京都市内で郵便局員をしている皇一(スメラギハジメ,岡田将生)は,せっかちで言動が他人よりワンテンポ速過ぎ,その上ちょっと性格も悪いので,イケメンで本当は優しいのだが女性にはもてない。

 

 

 例えば,同じ京都府内でも本当に京都と言えるのはいわゆる洛中の範囲だけで,それ以外は洛外であって京都ではない,なんてことを言う。

 ただ,彼の弱点は出身地が洛外の宇治ということであり,同僚の小沢(伊勢志摩)にそこを突っ込まれると黙ってしまう。

 

 一の父親,平兵衛(加藤雅也)は,彼が小学生の時,そうめんの薬味にするミョウガとパピコを買いに行くと言ったまま,行方不明になっていた。

 

 

 一は路上ライブ中の桜子(福室莉音)の歌声が好きになり,何度か出会う内に彼女のことが好きになる。

 

 

 桜子も一のことを好きになったようであり,付き合うようになる。

 

 

 一の勤める郵便局には,毎回,切手を1枚だけ買いに来るおとなしそうな女性客がいたが,彼女が番号札を拾っただけの客に順番を抜かされそうになったとき,桜子は彼女を助けようとしてくれる。

 

 そんな出来事があって,一が完全に桜子を信用したとき,彼女から弟の病気のために40万円が必要だと言われる。

 

 一方で,郵便局の女性客は偶然,桜子が,たちの悪い男たちとカツアゲをしている現場を見てしまう。

 

 

 桜子の話は一から金をだまし取るための嘘だったが,日曜日に一は40万円の封筒をズボンのポケットに入れてバスに乗り,桜子との花火デートの場所へ向かう。

 一の後ろの席に座っていた男がポケットからはみ出した封筒を抜き取ろうとしたとき,一は自宅の布団の中で目を覚ます。

 

 一は時計を見て仕事に遅刻したと思い慌てるが,今日は日曜日だから大丈夫だと思い直す。

 そのとき同居している妹の舞(片山友希)と彼氏のミツル(しみけん)がレンジの中から端っこが焦げた40万円の札束を見つける。

 

 

 わけが分からず,桜子との待ち合わせ場所に向かった一は,職場の郵便局で日曜日なのにみんなが働いているのを見て驚くが,次第に今日が月曜日だということに気づき始める。

 だとすれば,昨日の日曜日はどこに行ってしまったのか。

 桜子とのデートはどうなったのか,なぜ彼女に渡すはずの40万円がレンジの中にあったのか,どうして自分はこんなに日焼けしているのか?

 

 翌日,モヤモヤした気分のまま働いていた一のところにいつもの女性が封筒を持ってくる。

 

 

 いつもより,少し重く,いつもの切手代では足りなかったが,一はおまけをする。

 彼女は一と同じように日焼けしていた。

 

 仕事の帰り道,一は通りかかった写真館のショーウィンドウの中に自分が写っている写真を見つける。

 一にはそんな記憶はなかった。

 写真館の主人(笑福亭笑瓶)に尋ねてみると,昨日,アルバイトの女性が良い写真が撮れたから飾って欲しいと言って持ってきたという。

 

 

 その女性は,いつも切手を買いに来る長宗我部麗華(清原果耶)だった。

 

 その写真の場所が天橋立だと聞いた一はスクーターを飛ばして天橋立に向かう。

 天橋立の郵便局で麗華が封筒の宛先にしていた私書箱を見つけた一は,その鍵が実家にあったことを思いだして,スクーターを飛ばしてもう1往復して私書箱を開ける。

 

 私書箱の中には,この前麗華が郵便局に持ってきた封筒の他に彼女が出した沢山の封筒が入っており,中には子どもの頃の自分と麗華の写真が入っていた。

 

 麗華は子どもの頃,両親と乗っていた車が事故に遭い,自分だけが助かった。

 京都府の日本海側にある宮津市の病院に入院していた彼女は同じ病院に入院していた一に励まされた。

 

 

 麗華と一が退院後も文通をしようと約束をすると親戚のお姉さんが,私書箱の鍵をくれて,ふたりともここ宛てに出せばお互いの住所が変わっても手紙を受け取れると言う。

 子どもだった2人は,私書箱まで手紙を取りに行くのが大変だということに気づかず,住所を聞かずに別れてしまった。

 

 麗華は約束を守って私書箱宛てに手紙を出し続けたが,一はすっかり忘れてしまっていた。

 

 麗華は京都市内の大学に入学したが,留年を繰り返し7回生になっていた。

 

 

 彼女は子どもの頃から,全てがワンテンポ遅く,そのせいで色々と失敗もしてきた。

 

 麗華は,ある日,偶然,一を見かけたが話しかける勇気はなく,私書箱に出す手紙の切手を毎日,買いに行くことにしたのだった。

 

 花火大会の日,麗華が写真部の部室を出ると,人も物も全てが止まっていた。

 

 

 訳が分からないまま,街に出ると街も同じ状態であり,麗華は止まったバスに一が乗っているのを見つけるが,一もやはり止まっていた。

 

 バスの運転手(荒川良々)だけは,麗華と同じように自由に動くことができ,やはりうろたえていた。

 麗華が子どもの頃の一との約束を思い出し,運転手に天橋立に行って欲しいと頼むと,訳が分からずやけくそになった運転手はそれを了解する。

 

 こうして麗華は止まったままの一と天橋立観光をして記念写真も撮る。

 

 

 京都市内に戻ってきた麗華と運転手は,最後尾の席にもう一人,動ける人がいるのに気づく。

 それは行方不明だった一の父親だった。

 彼は,この不思議な現象は2回目であり,理由も分かるという。

 

 名前が複雑で画数の多い人は,いつも人生で時間を損している。

 麗華もテストの時に長宗我部麗華を書き終える頃には時間が半分くらい過ぎている。

 そんな人たちのために,神様はそのロスタイムが一定限度貯まると,回りの時間を止めてその分を払い戻してくれるというのだ。

 運転手の氏名は釈迦牟尼仏憲(ミクルベケン)だった。

 

 一の父親は養子であり,結婚前の苗字はやはり長ったらしく,名前の平兵衛と合わせるとやはり,麗華たちの仲間だった。

 平兵衛は世の中のスピードについて行けず,自殺をしようとして家出をしたが,そのときに今回と同じことが起き,何とか生きてみようと思ったという。

 

 平兵衛は,妻(羽野晶紀)の元へみょうがを届けに行き,麗華に家族写真を撮ってもらい,彼女に一に渡すパピコを頼むと旅立っていった。

 

 日曜日が終わり時間が動き出すと麗華は一と採った写真を彼に頼んで私書箱宛てに送る。

 郵便局を出てパピコを渡すのを忘れた麗華は,車にぶつかってしまう。

 一は天橋立の郵便局へ転勤して麗華の手紙が届くのを待ち続けた。

 約1年後,一の前に松葉づえ姿の麗華が現れ切手を買う。

 そして麗華は「ある人に頼まれました」とパピコを手渡す。

 

 

 

 タイトルから,1秒先を行く一が,その能力を使って何かするのかと予想していたが,実際には1秒遅れの人の方に不思議な能力が発現するというトリッキーな展開。

 

 ただ,1秒遅れの根拠が名前の画数が多いというのは,どこから突っ込めば良いのかと思うほど雑な設定。

 

 台湾映画のリメイクらしいが,男性と女性の設定が逆とのこと。

 確かに時間が止まった女性を男が連れ回すというのは,ちょっと引いてしまう設定かもしれない。

 

 1秒早いにしても遅いにしても,名前の画数から人を二種類に分け(普通はどうなるのかも分からない),そこから主要登場人物のキャラ付けをするというのは無理がありすぎる。

 せっかく岡田将生や清原果耶を起用しながら,キャラとしての説得力がない。

 

 もっと徹底的に軽いコメディーにしても良かったのでは?