杉元佐一(山崎賢人)は日露戦争の二百三高地で鬼神のごとき戦いぶりを見せ,不死身の杉元と呼ばれるようになった。

 

 

 出征前,杉元は故郷で梅子(高畑充希)と恋仲だったが,杉元の家で結核が出てしまい家は焼かれ,梅子とも結婚できなくなった。

 杉元の幼なじみである剣持寅次(泉澤祐希)は元々梅子に片思いをしていたが,杉元が彼女と結婚できなくなったことで,梅子と結婚し子どももできた。

 しかし梅子は目の病気が悪化し,その治療費はとても寅次が支払える額ではなかった。

 

 そんな状況で杉元と寅次は戦場で再会したが,寅次が自分を庇って亡くなってしまう。

 そのため,戦後の杉元は鬱々として暮らしていたが,それでも寅次に墓を建ててやったり,梅子や子どものために少しでも金を工面したいと思い,北海道に残って砂金を取っていた。

 

 そんなとき杉元は,同じ砂金取りの後藤竹千代(マキタスポーツ)から,アイヌが集めた砂金から作られた莫大な額の金塊の話を聞く。

 のっぺら坊と呼ばれる男がアイヌを皆殺してその金塊を強奪したが,その男は獄中でも決して金塊のありかを白状しなかった。そして24人の囚人たちにそのありかの地図を刺青にして入れ,全員の入れ墨が揃わないとその場所が分からないようにしたという。

 その囚人たちが,その後,脱獄したという話を聞くが,杉元は酔っぱらいの与太話だと信じなかった。

 

 

 しかし酔いが覚めた竹千代は,話しすぎたと言って杉元を殺そうとする。

 杉元を仕留め損ねた竹千代は森に逃げるが,熊に殺される。

 杉元は竹千代の死体に地図の刺青が彫られているのを見て金塊の話が真実だと知る。

 

 その後杉元も熊に襲われるが,アイヌの少女・アシㇼパ(山田杏奈)に助けられる。

 

 

 杉元がアシㇼパに金塊の話を打ち明けると彼女は,自身の父親(井浦新)は殺されたアイヌのひとりだったと語り,その仇討のために杉元と行動をともにすることにする。

 

 一方,大日本帝国陸軍第七師団の鶴見篤四郎中尉(玉木宏)と戊辰戦争で戦死したとされていた新選組副長・土方歳三(舘ひろし)も,それぞれ金塊の行方を追っていた。

 

 

 大日本帝国陸軍の目的は,陸軍の軍資金であったが,鶴見自身は別の考えを持っており,蝦夷共和国復活を目指す土方と同様に新国家の樹立をもくろんでいた。

 

 

 金塊の正確な額ははっきりせず,いろいろな想像がなされていたが,実際には建国が可能なほどの莫大な額らしいという話にも信憑性があった。

 

 杉元とアシㇼパは,刺青人皮の手がかりを探すため小樽で奇妙な刺青について聞いて回る。

 杉元とアシㇼパが森に帰るときふたりの噂を聞いた刺青の囚人笠原勘次郎(島津健太郎)と白石由竹(矢本悠馬)が後をつけてきたが,彼らはアシㇼパの仕掛けたリスを獲る罠にかかる。

 

 杉元とアシㇼパは捉えた囚人の皮を剥ぐのではなく,刺青を紙に写していたが,笠原は第七師団の尾形百之助(眞栄田郷敦)のライフル射撃で死ぬ。

 

 

 杉元は尾形を負傷させ川岸に転落させる。

 

 

 一方,木に縛っていた白石は,口の中に隠し持っていたカミソリで縄を切り逃走する。

 

 

 追いかけた杉元と揉み合いになりふたりとも極寒の川に落ちる。

 ふたりは命を奪うほどの寒さに直面するが,白石は協力する代わりに見逃すという取引を提案し,ふたりは白石が持っていた銃弾で火を起こして一命を取り留める。

 その後,白石はアシㇼパに刺青を写させ,囚人を脱獄させた首謀者土方歳三の話をして姿を消す。

 

 

 谷垣(大谷亮平)ら第七師団の軍人4人が,尾形を負傷させた犯人を追って杉元の前に現れるが,杉元は谷垣以外の3人を熊の巣穴におびき寄せて撃退する。

 

 

 杉元とアシㇼパはコタン(村)に帰り,杉元はコタンで暮らすアシㇼパの祖母や大叔父と話したのち眠るアシㇼパを置いて街へ去る。

 

 

 

 その後,杉元は鶴見中尉に捕らえられ,部下の二階堂浩平・洋平(栁俊太郎)に殺害されかけるが,アシㇼパと白石に助けられて兵舎から脱出することに成功する。

 

 

 

 

人気漫画原作の実写化。

 

 こういうのは,だいたい原作ファンから色々と言われるものだが,この映画に関しては,ほとんどが再現度の高さに対する賞賛であり,実際にも素晴らしい。

 特にアシㇼパに山田杏奈を持ってきたところで,勝ちは見えていた気がする。

 白石の矢本悠馬もドンピシャ。

 

 これも長編の序盤だけであり,そういう意味では「何じゃこりゃ」と言いたくなった沈黙の艦隊と同じなのだが,この映画は描かれている部分だけでも十分に面白い。

 そうなると続編が気になるところだが,こちらはネトフリになる。

 ネトフリは契約しているので,自分的にはオッケー。

 

 山崎賢人は,キングダムもあるのにこんな大作にいくつも出て大丈夫か?と思っていたら,キングダムは撮影済の次回作で終わりのようだ。