無敵の殺し屋ファブル(岡田准一)は佐藤アキラと名乗り,田高田(佐藤二朗)が経営する広告会社で元アイドルのミサキ(山本美月)とお宅っぽい貝沼(好井まさお)という男と働いている。

 

 

 また佐藤ヨウコ(木村文乃)は妹という設定でお目付役として近くに住んでいる。

 

 ファブルはボス(佐藤浩市)から,誰ひとり殺すことなく普通の人として生活するように命じられており,誰かを殺すとボスから殺されるということになっている。

 

 ファブルに狙われた者で生き残った者はいないが,宇津帆(堤真一)という男は自分は唯一,生き残ったというのが自慢である。

 実際は宇津帆の売春組織のメンバーをファブルが次々と殺していき,最後に宇津帆が残ったところで,なぜかボスから指令の中止が命じられたのだった。

 

 宇津帆は,現在は殺し屋の鈴木(安藤政信)と組んで素行の悪い若者を誘拐し,バカな親から身代金を取ったあげくに殺してしまうという商売をしていた。

 

 

 だが表向きは慈善団体の代表者ということになっている。

 

 ファブルはある日,公園の鉄棒を使ってリハビリをしている車椅子の少女佐羽ヒナコ(平手友梨奈)を見かけ,彼女を励ますが余計なことをするなと言われる。

 

 

 彼女はファブルが宇津帆の組織を壊滅させたとき,巻き添えで重傷を負い歩けなくなっていた。

 

 ファブルは宇津帆の慈善団体が偶然,田高田の会社にチラシの制作を依頼したことから,ヒナコが宇津帆の組織にいることを知る。

 

 

 ヒナコが歩けなくなった後,彼女の両親が何者かに殺害されており,その復讐のために宇津帆の誘いに乗り,一味に加わったのだ。

 ヒナコはその後,宇津帆のセックスの相手をさせられてきた。

 

 宇津帆の次のターゲットはファブルの同僚である貝沼だった。

 彼は元アイドルのミサキに執着しており,彼女を盗撮したりしていたが,宇津帆たちは更に自分たちで仕掛けた隠しカメラの映像を彼の仕業として母親に見せ,金を出させようとした。

 そして貝沼を一味の井崎(黒瀬純)が誘拐したが,彼がヨウコの住所を話したことから,佐藤アキラがファブルであることが宇津帆たちに知られる。

 

 鈴木は単身でヨウコの元に行き,彼女にボコボコにやられたあげく,そのまま帰され,たまたま来たファブルには食事に誘われるという屈辱を味わう。

 

 

 貝沼は結局,井崎が間違って車で轢いて死んでしまい,井崎もミスの責任を取らされ鈴木に殺される。

 

 ファブルに復讐を誓う宇津帆は襲撃計画を練ると共に,ヒナコに両親の喉を裂いて殺したのが佐藤ことファブルだと教える。

 

 宇津帆の事務所があったマンションを舞台として,大人数でファブル襲撃計画が実行される。

 ファブルは誰も殺してはならないというハンデのなか,超人的な動きで攻撃をかわしていく。

 またヨウコも効果的に彼をサポートする。

 

 

 マンションでの襲撃が失敗に終わった宇津帆と鈴木は山中に逃れるが,ヨウコがそれを追う。

 だが,彼女は鈴木の計略に引っかかり捕らわれてしまう。

 宇津帆はヒナコにファブルを撃つ練習として,まずヨウコを撃ってみろという。

 

 ヒナコに同情していた鈴木は,彼女を止めようとする。

 ヒナコは銃を取りヨウコに向けるが,直前で向きを変え宇津帆を撃つ。

 宇津帆は倒れるが,防弾チョッキを着ており立ち上がる。

 なぜ俺を撃ったと訊く宇津帆にヒナコは,警察が発表していない両親の殺害方法を知っていたのは犯人だからだと答える。

 

 ヒナコは死力を尽くして車椅子から立ち上がり,挑発を続ける宇津帆の方に近づくが,彼が埋めた地雷のスイッチを踏んでしまう。

 

 

 鈴木が止めたため,ヒナコはそこで止まったが,踏んだスイッチから足を放してしまうと地雷が爆発する。

 

 そこにどこからともなく現れたファブルは,鈴木にパワーショベルのバケットで地雷がある場所を押さえるように指示をする。

 宇津帆たちは,いつも殺した相手を埋めるためにパワーショベルを現場に持ってきていた。

 鈴木がバケットで地雷の周辺を押さえ,合図でファブルがヒナコの足を引き抜くと地雷が爆発したが,ヒナコはスニーカーの先が焦げただけで済んだ。

 

 宇津帆はポケットから手榴弾を出し,ヒナコの方に転がし,それを見た鈴木が宇津帆を撃つ。

 だが手榴弾はピンが付いたままであり,ファブルは宇津帆がわざと撃たれるように仕向けたと言う。

 

 ヒナコは歩けなくなったことでもファブルを全く恨んでいないと言う。

 両親に反抗して何も考えずにフラフラしていた自分は,あのときファブルがその男を殺さなければ,売春組織に売られていたという。

 

 ファブルに励まされて,歩ける可能性が見えた彼女は,今度会うときは普通に歩いているからと言う。

 

 

 

 

 これも又,コロナの影響で何回?というほど公開が延びた作品。

 冒頭のカースタントシーンは,何度も繰り返された番宣番組で撮影の裏側まで公開されていたので,ちょっと新鮮味が薄れてしまった。

 

 基本的には何も考えずにアクションとスタントを楽しむ映画で,崩れていく足場を駆け抜けながらのアクションシーンが一番の見所。

 

 宇津帆の動員力が,組織の規模と比べて,ちょっとあり過ぎなんじゃないか?という疑問もあるけど。

 

 もちろん佐藤二朗は面白いし,山本美月のとぼけた感じも良い。

 岡田准一の真顔でのボケと木村文乃の切れのあるツッコミはコンビ芸として成立している。