更を要請してくる。
終了までわずかということで、駆け込み的にやってくる中小企業の弁護士が多い」と、地方銀行
幹部は言う。

問題は、返済条件を変更することは、当該企業が当該の条件緩和債権を全額返済しない限り、
新規融資を極めて受けづらい状況になるということを、中小企業側が理解していないケースが
あるということだ。

金融機関側は「今、条件変更をすると将来的に融資できなくなる」と説明するが、拒絶して
しまうとそれは金融庁への報告事項となっており、その金融機関には「相談に来た企業を
追い返した」というレッテルが貼られてしまうので、金融機関側としても避けたい。弁護士の
書面まで持ってきた企業については、返済を猶予せざるを得ないというのが実情なのである。

とある金融機関によると「持ち込まれた返済猶予要請のうち半数程度が必要性に疑問を感じる
もの」とのこと。300万件を超えるという途方もない返済条件の変更件数の背景には、弁護士が
“けしかけている”という裏事情があったのである。

「金融円滑化法を利用すれば返済条件を変更できる」という弁護士の口車に乗った企業は、
一時的に資金繰りが楽になるかもしれないが、その後、業況が悪化し再び資金繰りが厳しく
なった際に、支援が得られず倒産する可能性が高まる。

弁護士としては、当該企業が倒産してしまっても構わない。金融機関との交渉代理という仕事が
なくなったとしても、次は「自己破産の申請代理人」や「破産管財人」として仕事にありつける
というわけだ。

さすが、難関国家試験を突破した弁護士とでもいうべきか…。けしかけられた中小企業は、
被害者としか言いようがないのである。