売れない脚本家の豪太(濱田岳)は妻チカ(水川あさみ)とのセックスレスに悶々とした日々を送っていたが,去年の年収が50万円では強い態度には出れなかった。

 幼稚園に通う娘のアキ(新津ちせ)との暮らしを支えるため,チカは働いており,日々,疲れている彼女とセックスをするにはかなりのご機嫌取りが必要だった。

 

 

 チカの産休中に豪太もパートに出ていたことがあるが,そこの同僚だった吾妻というおばさん(大久保佳代子)に迫られ,妻の出産後に退職していた。

 アキを公園に遊ばせに行って,若いお母さんたちの姿ににやけていると,偶然,吾妻に再会し,またもや怪しい雰囲気になり,豪太は逃げ出す。

 

 

 担当者に呼び出された豪太は3年前に出した「ものすごい速さでうどんを打つ女子高生」という企画が採用される可能性があると言われ,また,以前から脚本を出していた「八日村の呪い」の映画化が進みそうだと告げられる。

 うどんの話については,現地取材が必要であり,高松まで行かなければならないが免許のない豪太はチカに同行を頼むしかなかった。

 

 

 仕事を休みたくないというチカに「八日村の呪い」の印刷された脚本を見せて,金が入るからと説得する。

 

 結局,家族3人で青春18切符を使って取材旅行に出かける。

 

 

 子連れで電車旅は過酷だったが,それなりに楽しいこともあった。

 

 

 しかし,一泊目のホテル代を節約するため,豪太とアキだけでシングルの部屋に泊まると予約したチカは,後から忍び込もうとして散々な目に遭う。

 

 

 また,3年ぶりの運転は不安がいっぱいだった。

 

 

 「ものすごい速さでうどんを打つ女子高生」の取材に行くと,白目をむきながら取り憑かれたようにうどんを打つ姿に豪太とチカは引いてしまうが,両親(光石研・ふせえり)から既に映画化と漫画化決まっていると知らされる。

 豪太とチカは女子高生の両親からは歓待されるが,運転のために酒を飲めないチカはどんどん不機嫌になる。

 

 企画が不発に終わった上,取材にも消極的だった豪太に対してチカはますますきつく当たる。

 二泊目の民泊はこぎれいなマンションの一室で,豪太はテンションが上がるが,不機嫌なチカは当然,セックスに応じない。

 

 しかも深夜に出かけた豪太は酔っ払って路上に座り込んでいた若い女にいたずらしようとして職務質問を受け,朝まで交番に留め置かれる。

 迎えに来たチカは激怒し,警官にも豪太にも当たり散らす。

 

 チカは近くに住む大学時代の友人由美(夏帆)の家に遊びに行く。

 豪太とチカと由美は,同じ大学の映画研究部の仲間であり,当時,豪太は脚本が映画化されつつあり,部の希望の星だった。

 チカと豪太は付き合い始め,パソコンを使えない豪太の手書き脚本をチカが入力したりしていた。

 

 その頃,開運のために買った赤パンツをチカは今でも履いている。

 

 

 豪太はアキを連れて海に遊びに行くが,そこで吾妻と怪しいチャットのやりとりをしているうちにアキが迷子になり,ライフセーバーから叱られる。

 

 

 一方,学生時代から豪太を高く評価していた由美は,豪太とアキも呼べば良いと言ってタクシー代まで出してくれる。

 

 

 由美はチカに若い男と不倫をしている話をし,チカに夫に求められている内が花だと言う。

 

 

 その話を聞いたチカは少し気が緩み,その日の夜,豪太とセックスをする。

 

 

 何となく雰囲気が良くなった豪太とチカは,割り切って四国観光を楽しむ。

 

 

 企画はだめになったが,映画化が進めば経済的にも少し余裕ができるはずである。

 

 

 なんだかんだと言って,豪太の脚本の才能に希望を持っているチカは,彼に小説を書くことを勧める。

 

 こうして家族で機嫌良くお寿司を食べ,チカが酒を飲んでいるところに,電話がかかってくる。

 映画化の話が,原作者から脚本にクレームがついて頓挫したというのだ。

 

 こうして豪太とチカは,再びどん底に突き落とされるが,しばらくして豪太の小説の原稿を入力しながら,その内容に思わず吹き出しているチカがいた。

 

 

 

 この作品の監督の自伝的な内容らしい。

 

 舞台挨拶で,新津ちせが,両親役のあまりに激しいケンカに,「ウチのお父さんとお母さんとはあまりに違って,もうやめて欲しいと思った」と言ったところ,監督から,「君のお父さん(新海誠)のようにヒット作を連発していればケンカもしないけど」という話が出たのが面白い。

 

 新津ちせもやっぱり上手い。

 

 水川あさみのおなか周りが結構ぽっちゃりで,二重あごだったりもしたが,役作りのために5キロ太ったと聞いて納得。

 あの役で,女優ボディはリアリティがないだろう。

 

 大久保佳代子の演技はちょっと誇張されすぎのような気もするけど,豪太のゲスっぷりも負けていない。

 そのあたりも自伝的なのだろうか。