晴好雨奇 -37ページ目

晴好雨奇

気紛れ更新の日記です。


部屋に戻ってテレビをつけた。


映っていたのは胎内の赤ちゃん。


「この頃には耳が聞こえています」


幸せそうな家族が映っている。


自分の親はどうだったのだろうかと


画面が消えた後に自嘲する。




私の両親は出来ちゃった婚。


逆算すると、私は6ヶ月で生まれている。


共働きだったので、0歳児保育に預けられた。


延長保育が終わると、園長先生の自宅に


園長先生が寝る頃には、親戚の家に。


体調が悪い時には親戚の家。


両親との記憶は皆無と言って良い。


少ない記憶の中で、両親はお互いを罵っている。


家族団欒の記憶は、殆ど親戚の誰かとの物。


親のどちらかと過ごす時、相手への不満を聞かされていた。




小学校低学年の頃。


母に言われた。


「あんた達が居なければ、とっくに離婚できていたのに」


自分が要らない子だと思った瞬間だった。


今は親に頼らないと生きていけない。


せめて、弟妹達の心は出来るだけ穏やかに。


家族全員の愚痴を聞くのが、私の役目になった。




高校へ上がった頃だっただろうか、


父が言った。


「お前が出来ちゃったから、身辺整理をした」


「お母さんよりも好きな人がいた」


「そっちと結婚した方が幸せだった」


あぁ、貴方も私が邪魔だったのか。


母からも、似た様な事を聞いていた。


付き合っていたのは一人ずつだが、


父よりも好きだった人がいたと。


お互いが然程好きじゃない両親。


私は、何故ここに生まれたのか。


誰か、私を此処から連れ出して欲しい。


無理なら、私を消して欲しい。


小さな頃から、毎日願っていた。




テレビで、虐待のニュースを見る度に思う。


私も、ああなるかも知れなかった。


それだったら、何故中絶しなかったのか。


私の様に愛されない子より、


中絶して心に残る方が幸せだったんじゃないかとか。


考えたって、答えなんか無い。


間違いも、正解も無い。


ただ、自分の様な子供が居なくなれば良いと思う。




愛情を向けられると、怖くなる事がある。


愛情を向けられると、逃げたくなる時がある。


未だ、リハビリ中なんだ。


赤ちゃんは、受け入れる準備が出来てからにしてほしい。


だって、私達の心は少しおかしい。


私は愛情を受け入れるのに勇気が必要。


妹は、行方不明。


弟は、元自閉症。


愛の無い家庭なら、子供は作らないでほしい。


自分達の様な子供が育たない様に。


親戚からの愛情があっても、


両親に愛情が無ければ不幸なだけ。


お互いがお互いを想っていて、


愛情を分ける余裕が出来てから


小さな宝物を受け入れる準備をしてほしい。


思いっきり泣いた後は

また笑える様になる。



何かあったわけではないけれど、

情緒不安定になる事がある。

解決策なんて無い。

不安定な自分を受け入れるだけ。









さぁ、寝るとしようか。

きっと幸せな夢が見られるから。

12月31日23時過ぎ


ゆけむり館の玄関を出る


蝋燭の明かりに導かれて雪道を進む


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上を見ると満天の星空。


甘酒を頂きながら、日付が変わるのを待つ。


気温が氷点下なので、お酒やたき火が有難い。


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「後〇分で~す」


スピーカーでおおよその時間が知らされる。


「どうぞお並びくださ~い」


お互いに譲り合い、徐々に列が整って行く。


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ゆっくりお参りしたいので、後方に並んで待つ。


「何お願いする?」


「去年も来たね」


「もうこんなに並んでるよ」


あちこちから様々な声が聞こえている。


残り○秒で~す


「10…9…8…」


「「「」」」


「今年も宜しくお願いします」


「来年も来ようね」


小さな声で皆が挨拶を交わしている。


この時間が、昔から好き。


新年早々、小さな幸せ。


「進まないな」


「お前のせいで年々遅くなってるじゃないか」


後ろの御夫婦が言い合いを始めた。


新年早々、嫌な思いも体験するのか…。


「新年早々怒らないでよ!」


言い合いが終わったらしい。


私の横に、奥様が並んだ。


「…そっちに行っちゃうの?」


ちょっと可愛い旦那様の声。




少しずつ列が進んで行く。


「お賽銭忘れちゃった」


「後で返せよ」


「○円?」


「少ない?多い?もっと細かいの?」


家族連れが小さな声でやり取りしている。




何気ない日常。


当たり前の日常。


私は、それが幸せだと思う。


旅行にいらしている方々を見て、


自分の実家と比べて


とても羨ましく思う事もある。


幸せそうな笑顔を見て、


自分も幸せになる事もある。




No one is in control of your happiness but you;


therefore, you have the power to change anything


about yourself or your life that you want to change.


訳:貴方以外に貴方の幸せをコントロールする人はいない。

だから、貴方自身や貴方の人生を変えられるのは、

貴方しかいない。






「乗り越えられない試練は与えられない」


「同時に逃げ道も用意されている」


聖書の中にある一文の内容。


私は仏教徒だけれど、


読んだ時に妙に納得した。


自分の中では辛かったけど、


何だかんだで今の私がある。


逃げ道の先は祖父だろう。


自分の足が地に着いた後、


触れられない場所に行ってしまった。


居なくなってしまった後に、


凄い人だったのだと教えられた。




自分の環境が変わった直後、


祖父の様に全て受け入れてくれる人と出会った。


嫌な事が無くなった訳じゃない。


でも、甘やかされていると感じる。


自分の心が静かな時、


沢山の幸せが与えられている事に気付くから。