自分がいじめられた話をしても仕方ないので、
私が知っているいじめっ子の話を。
≪CASE 1≫
ある日の休み時間
「K中でいじめをしていた奴が転校して来るって」
クラスメートの男子が言った。
「は?」
「いじめられっ子じゃなくて?」
「いじめっ子」
「何で?」
クラス中の視線を集めた彼はちょっと得意げ。
「いじめをやってた奴が、逆にいじめられたんだって」
「・・・・・・・?」
「教室中からはぶられて、いじめられて逃げて来るってさ」
「何それ」
「調子に乗り過ぎ?」
「自分がされたら泣き入るって…」
「弱っ」
笑いと共に、その会話は終了。
転校して来たのは、背が高いスポーツ少年。
爽やかで良い子そうなんだけど…。
情報は全校生徒に伝わっている。
良い子と普通の子だけではなく、
悪い子達も遠巻きに様子を窺っている。
本人は愛想を振りまいているが、
周りの警戒心はなかなか解れない。
転校して来て数か月、
悪い子達が、その子に接近した。
根っから悪い奴なら、
ウチの学校にもいて欲しくないから。
悪い子達が気に入らなければ、
彼ら同士で喧嘩するだろう。
悪い子達が受け入れるのなら、
他の子達も受け入れる。
暗黙の了解の下、
様子を見る他の子達。
数日後、その子は
見事に溶け込んでいた。
「あいつ、大丈夫みたいだね」
「取り敢えずはね」
≪CASE 2≫
小学一年生の時、
「先が丸まってる鉛筆でも、刺さるのかな?」
そう言って、笑いながら鉛筆が突き立てられた。
いじめの始まり。
ある日、その子の母親に訴えた。
その次の日、
「親に言いつけんじゃねぇよ」
腹を殴られた。
大人しくしていれば、大したいじめは無い。
呼び出される事は無いので、
クラスが違えば問題は無い。
違う誰かが、標的になっていたのかもしれない。
時が経ち、中学校の生徒会選挙。
彼一人が、生徒会長に立候補した。
結果は、落選。
得票数は一クラス分にもならなかった。
職員室は大騒ぎ。
先生の前では良い子だったから。
先生は前生徒会長にお願いして、
その子の推薦人に立ってもらった。
他の生徒達は、立候補者を募った。
再選挙は、3人の候補者。
さて、どうなる事やら。
再選挙の結果、
辛うじて半数を超えた得票。
前生徒会長が付いたので、
やっと得た票。
生徒会長になっても、
彼の顔は曇ったままだった。
≪CASE 3≫
人を見下すのが好きな子がいた。
取り巻きを連れて、
人を馬鹿にした言動をする女の子。
ある日、とうとうブチ切れた。
相手の腹部に蹴りを一発。
其の侭、部活の準備に向かった。
準備中、彼女がやって来た。
「今まで、ごめんなさい」
「邪魔だから出てってくれる?」
良いとも駄目だとも言わなかった。
その日から、立場は逆転。
相手は常に私の顔色を窺う様になった。
標的を変えようとしたらしい。
じっと見ていたら、慌てて去って行った。
全てが終わった後、先生に呼び出された。
「お前、いじめられてるだろう?
相手には言わないから、先生に話してみろ」
今更?
何も言う事などない。
たまたま転んだ時を先生が見ていたらしい。
後ろにいたのはいじめとは正反対の子。
いじめなど無いと言っても通じなかった。
何も理解していない先生に腹が立った。
何もかも終わった後に言われてもねぇ?