政治献金、与謝野と小沢のケースはどこが違うのか? | 永田町異聞

政治献金、与謝野と小沢のケースはどこが違うのか?

オリエント貿易という会社名を聞いて、思い当たる人はけっこう多いのではないだろうか。とくに、中小企業のオーナーなどは、営業のターゲットになりやすい。


「○○社長いらっしゃいますか」と旧知の仲のようにしつこく電話をかけてくる。ボーっとした社員が社長に取り次いでくれると、まずは第一段階クリア。


「近くをまわっておりまして、ぜひ社長にごあいさつを」。ふつうは、ここで投資話の類とピンと来るものだが、物腰の柔らかさに気を許すとつけ入られる。


あれこれ世間話を交えて話しているうち、いつしかリスクの高い商品先物相場の世界に誘い込まれることがあるから、社長初心者の方などは用心されたし。


さて、このオリエント貿易、名前を知られすぎたせいか、現在はエイチ・エス・フューチャーズという会社名になっている。


この会社に対し、昨年12月5日付で、農林水産省から商品取引受託業務停止の行政処分が下された。


農水省のHP に、処分の理由が書かれているが、それをそのままここで書いても、なにせ霞ヶ関文学でわかりにくい。


原文を読みたい方はHPをご覧になっていただくとして、要するに、処分理由は、やればすぐに儲かるような「不当勧誘」をして資金を預かり、商品相場への投資で客に損をさせるケースが数多く発生したということだ。断ってもしつこく勧誘が繰り返されたらしい。


この会社からダミーの政治団体を通じて与謝野馨財務相に資金が流れていたと言う趣旨の記事を、毎日新聞がスクープし、昨日の衆院決算行政監視委で、野党の追及をうけた。


与謝野財務相が民主党議員の質問に答えた内容から、与謝野とオリエント貿易の関係が明らかになった。


与謝野は昭和51年に衆院初当選したが、54年には落選した。その直後、友人がオリエント貿易の加藤幸男社主とともに「これにくじけず、また選挙にチャレンジすべきだ」と激励してくれたことから、加藤社主との深い縁ができ、55年の衆参同日選挙で返り咲いた。


その後、昭和56年、与謝野は加藤社主がつくった政治団体「政経政策研究会」に被推薦書を発行し、後援団体と認定。昭和56年から平成17年まで、毎月25万円、年間300万円の献金を受けていた。


以上が、与謝野が語る事実関係である。ただし「どのように政経政策研究会が資金を集めていたかは知らなかった」と釈明した。


毎日新聞の記事は、オリエント貿易のグループ5社の幹部社員から天引きした寄付金が政経会の原資だとして、ダミー団体である根拠としている。


ここで、小沢一郎と西松建設の関係を考えてみたい。小沢と逮捕された西松建設の前社長は、たしか面識がなかったはずである。小沢も与謝野と同様、献金を受けた政治団体の原資については「どこから出たカネかは詮索しない」と語っている。


つまり、政治団体の資金ルートについて、与謝野も小沢も関知しないと言っているのであり、その点では同じだ。もちろん、二人ともその背後の会社については知っているだろう。


問題は、小沢の場合、秘書が政治資金規正法の虚偽記載という違反容疑で起訴されていることだ。


「西松建設と書くべきところを政治団体名を記載したのは違法だ」という検察の解釈にもとづいている。


これでいくと、与謝野の場合も、寄付者として政経会の名ではなく、オリエント貿易グループの名を政治資金収支報告書に記載しなければならないことになる。


検察の解釈を適用すると、与謝野や、ほかに名前のあがっている二階俊博、森喜朗、尾身幸次らはもちろん、企業系の政治団体から献金を受けている多くの議員が虚偽記載の疑いをかけられても仕方がない。


そもそも、この法律の運用ルールが明確でないことが最大の問題なのである。


4月25日 にも書いたが、小沢事務所が政治団体から献金を受け取り、その資金源が西松建設だと知っていたとする。さて、これを政治資金収支報告書に記載する場合、献金者を政治団体とするべきか、それとも西松建設としなければならないのか。


その問いに対し、所管省庁の総務省は西松とも政治団体とも答えず、「法律上、寄付をした人を記載することになっている。寄付者が誰かは会計責任者が法律に基づいて判断することだ」という趣旨の回答をくりかえすのみなのである。


要するにルールが明確でないということだ。政治資金規正法はこれまで何度も改正されてきたが、政治家の都合でわざとルールを曖昧にしたまま抜け道をつくり、みんながやっているから怖くないと、安易に政治団体名記載を繰り返してきたのが実態ではないか。


小沢のことを「説明責任がなされていない」と繰り返し非難する麻生首相が、与謝野に関しては「しっかり説明しておられた」と臆面もなく言える、その根拠はいったいどこにあるのだろうか。


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