資金繰り 事業再生 M&Aアーク司法書士法人@代表社員 李 永鍋(リ ヨンファ)のブログ

借りた金は、どこにいってしまったのでしょう


よく経営者が「銀行借入返済金」を「経費」と勘違いして資金繰りをしてます。


銀行借入返済金は、税務上、経費ではありません。しかし、現金が出ていくので、経費のような気がするだけです。


経費ではないので、収益と経費が記載されている損益計算書には、記載されていません。(元金)。


では、借りた金は、どこにいってしまったのでしょう?


赤字で債務超過の会社の場合、他の返済、税金や社保、従業員の給料、外注費や下請けの支払いで消えて社長は給料を取れない、こんな状況です。


要するに借金で借金を返したり、従業員や下請けのために働いてるみたいなもんです。


脱却するために返済金額の把握、資金繰り表作成してください。



返済金額の確認方法


貸借対照表から返済額を知る方法


固定負債の部門に、「長期借入金」という項目があります。


これは、決算時点での残高です。やはり借入金返済金額は分かりません。では、どうすれば分かるのでしょう?


確認している決算書のもう1年前の決算書を用意します。そして2期分の決算書の貸借対照表「長期借入金」の残高を比較します。



貸借対照表から確認する方法の弱点

ただし、この方法には弱点があります。


決算の途中で、追加借り入れをした場合、毎月の返済額が分からなくなることです。


返済額を確認する、一番確実な方法

銀行から送られてくる借入金返済予定表を確認することです。借入金返済予定表には、毎月の返済額が記載されています。


元金返済と利息支払い、それぞれの内訳、その合計額が記載されているはずです。


元金返済の部分が、決算書に記載されていない、「銀行借入返済額」です。


もし長期借入金が5口あれば、5口分の返済元金を合算したものが、会社の銀行借入金返済額の実態なのです。



そして、1年間の銀行借入金返済額が、年間返済財源(利益と減価償却費など)より多ければ、資金繰りが厳しくなり、「黒字なのに、お金が足りない」という状態になります。

不動産担保融資に通らない理由


不動産担保融資の審査に申込んでも、なかなか通らないという人もいます。


理由は人それぞれですが、次のような人は審査がむずかしい可能性があります。


1 不動産の担保価値が低い

2 借入れが多い

3 信用情報に懸念がある



不動産担保ローンの審査に通らない人の特徴を具体的に紹介します。


1 不動産の担保価値が低い

不動産担保ローンの融資限度額は、申込者のご返済能力のほか、担保とする土地や建物の価値が影響します。


担保価値が高いと判断されれば多額の融資を受けられますが、逆に低すぎると審査落ちの原因になります。 


金融機関ごとに評価方法は異なりますが、担保価値は市場での不動産評価の6割から8割ほどとされるのが一般的です。


ご自身の評価より、金融機関が判断する担保価値が低い場合もあるので注意しましょう。




2 他社からの借入れが多い人

事業を行っていると、金融機関からのお借入れは珍しいことではないです。


しかし、他社からのお借入れがある人が不動産担保融資に申込むと、借入れがない人よりも審査に通りにくい可能性があります。

 とくに借入先が複数ある場合、残債務が大きい場合、月次返済額が過大な場合や、消費者金融から借入れがある場合などでは、新たな融資が負担となって返済不能になるかもしれないと金融機関に懸念されるリスクが高まります。


 3 信用情報に懸念がある

不動産担保融資の審査では、信用情報機関へ信用情報を照会するのが一般的です(というよりほとんど)。


 貸金業法では借り手の返済能力を超えた貸付けを避けるために、信用情報の照会が義務づけられています。銀行など貸金業法が適用されない金融機関でも、このルールにのっとり、独自に信用情報の照会を行っています。 


信用情報には過去のローンの借入額や延滞などの履歴が一定期間残されているため、何度も延滞をした履歴があれば審査に悪い影響を及ぼします。 


 

債務超過のリスク1 融資


金融機関から融資を受けられない


 「負債が資産を上回っている状態」にあるということは、会社の全資産を売却しても、負債の全額を支払えないことを指します。


 このような会社へ融資したとしても、貸したお金が返ってくる見込みは非常に低いです。


 融資したお金を返済できる見込みのない会社にお金を貸すことは、銀行にとって単なるリスクです。


 債務超過状態で金融機関から融資を受けることは難しいです。


 近い将来、債務超過を解消できる見込みがある場合、この限りではありません。


 例えば、直近で大きな利益が発生している場合などはこれに該当します。


 しかし、ただ利益が発生しているからといって、債務超過を解消できるかどうかの保証はできません。詳細かつ明瞭な「経営改善計画書」を作成の上、金融機関に提示することが必要になります。

銀行員の見る貸借対照表のポイント


①「純資産」をチェック 

 銀行員の多くが最初に見るのは純資産です。


なぜなら純資産が マイナスの会社は「債務超過」であり、原則、融資対象外です。 

 自己資本比率は20%を目処に

(業種によってはもっと)。


警戒ラインである1けた台の自己資本比率だと、銀行としては融資否決の状況と考えます。


②「借入金」をチェック

続いて、銀行員は借入金を見ます。

多額の借入を抱えた会社は、銀行の追加融資を受けられず、倒産する恐れがあるからです。


銀行員は、借入金を売上高(年商や平均月商)と比較します。一般に銀行が融資に応じられる金額は月商6か月分くらいまでなので、銀行員は「担保でもない限り、追加融資は困難」と考えます。


総資本に占める借入金の構成比(借入金依存度)についても、警戒ラインの70%超えると、銀行から問題視され、融資否決の可能性が高いです。


③「現預金」をチェック

現預金を見て資金繰りの状況をチェックします。

資金繰りを円滑に回すには、最低でも「月商分の現金」が必要といわれます。


現預金が平均月商を下回っていると、 銀行員は「資金繰りはラクではない」と考えます。


現預金の構成比(総資産現預金比率) でみても警戒ラインの10%未満を下回ると、資金繰りが厳しい状況がうかがわれます。


例として

借入金は月商12か月分に達するほど多いのに、現預金はほとんど残っていない。

このことは何を意味しているか?


銀行員は、「その他の資産」の中に不良在庫や不良債権等 の不良資産が隠れており、そこに銀行が貸した金が使われている可能性が高いと考えます。


そして実際に、科目ごとの増減や勘定科目内訳明細書を見て、不良資産を探し出そうとします。


まずは自社の貸借対照表を見て、資金繰りのため今後、融資が受けれるか確認してください


資金繰り

アーク司法書士法人

李永鍋(りよんふぁ)

6元の会社(現在の会社)はどうなるのか

7 法的整理と私的整理のメリット・デメリット

8 法的整理(破産)と私的整理



6 元の会社(現在の会社)はどうなるのか

元の会社は、事業活動を停止し〝整理〟することが〝普通の〟第二会社スキームです。


 

第二会社に優良事業を移し、元の会社は放置してそのままというのは、金融機関が黙っていません。

金融機関が詐害行為として、何か法的な動きをするかも知れません。

第二会社で事業を承継継続するときは、元の会社は「そのまま放置」ということではいけないのです。


 

解散ということも考えられます。

解散は事業活動停止するだけで弁済責任は残っており金融機関と合意された金額で返済が継続されることが求められます。

実際は事業収入がないので支払いはできません。


やはり解散ではなく〝整理〟することが必要なのです。


 

整理というのは、一言で言うと資産を換価し債務に充当することをいいます。


最終的に残った債務は、免除してもらうなどによって、弁済責任から解放されることになります。


 


整理する方法には、


A 法的整理、いわゆる破産

B 私的整理、弁護士による整理

 


特別清算なども他の方法もありますが中小企業で特別清算を選択する会社は少ないと思います。  



7 法的整理と私的整理のメリット・デメリット

 

法的整理(破産)と私的整理


法的整理(破産)の結末は、債務の弁済を免責してもらうことです。


その手続きの中で、債務者(法人)と連帯保証人が最低限持つことを許される現預金などの資産以外は、裁判所(管財人)の管理のもと換価し債権者に弁済をします。


法的整理では、最低限許される資産以外の全ての資産を換価し債権者に弁済することで、残った債務は裁判所が免責するということになります。


信用面などでも社会的に制裁を受けることになります。保証人である個人も同じです。


破産を避けたいという心理が働くのも当然のことと言えます。


法的整理で債務免除が行われるための絶対条件です。資産を換価するから残った債務は免免責される

ということです。


 

私的整理も同じです。

私的整理も最終的に債務を免除してもらうための手続きであり私的整理の手続きが終了する時点で、債務者である会社や連帯保証人が現預金や資産を今までと全く同様の状態で所有したままではいけません。


不動産などの固定資産(換価できる資産)は売却し弁済に充当することが求められます。

工場や本社、自宅など必要な不動産については、リースバックなどの方法でそのまま使い続けることが可能です。


リースバックは、売却して弁済という債務者や連帯保証人としての責任を取った上で、その購入者から賃貸で借り受けるということです。



会社が持っている現預金については、従業員の給与や租税、仕入先などの支払、私的整理などの手続き費用に充てられるます。



会社の現預金を費用に充当すると金融機関からの借入全額の返済ができるわけがありません。


借入金全額の返済ができないことに全ての金融機関が同意すれば借入全額の返済を行う必要はなくなります。 

借入債務についての弁済をしなくていいということです。

 


8 法的整理と私的整理の違い


①裁判所、管財人が関与するかしないか

②債務者主導で整理できるかできないか

③信用面で法的整理と私的整理では違う

ということです。



②の「債務者主導できるかできないか」ということは重要な意味を持ちます。


資産の処分などに関し債務者主導でできると言うことです。どれだけ重い意味を持っているか。

私的整理を選択する人が法的整理よりも遙かに多いことが重さを表していると思います。




私的整理にはさまざまな方法があります。

 


私的整理には様々な進め方があり、それは、


・その会社の資産や負債の実態

・収益性や損益状況

・連帯保証人の有無

・連帯保証人の個人資産や個人債務の状況

 


会社の状況に応じて最も適した私的整理の進め方を選択しなければいけません。


 会社の負債や資産の状況、連帯保証人の資産状況などを踏まえて、一番良いな私的整理の方法をご提案しています。


 


第二会社を使った事業再生は、弁護士、司法書士だけでなく事業再生コンサルタントなどでも支援を行っている人がいます。

 


私達が進める私的整理には必ず弁護士、司法書士が関与し、債権者との交渉などを進めます。


私的整理も大なり小なり何らかの制裁を受けることになりますし社会的責任、道義的責任を取ったうえで第二会社で事業を承継し継続します。


 

私的整理を進める場合、金融機関に私的整理することを納得してもらい第二会社での事業継続を認めてもらいます。


債権者としては、第二会社を積極的に認めることはできないことから金融機関の支店長や役員が言うように「何もしないし、何も言わない」という消極的な認めかたにはなります。