レストランの雇われ店長向井幸治(淵上泰史)は,自分の店で開くパーティーの準備に余念がない。

 妻で獣医の杏(木南晴夏)も手伝うが,なんとなくギクシャクした感じである。

 

 パーティーの出席者である園山零士(田口浩正)は法律事務所の事務員であり妻薫(常盤貴子)と3人の子ども,そして自分の母とともに団地暮らしであるが,どうもマッチングアプリを使って浮気をしているらしい。

 薫もパーティーの出席者であるが,やはりスマホを使って怪しい行動をしており,直前に来たSNSの連絡を見てこっそりパンティーを脱いで家を出る。

 

 もう一組の出席者,美容整形外科医の六甲隆(益岡徹)と妻で精神科医の絵里(鈴木保奈美)は一見,仲睦まじいが,年頃の娘(桜田ひより)は母絵里と険悪な感じで行き先を告げずに家を出て行く。

 

 3組の夫婦が会場に揃ったが,最後の出席者,唯一の独身小山三平(東山紀之)は,途中でスマホを見ながら葛藤していた。

 

 先に着いた夫婦たちの話題は,唯一の独身である小山が今日,連れてくるはずの恋人のことだった。

 特別な集まりであるこのパーティーに,直接の関係がない小山の恋人を加えることができるか,という話だったが小山には人を見る目がないから心配だという話が出た。

 しかし,真面目で話が面白くないが,人の良さは素晴らしい小山の良さに気づいて彼のことを好きになる女性なら,きっと良い人に違いないという話に落ち着く。

 

 ところが遅れてきた小山はひとりきりで,恋人は体調が悪くて来れなかったという。

 

 それでは仕方がないということでパーティーが始まるが,やはり杏の様子がおかしい。

 

 

 彼らが知り合った時,向井と杏は全くの他人であり,2年前にみんなに祝福されて結婚した。

 しかし,向井の女ぐせの悪さは,みんなも気づいており心配はしていたのだが,杏はやはりそれを気にしているようで,結婚を後悔しているようだった。

 そして彼女は,夫婦なら些細なものは別として,本当の秘密はないはずだから,このパーティーの間中,全員のスマホをテーブルの上に置いて内容を公開して欲しいと頼む。

 

 それに最初に応じたのは絵里であり,夫の六甲もやむなく応じ,薫も応じる。

 園山はいちばん抵抗したが,やむなく応じることになり,小山も巻き込まれる。

 当然,向井もスマホを出さざるを得なくなる。

 

 こうして,パーティーは急に重苦しい雰囲気になる。

 

 そして緊張の中,最初は迷惑メールが何通か来て笑い話で終わる。

 

 最初に本当の電話があったのは小山であり,それは塾講師の採用通知だった。

 

 

 元教師だった小山は,まっすぐな性格のため周囲と衝突して辞め,塾講師をしていたが,前に勤めていたところは,経営者がトランスジェンダーの生徒を差別したため辞めてやったという。

 

 その後,園山の母親から薫の料理が不味いという電話がかかってくる。

 

 こうして,最初の重苦しい空気は少し和らぐが,9時が近づくにつれ園山はそわそわし始める。

 そして,タバコを口実に小山をテラスに呼び出し,携帯を交換して欲しいと頼み込む。

 たまたまふたりの携帯だけが同機種だったのだ。

 園山はマッチングアプリで知り合った女と浮気をしているが,9時にその女からメールが来る予定になっている,独身の小山なら問題はないはずだから,と言うのである。

 

 小山は承諾したわけではなかったが,9時直前に園山がみんなの隙をついてスマホの位置を入れ替えてしまう。

 すると9時にエロいおばさんの下着姿の写メが送られてきて,昨日のプールでのプレイで風邪を引いたと書かれていた。

 

 

 小山の恋人が体調を崩して来れなかったという話と一致してたため,みんながそのエロいおばさんが小山の恋人だと思い込んで盛り上がる。

 

 ところが,園山の前に置いてあった小山の携帯が鳴り,若い男(室龍太)から酷い仕打ちを受けたと訴える動画が届く。

 みんなは,園山がゲイだったのかと驚くが,いちばんショックを受けたのは妻の薫と,急にゲイという話になってしまった園山本人だった。

 だが,薫のスマホにも「ちゃんと指示を守ったか」というメッセージが来る。

 履歴をたどって,それがパンティーをはかずに行けという指示だったことが分かり園山は激昂する。

 薫は開き直って,みんなの前でスカートをめくって見せ,SNSの遊びのやり取りだけで会ったこともないと言う。

 

 薫は杏に結婚について失望させて悪かったけど,六甲さんのところは大丈夫だからと言う。

 

 絵里は冷たく笑うが,六甲の携帯に娘から電話がある。

 その内容は,妊娠していなかったというものだった。

 絵里は六甲に対して,娘が自分にだけ心を開いていて満足でしょうと突っかかる。

 六甲は絵里に君は厳しすぎるからというが,彼の携帯がもう一度鳴る。

 それは絵里のライバルである精神科医からの予約の確認だった。

 絵里は,妻が精神科医なのによりにもよっていちばん嫌いなやつのところに通院するってどういうことと激怒する。

 

 そんなとき,向井の携帯が鳴り,杏がそれを見ると元カノが陽性の妊娠検査薬を持って笑っている写メが来ていた。

 杏が元気がなかったのは,向井の浮気だけではなく,なかなか子どもができなかったからなのだが,検査を受けようという杏に,向井が自分はいいと言っていた理由が判明する。

 不妊の原因は自分と分かり,杏はますます落ち込む。

 

 そんな杏の携帯に興信所からの報告書が届く。

 今更,浮気の確認なんか意味がなくなったと言いながら内容を確認すると,向井が絵里とホテルから出てくる写真が添付されていた。

 

 こうしてパーティーはめちゃくちゃになるが,我慢できなくなった小山が真実を話し始める。

 自分は実はゲイで生徒と恋仲になり,今日,連れてこようと思って彼にもそう言っていたのだが,直前でみんなが受け入れてくれるか不安になってひとりで来た。

 さっきの動画はそれを責めているもので,向井に頼まれてスマホを交換したせいで変なことになってしまったと言う。

 こんな状態では,来年からパーティーはないだろうから,もう彼をみんなに紹介する機会もなくなってしまったと悔やむ。

 

 彼らは,自分たちがこのパーティーを開くことになった最初の気持ちを思いだしてみる。

 10年前の台風の日に洪水になり,たまたま同じビルの屋上に避難した8人。

 その内,ひとりはまだ小さかった六甲夫婦の娘。

 彼女は,絵里のそばを決して離れようとはしなかった。

 3日間,励まし合い,たまたまあったコンビーフの缶で生き延びた後,毎年,みんなで再会しようと誓い合って始まったパーティー。

 

 避難していた間,常に悲観的で絶望していた杏を明るく励まし続けた天然キャラの向井。

 そのふたりが後に結婚することになり,みんなは泣いて祝福した。

 その気持ちを思い出すと,やはり誰がどうなってもパーティーは続けようという話になる。

 

 

 そして,小山の恋人をみんなで受け入れることも。

 

 

 

 

 元はイタリア映画で,世界18カ国で翻案されたものの日本版。

 

ちょっと日本的ではない感じがするところもあるが,世界中の人が面白いと思った内容なのでさすがによく出来ているし,上手い俳優ばかり揃えているので面白くない訳がない。

 

 やっぱり木南晴夏は面白いが,ちょっとふっくらしていて,もしかしたら妊娠中の撮影だったのかも知れない。

 役柄が不妊に悩むというところなので複雑な感じはある。

 

 テーマも今的なものもあるし,よく出来た映画だと思う。