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 馬淵みち代(麻生久美子)は,シナリオライターを目指して日々,努力しているがコンテストの1次審査にも通らない。

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 映画関係者とのコネ作りと考えて,シナリオスクールに入り直すが,そこで自分を天才と信じ込み,他人の批判ばかりして,自分は何も書かない天童義美(安田章大)に出会う。

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 みち代は天童に辟易するが,天童はみち代のことが好きになり,何かとつきまとう。
 しかし天童は,相変わらずであり,すぐにみち代を怒らせてしまう。

 みち代は,介護施設を舞台にしたシナリオを書くために,元彼の松尾健志(岡田義徳)に頼んで彼の働く介護施設でボランティアをさせてもらう。
 しかし,厳しい現実に圧倒されたにもかかわらず,ちぐはぐな内容のシナリオしか書けない上,元彼とよりを戻す,戻さないというようなグダグダの展開になってしまう。

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 一方,みち代に激しく罵倒された天童は,必死になってようやくひとつのシナリオを完成させる。
 その出来は,みち代を感心させるものだったが,やはり,コンテストの1次審査を通過することはなかった。

 みち代は最後の決意として,自分自身のことをシナリオに書き,それがだめだったらあきらめて田舎に帰ることにする。
 そうして迎えたコンテスト,みち代も天童も入選することはなく,シナリオスクールで一緒だったマツモトキヨコ(山田真歩)が大賞を取る。

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 田舎に帰るみち代に天童は,有名なシナリオライターになって迎えに行くと言う。


 最近では珍し目の夢が叶わないパターンの物語。
 「さんかく」や「純喫茶磯辺」といったダメ人間映画を得意とする吉田恵輔監督作品であるが,今回のダメっぷりは少し控えめ。

 天童は,最初は典型的なダメ人間として描かれるが,途中で改心しちゃうし,みち代は元彼との関係では,少しダメだけど,ダメ人間というほどではない。
 マツモトキヨコに至っては大賞まで取ってしまう。

 今回は登場人物のダメっぷりが薄れた分,みち代の才能の無さについては,極めて冷酷に描き切られている。
 監督自身が身を置く映画の世界だからか,どんなに報われるべき努力しても,どうしてもダメな人がいる,というよりは,ほとんどの人はそうだということを物語全体を通じて示している。

 しかし同時に,だから人間としてダメというわけでも,ダメな人生というわけでもはないことも感じさせる。

 どちらかというと,みち代の,人よりも長く続いた青春の物語という感じがする。