福浦小春(土屋太鳳)は,児童相談所に勤めているが,母親は子どもに責任を持つべきだという気持ちが強く,ときに非協力的な母親に強くあたることもある。

 

 

 小春の母親は彼女が10歳のとき,引き留める娘に「あなたのお母さんはやめました」と言い残して家を出て行っており,彼女はそれ以降,母親としての務めを果たさない女性に対する嫌悪感が強い。

 

 現在は自転車屋を営む父正秋とその父親である祖父,そして妹で高校生の千夏(山田杏奈)と暮らしている。

 ある日,入浴中の祖父が倒れ,父の運転で病院に運ぶ途中,酔っ払いの自転車を避けようとして事故を起こし,更に自宅1階の自転車屋が火事で燃えてしまう。

 小春は彼氏のところに泊まろうとするが,彼は小春の職場の先輩と浮気の真っ最中だった。

 

 すべてが嫌になった小春がふらふらと歩いていると,閉まる踏切の中に男が倒れているのを見る。

 一瞬,そのままにしておこうかという気持ちになった小春だったが,結局,彼を助ける。

 

 その男は泉澤大悟(田中圭)と名乗り,同窓会で飲めない酒を飲まされてしまったという。

 結局,ファミレスで朝まで一緒に過ごすが,大悟が彼氏に申し訳ないというので,小春はたった今,別れたばかりだと教える。

 小春が奥さんに悪いと言うと,彼は妻は亡くなったと答える。

 大悟はタクシーで帰るが,お礼をしたいと言って名刺を渡す。

 彼は大きな病院を経営する開業医だった。

 

 

 お礼にと言われて食事に行くと,大悟には小学生の娘ヒカリ(COCO)がいた。

 大悟が難しい子だというヒカリと小春はすぐに仲が良くなり,小春はなんども大悟と会うようになる。

 

 

 その間,大悟は祖父を立派な病院で療養ができるようにしてくれ,父親に高給の納棺師の仕事を紹介してくれた上,妹の家庭教師までしてくれる。

 

 こうして,ふたりは結婚をすることになり,小春は一転して幸せな暮らしを手に入れる。

 

 

 だが,小春に懐いているはずのヒカリは,小春が作った弁当を捨てて,クラスで母親に弁当を作ってもらえないかわいそうな子を演じていた。

 

 

 また,大悟は異常なほどのナルシストであり,彼が絵を描くために使っている部屋には子どもの頃から現在までの自分の裸体画が年齢順に飾られていた。

 

 さらにヒカリは,小春が作って誕生日プレゼントとして渡した筆箱をクラスの男子に盗まれたと嘘をつく。

 その男子の母親は子どもと謝りに来るが,後日,小春の家のトイレからその筆箱が出てくる。

 

 小春はヒカリが父親の再婚で赤ちゃん返りをしていると思い,大悟に相談するがお父さんには秘密にするはずのおねしょや好きな男子の話をしてしまっているのをヒカリに聞かれる。

 

 そんなときヒカリのクラスで女子生徒が窓から転落して死亡するという事故が起こる。

 ヒカリは葬式に赤い靴を履いていくと行って聞かず,小春を困らせる。

 

 

 帰りに寄ったファミレスで,ヒカリは亡くなった女の子のことを自分の邪魔ばかりしていたのでゲームオーバーになったと言う。

 彼女はヒカリが好きな男子と仲が良かった。

 

 そんな頃,妹の千夏から大悟が怖いという電話が入る。

 極端な学歴主義で,レベルの低い大学を軽蔑する話を繰り返すが,自分には難関校に合格する自信がないという。

 だが,その頃の小春には妹のことにかまう余裕はなかった。

 

 そして,ある日大悟が絵を描く部屋で彼が大切にしていたウサギの剥製を壊してしまったのをヒカリに見られ,大声ではやし立てられた小春はついにヒカリに手を出してしまう。

 大悟はそれを知り,小春に出て行けという。

 家を出て行く小春にヒカリがすがりつき,行かないでと泣くが,小春はそれを振り払って歩いて行く,かつての自分の母親のように。

 

 やがて小春は大悟と最初に出会ったとき,彼が倒れていた踏切の中に倒れ込む。

 

 

 電車が近づいてきたとき,彼女を救ったのは大悟だった。

 小春を追い出した後,ヒカリが泣き止まないため追いかけてきたのだった。

 

 小春は家に戻り,ある決意をする。

 

 

 小春は大悟とともにヒカリの小学校に乗り込みヒカリがいじめられていると訴える。

 

 しかし,その後,転落した女子生徒はヒカリが突き落としたという噂が流れ,小春と大悟は追い込まれる。

 

 

 そんなとき,小春はふと思いついたことを大悟に告げる。

 校医である大悟は小学校のインフルエンザ予防注射を担当していたが,小春を助手として連れて行き,全校生徒に注射をする。

 

 

 致死量のインシュリンを混ぜた注射により,全校生徒の死体が転がる中,教室で大悟と小春はヒカリだけのための授業をする。

 

 

 

 サイコホラーというのだろうか,どこか「悪の経典」を思い出させる内容でもある。

 

 田中圭はサイコパス役が板についてきた感じもあるが,土屋太鳳のサイコパス役はリアルで怖すぎる。

 

 この結末自体がけしからんとは言わないが,序盤のコントのような不幸連鎖からは違和感が強いし,かなり真面目な子育ての悩みからこの結末に持ってくるのは納得できない。

 

 土屋太鳳は出演するか悩んだというが,全体にストーリーの作りも雑だし,やめておいた方が正解だった気がする。