6元の会社(現在の会社)はどうなるのか
7 法的整理と私的整理のメリット・デメリット
8 法的整理(破産)と私的整理
6 元の会社(現在の会社)はどうなるのか
元の会社は、事業活動を停止し〝整理〟することが〝普通の〟第二会社スキームです。
第二会社に優良事業を移し、元の会社は放置してそのままというのは、金融機関が黙っていません。
金融機関が詐害行為として、何か法的な動きをするかも知れません。
第二会社で事業を承継継続するときは、元の会社は「そのまま放置」ということではいけないのです。
解散ということも考えられます。
解散は事業活動停止するだけで弁済責任は残っており金融機関と合意された金額で返済が継続されることが求められます。
実際は事業収入がないので支払いはできません。
やはり解散ではなく〝整理〟することが必要なのです。
整理というのは、一言で言うと資産を換価し債務に充当することをいいます。
最終的に残った債務は、免除してもらうなどによって、弁済責任から解放されることになります。
整理する方法には、
A 法的整理、いわゆる破産
B 私的整理、弁護士による整理
特別清算なども他の方法もありますが中小企業で特別清算を選択する会社は少ないと思います。
7 法的整理と私的整理のメリット・デメリット
法的整理(破産)と私的整理
法的整理(破産)の結末は、債務の弁済を免責してもらうことです。
その手続きの中で、債務者(法人)と連帯保証人が最低限持つことを許される現預金などの資産以外は、裁判所(管財人)の管理のもと換価し債権者に弁済をします。
法的整理では、最低限許される資産以外の全ての資産を換価し債権者に弁済することで、残った債務は裁判所が免責するということになります。
信用面などでも社会的に制裁を受けることになります。保証人である個人も同じです。
破産を避けたいという心理が働くのも当然のことと言えます。
法的整理で債務免除が行われるための絶対条件です。資産を換価するから残った債務は免免責される
ということです。
私的整理も同じです。
私的整理も最終的に債務を免除してもらうための手続きであり私的整理の手続きが終了する時点で、債務者である会社や連帯保証人が現預金や資産を今までと全く同様の状態で所有したままではいけません。
不動産などの固定資産(換価できる資産)は売却し弁済に充当することが求められます。
工場や本社、自宅など必要な不動産については、リースバックなどの方法でそのまま使い続けることが可能です。
リースバックは、売却して弁済という債務者や連帯保証人としての責任を取った上で、その購入者から賃貸で借り受けるということです。
会社が持っている現預金については、従業員の給与や租税、仕入先などの支払、私的整理などの手続き費用に充てられるます。
会社の現預金を費用に充当すると金融機関からの借入全額の返済ができるわけがありません。
借入金全額の返済ができないことに全ての金融機関が同意すれば借入全額の返済を行う必要はなくなります。
借入債務についての弁済をしなくていいということです。
8 法的整理と私的整理の違い
①裁判所、管財人が関与するかしないか
②債務者主導で整理できるかできないか
③信用面で法的整理と私的整理では違う
ということです。
②の「債務者主導できるかできないか」ということは重要な意味を持ちます。
資産の処分などに関し債務者主導でできると言うことです。どれだけ重い意味を持っているか。
私的整理を選択する人が法的整理よりも遙かに多いことが重さを表していると思います。
私的整理にはさまざまな方法があります。
私的整理には様々な進め方があり、それは、
・その会社の資産や負債の実態
・収益性や損益状況
・連帯保証人の有無
・連帯保証人の個人資産や個人債務の状況
会社の状況に応じて最も適した私的整理の進め方を選択しなければいけません。
会社の負債や資産の状況、連帯保証人の資産状況などを踏まえて、一番良いな私的整理の方法をご提案しています。
第二会社を使った事業再生は、弁護士、司法書士だけでなく事業再生コンサルタントなどでも支援を行っている人がいます。
私達が進める私的整理には必ず弁護士、司法書士が関与し、債権者との交渉などを進めます。
私的整理も大なり小なり何らかの制裁を受けることになりますし社会的責任、道義的責任を取ったうえで第二会社で事業を承継し継続します。
私的整理を進める場合、金融機関に私的整理することを納得してもらい第二会社での事業継続を認めてもらいます。
債権者としては、第二会社を積極的に認めることはできないことから金融機関の支店長や役員が言うように「何もしないし、何も言わない」という消極的な認めかたにはなります。