橋下らの首長連合に東国原は必要なのか | 永田町異聞

橋下らの首長連合に東国原は必要なのか

1955年から半世紀以上にわたる自民党政権は、数の優位で国会を形骸化し、自民党本部を事実上の国会として、この国を牛耳ってきた。


官僚の根回しのあと、自民党政調会の部会が激しい論戦の場となり、そこで決められたことが閣議決定されて、政府提出の法案となる。


国会は、自民党にとって論戦の場ではなく、数の力を頼りに法案をごり押しして通すための場に過ぎなかった。


「自民党をどげんかせんといかん」と言ったかどうか、東国原知事の意気込みは分からぬでもないが、永田町の自民党は、宮崎県連とまるで違うことくらい、先刻ご承知のはずだ。


数とカネがモノを言う世界。最大派閥・清和会の森喜朗と、派閥の垣根が低い参院を掌握する青木幹雄が、いまだに隠然たる力を持っている。


日本郵政の混乱で、青木の怒りを買った鳩山邦夫が、25日、ご機嫌伺いの青木詣でをしたのがそれを物語っている。


勇ましさは大いに買えるが、東国原が自民党に身を投じ、内部から党を生まれ変わらせようとしているとすれば、過信と幻想のドン・キホーテになりかねない。


25日、朝日新聞の単独インタビューに応じ、東国原は以下のように語っている。


「自民党は(戦艦)大和だと思っている。社会・経済情勢や国民の感情、世界の動きに臨機応変に対応できる組織体でないといけない」


「今のままでは民主党が圧勝してしまう。民主党のファシズムになってしまう」


「これに対抗するためには自民党が生まれ変わらなくてはならない」


「国を変えようという大きな目標に対し、知事の権限は微々たるものだった。自分はその限界を超えようということだ」


この記事を書いた記者は、東国原が自民党から総選挙に出馬し、自らが次期総裁候補となって自民党を変革する意欲があるという見方を示している。


自民党が生まれ変わらなければならないのは衆目の一致するところだろう。それを、東国原が単騎乗り込んでできるかというと、いかに東国原ファンでも、「それはお芝居の世界だね」といわざるをえないのではないか。


そうした東国原の動きとは別に、大阪の橋下知事や横浜の中田市長らが、地方分権を旗印に、首長連合、もしくは新党結成を模索している。


地方分権、すなわち霞ヶ関の中央集権的な全国一律行政の解体をめざして、まずは同志を結集する努力を始めたことを、大いに評価したい。


ただ、一つの懸念材料は、東国原との連携のあり方である。橋下が東国原を、本音はどうか知らないが、過大評価する発言を繰り返している。


橋下の同志であり、地方分権改革推進委員会(丹羽宇一郎委員長)のメンバーでもある神奈川・開成町の露木順一町長は、橋下とともに次のような提言をしたという。


「新党をつくり、東国原をシンボルにしたらどうか」


筆者は24日の記事でも書いたが、東国原がドン・キホーテに見えて仕方がない。


風車を巨人だと思い込み、やせ馬ロシナンテにまたがって巨人退治の手柄を得んがために突進する自称「遍歴の騎士」。


自民党に突進するとしたら、まさにそういう夢想的イメージが先行する。


その一方で、東国原はこうも言っているそうだ。「自民党からの立候補が実現しなければ、首長連合に参加する意思がある」。


手法は違うが地方分権への思いは一緒だという論法はたしかにあるだろう。しかし、筆者は東国原から、橋下のような純粋さを感じない。


筆者が最初に、疑念を抱いたのは昨年秋の宮崎県議会での、東国原の言動である。


東国原が宮崎のセールスに大活躍をしたことはテレビなどで全国に知れ渡った。しかし、労組などと衝突しながらも財政再建に大ナタをふるった橋下にくらべ、東国原が県政でどれだけの実績を残したかはあまり知られていないのではないか。


宮崎県議会で、一人の無所属議員がこう質問した。「財政は悪化し、将来への展望が見えない。知事はマニフェスト達成度をおおむね順調だというが、私だったらもっと厳しく評価する」


これに対して東国原が返した刃は議場内を凍りつかせるような鋭さだった。


「私なら、と言うならば、そういうお立場におなりになったらどうですか」


インターネットでの議会中継を見ていた筆者には、「知事になれないものが偉そうに言うな」とも受けとめられる傲慢な物言いに聞こえた。


偏見かも知れないが、東国原にはそういう一面がある。


自民党の大物、古賀誠がわざわざ宮崎県庁に出向いて三顧の礼で出馬を要請し、その夜の宴席にまで招いて語り合ったのだから、彼のアキレス腱ともいえる増長の虫が、しだいに大きくなっていることは想像に難くない。


東国原知事には、今一度、足元を見詰めなおすことをお勧めする。橋下知事らには、東国原の持つ魅力的な面だけに目を向けず、危うさをはらむ人気の実相をよく観察して、連携のあり方を冷静に考えていってもらいたい。


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