大貫はじめ(丸山隆平)は養護施設で育ち,その後盗みを働いて少年院にも入っていたが,更生して真面目に働いていた。
恋人の藤岡美沙(高畑充希)と同棲し,仲睦まじく暮らしていたが,自分の過去については話していなかった。
美沙の誕生日に待ち合わせてプレゼントを買いに行こうと約束したが,彼女を待つはじめの前に,かつての泥棒仲間の畠山則男(宮川大輔)が現われ,美沙に過去をばらされたくなければ,盗みに協力しろと言われ無理やり連れて行かれる。
畠山が狙っていたのは,前園俊太郎(市村正親)という絵本作家の家だった。
畠山は金庫破りの名手だったはじめに勝手口の鍵を開けさせ,忍び込む。
1階には大きな金庫があり,畠山ははじめにそれを開けろと命じるが,はじめが嫌がっている内にキッチンのドアが開き,洋服をワインで濡らした前園が現れる。
畠山は前園に見つかる前にクローゼットの中に隠れるが,はじめは立ち尽くす。
しかし前園は,はじめを出版社の編集者だと勘違いして対応する。
着替えがエプロンしかないことに不満を言いながら前園がキッチンに戻ったとき,本物の編集者の奥江里子(石橋杏奈)が入って来る。
玄関の鍵は開けっ放しだった。
奥ははじめを前園と勘違いをするが,そのときキッチンのドアが開いて,裸にエプロンという前園が現れる。
はじめは奥に,認知症が始まったお手伝いさんだと耳打ちし,奥はそれに納得する。
更にそこへ絵画教材のセールスマン轟良介(ユースケ・サンタマリア)が現われ,居座ってしまう。
轟は,奥を偽前園であるはじめの奥さんだと勘違いしてしまう。
そんなこんなでバタバタしている内に,はじめは前園が自分が子どもの時に大好きだった絵本「タマとミキ」の作者であることに気づく。
更にそこに隣に住むクレーマー高梨仁(片桐仁)が,エアコンの室外機がうるさいと怒鳴り込んでくる。
自分の創作活動の邪魔になると言うが,彼は20年間も歌手を目指して叶わず,最近はユーチューブで歌を配信しているのだった。
高梨は,帰国子女の奥が英語でまくし立てて追い払うが,その後,前園にははじめの正体がばれてしまう。
はじめは前園に事情を説明するが,正直に自分の過去を打ち明けなかったのが良くないと咎められる。
だが,前園もすでに才能が涸れ絵本を書くことができないと打ち明ける。
「タマとミキ」は,妻との共作だったが,妻がタイトルを勝手に変えたことや意外に売れてしまったことから関係がぎくしゃくしてしまい,仲直りをする前に妻が事故で亡くなってしまったという。
それ以降,「タマとミキ」の続編は書かないと決めたが,新しい物語を書く力もなくなってしまった。
奥は,はじめと前園の雰囲気がおかしいことに気づいていたが,更に誤解を重ね,前園が偽前園はじめのゴーストライターだと指摘する。
前園はその誤解をそのままにして,その場の全員で絵本のストーリーを考えることにする。
だがしびれを切らした畠山がクローゼットの中から現われ,全員をナイフで脅してはじめに金庫を開けさせる。
すでに売れっ子ではなくなった前園が,金目の物は金庫の中にある「タマとミキ」の原画くらいだと言っていたのを聞いたからだった。
だが,前園は鍵を無くしてしまい,自分でも開けられないという。
はじめは金庫を開けるが,原画を畠山に渡すことを拒む。
前園は畠山にボコボコにされるが,その時に警察官が訪ねてきて畠山は逃げ出す。
高梨が前園たちが楽しそうに絵本のストーリーを考えているのを窓から見て,僻みで警察に電話をしたのだった。
前園ははじめを庇うために事件は何もなかったと説明するが,せっかくみんなで考えた絵本のストーリーは編集長に却下され,前園の絵本は出版されないことになる。
実は前日,前園は編集長から「タマとミキ」の続編でなければ出版できないと言い渡されていたのだ。
金庫から取り出された原画を見ていたはじめは,その中に前園の妻の手紙が入っているのに気づく。
空気を読めない轟がそれを前園に渡さずに自分で朗読してしまうが,それは妻から前園への仲直りのメッセージだった。
はじめは,そのとき「タマとミキ」というタイトルが逆から読むと「君とまた」になることに気づく。
妻がタイトルを変えたのは,また前園と楽しく絵本を作りたいという希望を込めてのことだったのだ。
創作意欲が湧いてきた前園は「タマとミキ」の続編を書くことにする。
はじめは美沙の待つ家に帰ろうとするが途中で畠山に捕まる。
しかしはじめは,美沙に本当のことを言うので,もう盗みには協力しないと言い切り畠山を振り切る。
約束をすっぽかされてふて寝をしていた美沙にはじめはおそるおそる本当のことを話すが,彼女は付き合う前からその事実を知っていた。
はじめの勤め先の工場長が話しているのを聞いてしまったのだが,はじめの言動を見て,悪い人ではないと思って付き合い始めたというのだ。
映画館がどこもやっていないのでネトフリで去年見逃した作品を鑑賞
勘違いが積み重なっていくというパターンの話なのだが,全体的に緩い。
去年,迷ったあげくに観なかったのは,そういう予感がしたからなのだが,結局的中していた。
タイトルから主人公は売れない役者かと思っていたのだが全然違っていた。
あの程度のやり取りを役者と表現するのはオーバー過ぎる。
石橋杏奈は,テレビのコント番組でもっと強烈なキャラをやっているし,ユースケ・サンタマリアもエイプリルフールズでの名演技と比べるとつまらない。
芸人の宮川大輔だけがボケなしのシリアス演技で,しかも浮いているという地獄のような立ち位置。
丸山隆平も中途半端な感じだし,市村正親はあんなものなのかなぁ。
やっぱり映画館に行くまでもなかった。