卒業間近の薬学部女子大生野畑七瀬(広瀬すず)は,野畑製薬社長の父親計(堤真一)を毛嫌いしている。
子どもの頃は何でも理詰めで考える理科系の父親が好きで,元素記号を暗記したり,一緒に実験をしたりしていたが,研究に没頭する父が母の死に目に会えなかったことをきっかけに父を嫌うようになったのだ。
就活もそっちのけでデスメタルバンドで,父親に死んでくれという内容の歌を歌っている。
一方,学生時代,計と彼の妻になった百合子(木村多江)を争った別の製薬会社社長田辺(嶋田久作)は,野畑製薬が開発した若返りの薬を手に入れたいと企み,強引な合併工作を行っていた。
野畑が信頼する部下,渡部(小澤征悦)は,田辺が送り込んだスパイだったが,なかなか成果を出すことはできなかった。
渡部は,社員の藤井(松田翔太)が作った2日だけ死ぬ薬を野畑に飲ませ,彼が死んでいる間に残りのボンクラ役員たちを集めて合併を決めてしまおうとするが,上手く行かない。
それを聞いた田辺は,野畑が生き返らないように早々に火葬にしてしまえと命じる。
野畑に命じられて七瀬を監視していた松岡(吉沢亮)は,持ち前の存在感の無さから渡部の計略を聞き,野畑の死が一時的なものであることを知って,それを七瀬に伝える。
松岡と七瀬は,野畑が生き返る時間を稼ぐために盛大な葬儀を出そうとするが,田辺の策略により葬儀場の予約は全て埋まり,通販の棺桶もすべて売り切れという状況になる。
棺桶はデスメタルバンドの舞台装置で使っていたもので間に合わせ,会場は郷ひろみが体調不良で急遽キャンセルになったホテルのディナーショー会場を押さえる。
ただホテル側にはあくまでもデスメタルバンドのライブだということにする。
一方で,松岡と七瀬は,野畑を本来よりも早く生き返らせる方法があるはずだと考え,それが書かれた記録を探るがなかなか見つからない。
七瀬は幽霊になった野畑の姿を見ることはできるが言葉が伝えられないのだ。
結局,記録は母百合子の仏壇の3Dホログラムの下にあり,電気ショックで早く生き返らせることが可能だと分かる。
そして,同時に父が母の死に目に会えなかったのは,ぎりぎりまで彼女を救う薬を開発していたためだったということも分かる。
デスメタルバンドのライブに見せかけた葬儀は,田辺の手下たちの乱入で大混乱になり,静電気体質の松岡が野畑にキスをして電気ショックを与えたが,蘇生前に火葬場に入れられ,点火されてしまう。
だが,葬儀の時宇宙飛行士の野口さんが棺に入れてくれた宇宙服を棺桶の中で着込んだ野畑が炎の中から現われ,結局,田辺の計略は頓挫する。
野畑は若返りの薬なんて意味がないと言い,データを火葬場の炎の中に放り込む。
松岡と七瀬は,恋に落ち静電気が来ない方法でキスをする。
盛大に宣伝をしていた広瀬すず主演のどたばたコメディ。
ほぼ無意味なちょい役に佐藤健,池田エライザ,西野七瀬,城田優,志尊淳などの有名俳優がボロボロと出てくる贅沢な作りだが,中身の方はどたばたコメディ以上のものはほんどない。
親子の情愛的なものを匂わせる部分もあるが,あまり効いていない。
どたばたコメディが悪いわけではなく,それなりに楽しめるし,広瀬すずの歌も上手いし,振り切ったコメディもできますという部分も観れて悪くはない。
ただ,やっぱりちょっと雑かなぁというところもあるけど,期待が大きすぎたのかもしれない。