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 映画監督を目指しながらも,何も撮れない馬場大輔(今野浩喜)は,大学の映画研究会の同級生が監督をしているホラー映画で,いやいやながらメイキング映像担当をしている。
 すべてが嫌になった大輔が,自分が屋上から飛び降り自殺をする映像を撮ってやると意気込んでいるところに,幽霊F役(つまり端役)の木下桃子(田代さやか)に声を掛けられる。

 顔に大きなコンプレックスがあって女性と素直に話せない大輔に,彼女は屈託なく話しかけ,幽霊の演技の指導を頼んだり,自分もメイキング映像でインタビューして欲しいと言ったりして,親しげに振るまい大輔を戸惑わせる。

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 彼女の出現で,なんとなく浮かれた気分になる大輔だったが,映画の方は,編集中に怪奇現象のようなものが映っており,使えないシーンが出てきた。プロデューサーはこれをこの映画の売りにしようと言いだし,大輔に怪奇現象を追ったドキュメント映像を作るように指示する。
 監督は,大輔にこれはチャンスだと勧めるが,大輔は自分の世界観に反する映像は撮りたくないとごねてやる気を出さない。

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 自宅に帰ると大輔は母親からも責められ,映画研究会の同窓会でも責められ,いろいろなものに当たり散らすが,ふと,このドキュメント映像を通じて桃子と近づけるのではないかと思いつく。

 桃子は,ドキュメント映像の撮影に訪れた大輔に親しげに接するが,突然,様子がおかしくなる。

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 大輔が,撮影現場の廃屋に行ってみると,桃子たちの待機場所だった部屋にはたくさんの赤いてるてる坊主が吊されている。
 その場に,ふらりと現れた地元の少女(仲川遙香)は,これは恋のおまじないで,好きな人の名前を書いた紙に血を付け,赤いてるてる坊主の中に入れて吊すと恋が叶うという。

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 大輔は,自分の名前が書かれていることを期待して,桃子が吊したてるてる坊主を開くが,そこに書かれていたのは,監督の名前だった。
 本当にすべてが嫌になった大輔は,俺をこんな顔に生みやがってと,母親を怒鳴りながら,自宅の2階から飛び降りる。
 しかし,大輔は額が割れて流血しただけだった。

 彼は,桃子の家へ行き,彼女に当たり散らす。
 しかし,実は桃子もすでに精神的に限界に来ていた。

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 女優を目指すものの,いっこうに芽が出ず,後から入った同じ事務所のモデル上がりの娘に追い越され,事務所を辞めると告げると社長からはおめでとうと言われ,モデル上がりの娘に親切に同情され,暴れながら彼女に悪態をついていた。
 自分には何の価値も無いとわめき散らす桃子に対して,大輔は,自分が彼女と接していた間,どれほど幸せに感じていたかを話す。
 そして,自分が撮りたかったものが,何だったのかに気づく。

 キングオブコメディの今野浩喜は,ちょんまげプリンを観て,芝居の上手さに驚いたのだが,これまでは脇役として自然な演技をしていれば評価されたが,今回は主役なので,どこまでやれるのだろうかと心配した。
 しかし,物語のほとんど全部を占めるダメな奴ぶりは,元々のキャラなのでとても自然だったし,クライマックスでの鬱屈した心情の吐露と,普段なら鼻白むような監督ぶりも,その場だけでも桃子を女優にしたいという気持ちがストレートに伝わってきて,良い演技だった。そのシーンには,正直かなり感動した。
 ジャカルタ行きが決まっているAKB48の元はるごん(なぜ「元」なのかは長くなるので省略)こと仲川遙香が出ていることもこの映画を観た理由のひとつ。彼女のキャラとはかなり違う少しミステリアスな役で驚いたけど,それなりに演じていた。

 全体的に,予想していたよりもかなりしっかりとした構成の映画で,良い意味で期待を裏切られた。ただ,あそこまで今野の顔が変だということに拘る必要があったのかは疑問もある。

 監督が舞台挨拶に来ていて,この映画が自伝的なものだと言っていた。
 そう聞くと,これが生涯の1作品になってしまわないことを願うばかりである。