平良みずほ(波瑠)は亡くなったおばあの跡を継いで沖縄でがじまる食堂を経営しているが,ある日,荷物を全部盗まれたという城島隼人(小柳友)が転がり込んで来る。



 しかも同じ日に,幼なじみの元カレ島袋翔太(桜田通)が,個展に出す絵を描くために東京から沖縄に戻ってくる。



 みずほの元カレへの複雑な気持ちを察した隼人は,みずほに恋人のふりをすることを提案する。
 案の定,翔太はふたりの仲を気にし始めるが,翔太が絵のモデルに採用した美人菅田莉子(竹富聖花)が現れると,今度はみずほがふたりの仲を気にし始める。



 莉子は翔太に,みずほと隼人は絶対に本当の恋人ではないから,みずほとやり直したいのなら積極的に行くべきだとアドバイスをする。
 しかし,みずほは自分の揺れる心を優しく受け止めてくれる隼人に惹かれ始める。しかも,翔太と別れたのは彼の誕生日にサプライズで東京に行ったとき,彼が別の女性を親しげに部屋に入れるのを見たからだった。

 そんなとき,みずほも翔太も思いもよらなかった隼人と莉子の関係が明らかになる。
 莉子は隼人の元婚約者であり,隼人の気持ちを確かめるために結婚式をすっぽかしたのだった。
 しかし,隼人は莉子を追うことはなく,あいまいな気持ちのままキャンセルもしなかった新婚旅行先の沖縄へひとりで来たのだったが,そこで莉子を見かけ,逃げ出したのだった。

 みずほは,隼人から,東京で見た女性は翔太の浮気相手ではなかったことを聞いたが,翔太に別れを告げる。
 真剣に向き合うことができなくなっていた時点で,ふたりの関係は終わっていたのだという。

 みずほは東京に帰る隼人を空港に追うが,莉子とともに搭乗口に消えていく隼人を何も言えずに見送る。
 そしていつものようにガジマルの木に手を当てて自分の心を確かめていると,その手に重ねられた手は・・・



 名作「みなさん、さようなら」でファンになった波瑠の主演映画ということで,期待して観に行ったのだが,しっくりこない内容で残念。

 ストーリーが強引でぎくしゃくしている。
 隼人と莉子の関係が,理解しづらく,わざわざ隼人のセリフで心情を解説しなければならないというのは,いかがなものか。

 しかも,一番しっくりこないのは,みずほが東京で翔太の部屋に入っていく女性を見たときに,真剣に翔太と話ができなかったことをふたりの関係の終わりだと言いながら,空港で隼人が莉子と一緒にいるのを見て,また,何も言わないというところ。
 さらにそれにもかかわらず,また隼人が戻ってきて,取って付けたようなみずほとの本当の最初の出会いを語ってふたりの仲が戻るというのは,あまりにも強引。

 話の中身も,きれいに描かれてはいるが,実際はけっこうな修羅場である。

 そもそも隼人と莉子に変な関係を設定するから,こういうことになるのであり,赤の他人にしておいた方がずっと良い映画になったと思う。

 波瑠の演じたみずほのキャラも,最初の方で隼人に問い詰められて,気持ちをぶっちゃけてしまうところは良かったけど,それ以降は,ぼやけてしまった。
 せっかく,良い演技のできる波瑠を起用したのにもったいない。

 ホットロードは観てないので,ひさびさに竹富聖花ちゃんを見たけど,大人になったなぁ。これからも活躍して欲しい。

 ところで小柳友は,「こやなぎゆう」なのか。
 親父が小柳トム(ブラザートム)だから,「こやなぎとも」だと思っていた。