書店に勤める三角康介(志尊淳)には子どもの頃から幽霊が見え,それに怯えて暮らしてきた。

 しかも小学生の頃,自分の話を馬鹿にして川に入った同級生が幽霊に引きずり込まれたのを見て,助けずに逃げ帰ったというトラウマもあった。

 

 三角に突然話しかけてきた冷川理人(岡田将生)という男は,彼が怯える幽霊を祓って見せた。

 

 

 冷川は三角の肩に手をかけて,こんなにはっきりと見えるとは,と驚き自分との契約を迫る。

 

 生まれつき霊を祓う能力を持つ冷川は,それを生業としており,三角と組めば効率的だと言う。

 自分と組めば幽霊が怖くなくなるという話にひかれ,三角はそれを承諾する。

 

 こうしてふたりで除霊をするようになったが,ある日,半澤(滝藤賢一)という刑事が訪ねてくる。

 彼は冷川に連続バラバラ殺人事件の見つからない遺体の一部を探すよう依頼する。

 犯人は自殺しており,もう自供させることはできない。

 

 三角は犯人の住んでいたアパートで,犯人の幽霊からある廃墟のイメージをつかみ,それを絵にする。

 半澤はそれとそっくりな建物を見つけ3人で乗り込む。

 冷川と三角が異様な雰囲気を感じ,その方向を指さし,半澤が行ってみると複数のバラバラ遺体から作り上げられたひとりの女の死体が横たわっていた。

 

 

 その死体は,事件から日数が経っているのになぜか腐敗していなかった。

 三角に冷川は,あれは呪いのための装置だと教えてくれる。

 冷川は,犯人の幽霊が叫んだヒウラエリカという女に操られて呪いのための装置を作り上げたのだと言う。

 ヒウラエリカを止めないのかと聞く三角に冷川は,それは自分の仕事ではないと答える。

 

 高校生の非浦英莉可(平手友梨奈)は,道で会った女性弁護士(北川景子)に心の中で呪いをかける。

 

 

 するとその女性弁護士は,車道に飛び出し,車に突っ込んで死んでしまう。

 

 ヒウラエリカのことを考えていた三角のところに突然,非浦が現れ彼の心の中を読み取り,冷川に支配されていると告げるが,三角は腰に激痛が走り気を失う。

 

 

 その後,三角は自分の腰に何かの模様が記されているのに気づく。

 

 一方,冷川は三角に呪いのための装置が無効になっても,すぐに別の装置が作られるだろうと予言する。

 案の定,半澤が見つけてきた不審なビルの中には膨大な呪いが渦巻いていた。

 冷川は,そういうものを一切信じない半澤を安全装置として使用するため地面に描いた三角形の一角を彼に踏ませる。

 呪いの力が強すぎるときは,その三角形の中に退避するのだが,三角はあまりの呪いの力に気を失ってしまう。

 

 冷川の事務所で目を覚ました三角は,あれをどうするのかと聞くが,冷川はどうもしないし,その方が自分の商売には良いと答える。

 そればかりか,あの呪いの貯金箱のようなものを上手く使えば,自作自演で商売ができるとまで言い出す。

 三角は冷川の態度と自分を支配するために腰に何かの模様を入れたことに激怒し,事務所を辞めると言って出て行く。

 

 三角は半澤に不満をぶちまけるが,彼から冷川の生い立ちを聞く。

 かつてある新興宗教の教団内で集団殺戮が行われ,多数の信徒たちが死んだが,唯一,生き残ったのが教祖として祭り上げられていた子どもの頃の冷川だったという。

 冷川は,ずっと教団内で育ち,世間のことを何も知らないので一般的な善悪の判断はできないと言う。

 そして彼は事件のことはショックですべて忘れており,教団内で何があったのかは今でも分からないと。

 ただ,半澤が事情聴取をしていたときに,冷川から,その信じない力は素晴らしいと言われたという。

 

 非浦は自分たちが作った呪いの貯金箱を誰かが調べていることに気づき,そこへ行ってみる。

 妻冴子(桜井ユキ)と上司の昇進祝いに向かっていた半澤は,非浦を見かけてビルの前で彼女に話しかける。

 非浦は警察がこのビルに気づいていることに驚き,半澤を操って知っていることを話させようとするが,半澤には呪いがかからない。

 

 

 非浦は焦るが,道の反対側に半澤の妻がいることに気づき,彼女に呪いをかける。

 冴子は目から血を流して倒れ,非浦は半澤から逃げる。

 

 半澤の妻は病院に搬送されるが危篤状態が続く。

 三角は冷川に半澤の妻の呪いを祓うべきだというが,冷川は,そんな義理はないし,そもそも呪いが強すぎて自分には祓えないと言う。

 

 そんなとき冷川は,ある男に車で強制的に連れ去られ,それを止めようとした三角も一緒に連れ去られる。

 冷川たちを連れ去った男は,非浦に取り憑いた呪いを祓えと命じる。

 非浦は半澤の妻を呪ったときにあの呪いの貯金箱を使ったのだが,呪いの力が強すぎ自家中毒のような症状になってしまっていた。

 

 

 仕方なく非浦の呪いを解いたとき,冷川は,自分の教団にいた石黒という男(筒井道隆)が,非浦を使っている教団にいることに気づく。

 非浦は子どもの頃,無自覚に呪いを体内に飲み込んだが,自分の母親が通り魔に殺されたとき,その通り魔を一瞬で呪い殺した。

 その力に目を付けた石黒は,彼女を父親(マキタスポーツ)ごとある教団に取り込み,呪いの力で勢力を伸ばしてきた。

 

 最近,ある政治家の周辺の人物が次々と死んでいったが,警察はどうしても事件性を見つけることができなかった。

 非浦が呪い殺した女性弁護士もその政治家の関係者だった。

 呪いの貯金箱は,つぎはぎの死体の代わりにこの教団が作り,非浦がそれを増幅していたのだ。

 

 

 三角は半澤の妻を助けるために呪いの貯金箱を壊そうと考え,非浦とともに例のビルに向かう。

 半澤にはビルの入り口で教団関係者を阻止するように頼む。

 

 非浦は呪いのドアの入り口を開き,三角は中に進む。

 ドアから呪いが外に噴き出し,街中でさまざまな犯罪が起こる。

 

 三角は自分の子どもの頃のトラウマになんども心を責め立てられ,気を失いそうになるが,そこに冷川が助けに来る。

 冷川は呪いの中を進む内,子どもの頃の記憶がよみがえる。

 石黒から呪いの方法を教えられた冷川は,教祖として母親(内田慈)から引き離されたことに怒り,教団の中で呪いを爆発させたのだ。

 そのせいで,殺し合いが起こり,冷川の母親も殺されてしまった。

 

 石黒は冷川が母親から貰って大切にしていた万華鏡をその隙に持ち去り,この呪いの部屋に置いていた。

 やがて呪いはすべて消え去り,冷川と三角は何もないただの空き部屋の中で目を覚ます。

 非浦もドアのところで倒れていたのを救われる。

 半澤の妻は,奇跡的に回復する。

 

 冷川には,少し普通の人間らしい感情が芽生える。

 三角は母親(和久井映見)に自分に幽霊が見えることを告白するが,母は何もなかったようにその話を受け止める。

 そして,幽霊を見ても怯えることはなくなった。

 非浦は普通の女子高生に戻ったが,彼女の体にはまだ呪いが残っている。

 

 

 平手友梨奈の「響」以来の映画出演作で,オカルトものということになるのだろう。

 

 話はかなり雑で,よく分からないところや未解決のまま放置された部分もあってモヤモヤが残る。

 

 話の肝になっている半澤の「信じない力」というのも曖昧で,ストーリー作りのためのご都合主義のような気がする。

 

 和久井映見は,理解のある母親役がすっかり定着している。

 出て来てすぐに死ぬという北川景子の使い方が,贅沢と言って良いのか,やっぱり雑と言うべきか。

 

 せめてもうちょっと,オカルトミステリーらしい空気感でもあれば良かったんだけどなぁ。