小早川直実(多部未華子)は小さな出版社に勤めていたが,両親が交通事故で亡くなり,叔父小早川雅博(鶴見辰吾)の計らいでタワーマンションにひとりで住むことになる。

 

 

 名目上は管理人だが,仕事は何もなく今まで通り出版社に勤めている。

 

 野村(岩下尚史)という社長が経営するその出版社は郊外にあり,良心的な出版を心がけているが,かと言って採算度外視というわけにもいかない。

 

 

 その出版社からデビューした作家吉田理(大森南朋)の次回作を自社で出すのかどうかも難しい判断だった。

 

 

 彼の担当は元々直美だったが,現在は同僚の木下愛子(岸井ゆきの)が担当している。

 だが彼女はできちゃった婚で近く結婚の予定であるとともに出産の予定でもあった。

 

 

 そこで直美は再度,自分が担当したいと上司に相談していた。

 

 

 仕事以外では,直美は長年一緒に暮らしてきた黒猫ハルと,タワーマンションで淡々と過ごしていた。

 

 

 ある日,彼女はエレベーターで,ある男性と出会い親しくするようになるが,彼は人気俳優時戸森則(岩田剛典)であり,直美の部屋の窓からも彼が大きく写った広告看板を見ることができた。

 

 

 何度かマンションの中で出会う内に,直美は時戸のミステリアスな部分に惹かれていくが,彼も直美との仲を深めていく。

 

 

 一方,直美は愛子から妊娠中の子どもは結婚相手の子ではなく,吉田の子どもだと知らされる。

 吉田には妻子がおり,不倫関係だったが,直美は実直そうな彼に自分が気づけなかった一面があったことに驚く。

 愛子は,結婚相手には嘘をつき通すと言う。

 

 直美は時戸との交際に浮かれていたが,ある日,彼のスキャンダルが報じられ,それ以降は会うことがなくなる。

 

 

 またハルが体調を崩し,獣医からストレスが原因の可能性があると言われる。

 ハルは人見知りで,直美だけが部屋にいる時にしか出てこないが,時戸が出入りするようになってからは,ほとんど物陰に隠れていたのだ。

 結局,ハルは死に直美は周囲にも辛く当たる。

 

 特に子どもがいない寂しさを直美の世話をすることで紛らわせようとしている叔母の明日子(美村里江)の存在が,煩わしくて仕方がなくなる。

 

 

 ペットの火葬を自動車で行う業者(永瀬正敏)に依頼した直美は,海辺でハルを火葬する。

 

 

 なんとか先に進みたいと思った直美は,時戸へのインタビューを古田にまとめさせて出版しようと考える。

 

 

 

 多部未華子主演で岸井ゆきの共演ということで,期待して観たが残念なでき。

 ストーリーとして成立していない。

 

 起承転結だけがストーリーだとも思わないし,曖昧な解決が許せないわけではないが,あまりにも散漫であり,それぞれの出来事に意味づけをすることが難しい。

 

 曲をもとにしたという映画は,感心しないできのものが多いが,まさに・・・という感じである。