ゆとり世代と言われた坂間正和(岡田将生),山路一豊(松坂桃李),道上まりぶ(柳楽優弥)だったが,彼らも30代半ばになり,時代はZ世代へと移り変わった。

 

 

 正和はかつて居酒屋チェーン店「鳥の民」を経営する「みんみんホールディングス」で働いていたが,新入社員の山岸(仲野大賀)からパワハラで訴えられ,会社を辞め実家の坂間酒造を継いでいた。

 その山岸もZ世代の若手社員平田(加藤清史郎)や小野(新谷ゆづみ)からパワハラで訴えられる時代になっていた。

 

 

 正和は妻,茜(安藤サクラ)との間に2児をもうけていたが,相変わらずうだつが上がらず,酒造の宣伝のための動画配信チャンネル「さかまっちチャンネル」も再生回数は全く伸びなかった。

 

 

 未だ女性経験のない教師,山路は,マッチングアプリを通して知り合った女性とデートをすることになったが,自信のない山路は自らの首にかけたタブレットを通じてレンタルおじさん麻生(吉田鋼太郎)をデートにリモート参加させ,女性に逃げられてしまう。

 

 

 飲みに出かけた正和と山路の前に中国でエビチリビジネスを展開しているはずのまりぶが現れる。

 彼は事業に失敗して帰国し,家族を養うこともできず困っており,結局,坂間酒造で働くことになった。

 

 

 坂間酒造は,正和の以前の勤務先「みんみんホールディングス」に日本酒を卸していたが,その会社は韓国企業に買収されて「辛心食品」になり,居酒屋も韓国料理店「豚の民」へとリニューアルされた。

 その結果,韓国からやってきた新しい上司のチェ・シネ(木南晴夏)が会社を仕切り,今後は韓国のマッコリに力を入れたいので坂間酒造との契約を打ち切ると言い出す。

 

 正和がせめて1年だけでも猶予が欲しいと頼んだところ,チェ・シネは,マッコリを作るかノンアルコールの日本酒を作るか,いずれかを契約続行の条件として承諾する。

 

 一方,山路の勤める小学校に教育実習生と転校生が来ることになった。

 かつて教育実習生で痛い目を見た山路だったが,新たな教育実習生,望月かおり(上白石萌歌)に心をときめかせてしまう。

 転校生はアメリカ人とタイ人であり,山路はお国柄の違いにとまどう。

 

 

 また熱血の元ラガーマンの教育実習生・脇田(林家たま平)にタックルを決められて骨折してしまう。

 

 山路はなんとか職場復帰したが,結局かおりと会話もできないまま終わってしまった。

 

 坂間酒造には伝説の杜氏・服部一幸(吉原光夫)が戻ってきていたが,プライドの高い彼にマッコリ作りやノンアルコール日本酒の製造を頼むことは難しかった。

 しかし,まりぶたちに乗せられてノンアルコールの日本酒造りにチャレンジすることにしましたものの,満足がいく味わいに仕上げることはできなかった。

 

 やむなく正和は,チェ・シネに酒飲み勝負を持ちかけ,正和はマッコリを,チェ・シネは坂間酒造の酒を交互に飲んでいった。

 正和は泥酔して倒れてしまったが,チェ・シネは平気だった。

 

 彼女が飲んでいたのは,何とか完成していたノンアルコールの日本酒「ゆとりゼロ」だったが,それに後から気づいたチェ・シネは坂間酒造との取引を続けることにする。

 

 一方,正和は知らない家の中で意識を取り戻したが,なぜか下半身丸出しになっていた。

 

 

 正和は,この家でかつて山路を振り回した元教育実習生・佐倉悦子(吉岡里帆)が寝ているところを目撃し,見知らぬ男の姿を目撃して逃げ帰える。

 

 ところが,その後,正和には思い当たるフシもないのに悦子から「妊娠しました」というメールが届いた。

 

 この頃から坂間家に中国から精力増強剤が大量に届くようになり,茜は正和が浮気をしているのではないかと疑ったが,これはまりぶの仕業だった。

 まりぶは「エビチリ大王」という動画チャンネルで,正和たちには内緒で中国の動画配信サイトで坂間家の日常を面白おかしく配信していたのだった。

 

 

 又,正和の妹・ゆとり(島崎遥香)も動画配信にチャレンジしており,ハロウィンの日にチャイナドレスを着て渋谷からの生配信をした。

 

 

 この動画の日本国内の再生回数はわずかだったが,中国では大人気を博していた。

 

 まりぶの動画配信が正和たちにバレ,まりぶは姿を消した。

 まりぶの動画で正和は「負け犬」,茜は「鬼嫁」と呼ばれていた。

 坂間家の家族は怒り出したが,正和はこれが我が家の日常だと開き直る。

 

 ところが,次の動画は,ハロウィンの夜に酒に酔った正和がZ世代の若者に絡み,殴られて流血し,警察に助けを求めたものの血をハロウィンの仮装と間違われて相手にされなかった様子が撮影されていた。

 その上,正和は浮気をしたことを自白していた。

 

 悦子は茜に現在彼女が住んでいる家はシェアハウスであり,コロナ禍で国に帰れなくなった外国人や困っている人たちを匿っていたと説明する。

 

 

 そして,チェ・シネとの飲み勝負の後,泥酔して倒れていた正和を悦子が連れて帰ったところ,正和はシェアハウスの人々とすっかり仲良くなり,どれだけ茜のことを愛しているかを熱弁していたという。

 

 

 新年を迎えても行方をくらましたままのまりぶは,新たな動画を投稿していた。

 それは、正和兄弟の母である和代(中田喜子)が仏壇の亡き夫に語りかけている動画だった。

 

 まりぶの隠しカメラは仏壇の中に仕掛けられており,家族が亡くなった父親に色々な本音を話すシーンが撮られていたのだった。

 

 

 

クドカン作のテレビシリーズ続編映画。

 

 こうしてみるとテレビシリーズ以降も活躍している人ばかりで,なかなかの豪華キャストになっている。

 仲野大賀なんて,今度は大河ドラマの主演だし。

 岡田将生は,格好いい役は絶対に引き受けず,悪人役や抜けている善人役などばかりを選んでいる。

 

 話題のテレビドラマ「不適切にもほどがある!」でも存分に描かれているように,クドカンにとって,ジェネレーションギャップを笑いに変えるのはお手の物。

 そういえば,岡田将生も「不適切にもほどがある!」で面白い役どころだった。

 

 「ゆとり世代」と「Z世代」という大人から見れば紙一重くらいの違いでも,これほどに違うということを見せつけてくれる。

 確かに「ゆとり世代」にリモート会議はなかったし,日本企業が韓国資本に買収されるなんてあまり想像できなかった。

 

 登場人物はみんな,悪人ではないものの,しょうがないよねというレベルで自己中心的なところがリアルで良い。

 

 楽しく笑いながらちょっとしたアイロニーも効いていて面白い映画だった。