ちょんまげプリンは,タイムスリップしてきたちょんまげの侍がプリンを作る話プラスアルファくらいかな,それでも十分面白いよな位の気持ちで見に行ったのだが,中村義洋監督をなめてました。
すごくたくさんのテーマを見事に描き切った素晴らしい作品だった。
江戸時代からタイムスリップしてきた旗本木島安兵衛(錦戸亮)の面倒をみることになった遊佐ひろ子(ともさかりえ)は保育園児友也を育てるシングルマザーである。
彼女は,家事や育児に非協力的な夫に愛想を尽かして離婚したのだが,その話を安兵衛にすると江戸時代の侍である彼は,女は家庭を守るべきだと言う。ひろ子は,江戸ではそうでも東京は違うと反論する。しかし,このシーンは今でも世の中の本音は江戸時代から変わらない事を皮肉っているようでもある。
ひろ子は,仕事をしたくて離婚したのだが,保育園の送り迎えで仕事も思いどうりにできないし,料理の方も全部冷凍物をチンになってしまっている。
女は家事をすべきだ言っていた安兵衛であるが,ただ世話になるだけでは申し訳ないと言って家事の担当を申し出る。
その事で仕事に打ち込めるようになったひろ子は出世を始める。これも有りそうな話で面白い。ひろ子の部下をキングオブコメディの今野が演じているが,「的な」「みたいな」とは一言も言わずに,良い演技をしている。
ここでまた面白いのは安兵衛の家事を息子の友也が積極的に手伝う姿である。ここから安兵衛と友也の心の交流が言葉ではなく映像で丁寧に描かれ,それが物語後半の感動へと繋がっていく。
安兵衛は家事に積極的に取り組み,家事の注意点を文語調で記録に残すのだが,これが「汚れのはなはだしきものは,アタックを溶きたる液に一晩つけおくべし」とか,おかしい。
安兵衛は,更にケーキ作りに手を出し,持ち前の几帳面さでつぎつぎと美味しそうなケーキを焼いていく。このシーンも,映画の帰りに思わずケーキを食べたくなるような素晴らしい表現である。
そして,安兵衛は父親のケーキコンテストに出場することになるのだが,決勝戦で助手に保育園児の友也を指名する。他の2組は助手はいずれも高校生であるが,普段から安兵衛と一緒に家事をこなし,ケーキ作りも手伝っている友也は十分に働く。しかし,10時間にも及ぶコンテストで疲れた友也が最後に大きな失敗を犯してしまう。安兵衛は,泣きじゃくる友也をいつもと同様,「男はやたらと泣くものではござらぬ」と叱りつけ,まだ,あきらめる必要ないと言って友也の失敗を見事にカバーして優勝を勝ち取る。このくだりだけでも,十分に楽しめるエンターテイメントになっている上に,ひとつの理想の父親像が示されている。
この優勝がきっかけで,安兵衛は有名なケーキ店で働くことになるが,徐々に忙しくなり,家事や友也の世話ができなくなる。
しかし,元々男が外で働き,女性が家庭を守るべきだと考えている安兵衛にとっては,むしろ望むところであり,ついにはひろ子に仕事を休んで友也の世話をしてはどうかと言う。
これにキレたひろ子は安兵衛に出ていけと言うが,このシーンはひろ子のかつての離婚の再現のようであるし,ひろ子自身が,妻が社会進出するのを快く思わない夫のようでもある。
その後,ひとりで安兵衛に会いに行った友也が行方不明になってしまうことから,物語はクライマックスに向かうのであるが,まさに「ちょんまげプリン」というタイトルから感じられるユーモアとともに,親子愛,社会問題,勇気,教育問題などを押しつけがましくなく,上手く盛り込んだ素晴らしい映画である。
そして,タイムスリップものとしても,とてもきれいにまとまっている。
すごくたくさんのテーマを見事に描き切った素晴らしい作品だった。
江戸時代からタイムスリップしてきた旗本木島安兵衛(錦戸亮)の面倒をみることになった遊佐ひろ子(ともさかりえ)は保育園児友也を育てるシングルマザーである。
彼女は,家事や育児に非協力的な夫に愛想を尽かして離婚したのだが,その話を安兵衛にすると江戸時代の侍である彼は,女は家庭を守るべきだと言う。ひろ子は,江戸ではそうでも東京は違うと反論する。しかし,このシーンは今でも世の中の本音は江戸時代から変わらない事を皮肉っているようでもある。
ひろ子は,仕事をしたくて離婚したのだが,保育園の送り迎えで仕事も思いどうりにできないし,料理の方も全部冷凍物をチンになってしまっている。
女は家事をすべきだ言っていた安兵衛であるが,ただ世話になるだけでは申し訳ないと言って家事の担当を申し出る。
その事で仕事に打ち込めるようになったひろ子は出世を始める。これも有りそうな話で面白い。ひろ子の部下をキングオブコメディの今野が演じているが,「的な」「みたいな」とは一言も言わずに,良い演技をしている。
ここでまた面白いのは安兵衛の家事を息子の友也が積極的に手伝う姿である。ここから安兵衛と友也の心の交流が言葉ではなく映像で丁寧に描かれ,それが物語後半の感動へと繋がっていく。
安兵衛は家事に積極的に取り組み,家事の注意点を文語調で記録に残すのだが,これが「汚れのはなはだしきものは,アタックを溶きたる液に一晩つけおくべし」とか,おかしい。
安兵衛は,更にケーキ作りに手を出し,持ち前の几帳面さでつぎつぎと美味しそうなケーキを焼いていく。このシーンも,映画の帰りに思わずケーキを食べたくなるような素晴らしい表現である。
そして,安兵衛は父親のケーキコンテストに出場することになるのだが,決勝戦で助手に保育園児の友也を指名する。他の2組は助手はいずれも高校生であるが,普段から安兵衛と一緒に家事をこなし,ケーキ作りも手伝っている友也は十分に働く。しかし,10時間にも及ぶコンテストで疲れた友也が最後に大きな失敗を犯してしまう。安兵衛は,泣きじゃくる友也をいつもと同様,「男はやたらと泣くものではござらぬ」と叱りつけ,まだ,あきらめる必要ないと言って友也の失敗を見事にカバーして優勝を勝ち取る。このくだりだけでも,十分に楽しめるエンターテイメントになっている上に,ひとつの理想の父親像が示されている。
この優勝がきっかけで,安兵衛は有名なケーキ店で働くことになるが,徐々に忙しくなり,家事や友也の世話ができなくなる。
しかし,元々男が外で働き,女性が家庭を守るべきだと考えている安兵衛にとっては,むしろ望むところであり,ついにはひろ子に仕事を休んで友也の世話をしてはどうかと言う。
これにキレたひろ子は安兵衛に出ていけと言うが,このシーンはひろ子のかつての離婚の再現のようであるし,ひろ子自身が,妻が社会進出するのを快く思わない夫のようでもある。
その後,ひとりで安兵衛に会いに行った友也が行方不明になってしまうことから,物語はクライマックスに向かうのであるが,まさに「ちょんまげプリン」というタイトルから感じられるユーモアとともに,親子愛,社会問題,勇気,教育問題などを押しつけがましくなく,上手く盛り込んだ素晴らしい映画である。
そして,タイムスリップものとしても,とてもきれいにまとまっている。