歯並びの問題を総称して『不正咬合』といいますが、
不正咬合の割合は
叢生(歯並びの凸凹) 35%
上顎前突(出っ歯) 28%
下顎前突(受け口) 31%
開咬(前歯が咬んでない状態) 5%
その他(歯が少ないなど) 2%
以上のようにさまざまな状態があります。
今回、お話しする矯正治療は
下顎前突(受け口) 31%
についてです
上の歯より舌の歯が表側になっている状態(受け口・反対咬合)
正常な発育を阻害する異常や口腔疾患について、その予防と治療を行うこと、これが小児治療です。そのなかでも矯正は、お子様の健康と成長に大きく関与すると考えます。
挟窄(きょうさく)した顎の骨を矯正で広げることで、永久歯列がきれいに生えそろえば、噛み合わせが良好になるのはもちろん、呼吸が口呼吸から鼻呼吸に変わって免疫力が強化されます。
きちんと噛む刺激で脳の成長を促す、といった医学的な報告もあります。
受け口を矯正するパナシールド
下の歯が上の歯より出ている「反対咬合」、いわゆる「受け口」。3歳児検診で5%ほど見つかる症例です。
大人になってからの矯正も可能ですが、骨の完成前に適切な治療を行ったほうが、治療期間も短く、患者様への負担が少なくなります。
当医院では「パナシールド」というマウスピースのような器具を使った、筋機能訓練をおすすめしています。就寝中に装着することで、顎の周辺の筋肉が顎を正常な位置に戻すように動き、訓練されます。
受け口のお子様には特徴があります
- 上唇の圧力が強い
- 顎部の緊張がない
- 舌の位置が正しい位置にない(下がっている)
矢印の方向をみてみると上唇の力が強く上の前歯に内側の力が発生しているのがわかります。この状態になってしまっている原因は、舌の位置が関係しています。本来であれば舌の位置は上顎にくっついている状態ですが、反対咬合のお子さんは舌の力が弱く、下がっている傾向にあります。そのため、舌が下顎の前歯を押す力が強く、成長が促されたり前歯の軸が傾斜し反対咬合、もしくは下顎の成長が早くなり反対咬合になってしまいます。
受け口を矯正するパナシールドとは?
パナシールドは柔らかいマウスピースの装置を口に入れ、舌の位置を上に持ち上げる癖をつける矯正装置です
パナシールドの内側のくぼみに舌を乗せ、口を閉じることにより舌が前歯を押し上げるように働き、下唇が内側に入り込む力が自然に発生します。そうすることにより反対咬合が改善する仕組みです
使用方法は夜間寝るときに装着するだけです
出かける時は使用しません(パナシールドをなくしてしまうことがある為です)
しかし、日中も使えるようなら装着していた方が舌の訓練や顎の成長は促しやすくなります
パナシールド使用前
パナシールド使用後
使用時間や反対咬合の状態によりますが
数ヶ月から半年程度で改善する場合があります
(個人差があり1年かかる場合もあります)
お子さんの反対咬合で心配の方はお気軽にご来院ください