部屋に戻ってテレビをつけた。
映っていたのは胎内の赤ちゃん。
「この頃には耳が聞こえています」
幸せそうな家族が映っている。
自分の親はどうだったのだろうかと
画面が消えた後に自嘲する。
私の両親は出来ちゃった婚。
逆算すると、私は6ヶ月で生まれている。
共働きだったので、0歳児保育に預けられた。
延長保育が終わると、園長先生の自宅に
園長先生が寝る頃には、親戚の家に。
体調が悪い時には親戚の家。
両親との記憶は皆無と言って良い。
少ない記憶の中で、両親はお互いを罵っている。
家族団欒の記憶は、殆ど親戚の誰かとの物。
親のどちらかと過ごす時、相手への不満を聞かされていた。
小学校低学年の頃。
母に言われた。
「あんた達が居なければ、とっくに離婚できていたのに」
自分が要らない子だと思った瞬間だった。
今は親に頼らないと生きていけない。
せめて、弟妹達の心は出来るだけ穏やかに。
家族全員の愚痴を聞くのが、私の役目になった。
高校へ上がった頃だっただろうか、
父が言った。
「お前が出来ちゃったから、身辺整理をした」
「お母さんよりも好きな人がいた」
「そっちと結婚した方が幸せだった」
あぁ、貴方も私が邪魔だったのか。
母からも、似た様な事を聞いていた。
付き合っていたのは一人ずつだが、
父よりも好きだった人がいたと。
お互いが然程好きじゃない両親。
私は、何故ここに生まれたのか。
誰か、私を此処から連れ出して欲しい。
無理なら、私を消して欲しい。
小さな頃から、毎日願っていた。
テレビで、虐待のニュースを見る度に思う。
私も、ああなるかも知れなかった。
それだったら、何故中絶しなかったのか。
私の様に愛されない子より、
中絶して心に残る方が幸せだったんじゃないかとか。
考えたって、答えなんか無い。
間違いも、正解も無い。
ただ、自分の様な子供が居なくなれば良いと思う。
愛情を向けられると、怖くなる事がある。
愛情を向けられると、逃げたくなる時がある。
未だ、リハビリ中なんだ。
赤ちゃんは、受け入れる準備が出来てからにしてほしい。
だって、私達の心は少しおかしい。
私は愛情を受け入れるのに勇気が必要。
妹は、行方不明。
弟は、元自閉症。
愛の無い家庭なら、子供は作らないでほしい。
自分達の様な子供が育たない様に。
親戚からの愛情があっても、
両親に愛情が無ければ不幸なだけ。
お互いがお互いを想っていて、
愛情を分ける余裕が出来てから
小さな宝物を受け入れる準備をしてほしい。


