東国原の「見果てぬ夢」第二幕は開くのか | 永田町異聞

東国原の「見果てぬ夢」第二幕は開くのか

ラ・マンチャ地方の初老の男は自らを「遍歴の騎士」と思い込み、正義を広めるため人生をささげる決意を固める。理想か妄想か、ドン・キホーテの血湧き肉踊る冒険がはじまる。


東国原英夫知事の「見果てぬ夢」は、総理大臣になることだったのだろうか。


妻に去られた冴えないお笑いタレントが、幾たびかの挫折にもめげず、大学で政治を学んで宮崎県知事になり、みごとなトップセールスで地元にブームを呼び込んだ。


その政治劇第一幕は、賞賛の声と拍手喝采に彩られたが、主人公が第二幕の「国政の場」に進みたがって気色ばんでいる様子は、ありありとうかがえた。


自民党選対委員長、古賀誠がわざわざ宮崎県庁に足を運び、東国原に宮崎1区からの衆院選出馬を要請したのは、必ず「OK」をとりつけることができると踏んだからだろう。


そこには、この選挙区で6回の当選を重ね、失言問題で引退を余儀なくされた中山成彬の、楽観的な見通しと、党執行部への強い働きかけがあったと思われる。


宮崎1区について、自民党宮崎県連は元参院議員、上杉光弘を擁立する予定だったが、上杉と仲が悪い中山が宮崎1区支部長ポストを明け渡さないため、自民党本部は上杉を公認できないまま、現在に至っている。


中山は引退を決意したあと、東国原を後継者としたい思いが募ったようで、それを受けた自民党は昨年秋にも、菅義偉選対副委員長が東国原に出馬を打診した経緯がある。


強面の古賀はつとめて柔和な表情を浮かべ、約20分間、東国原と話し合った。


自民党執行部としては、内閣改造を断行し、人気絶頂に見える東国原を入閣させたうえで、解散、総選挙にのぞみたいというハラなのだろう。


おそらく、会談で、古賀は「入閣」を示唆する発言を、あの凄みのある顔でしたのではないか。


「自民党にはない新しい風を吹き込んでほしい」という古賀の言葉に、東国原は、ドン・キホーテのように血湧き肉踊る気分になったのだろうか、それとも、古賀の来訪を伝えられて以来、練りに練った考えがあったのだろうか。


「私を次期総裁候補として、自民党が選挙を戦う覚悟がありますか」


東国原は、そのくらいの覚悟で自民党が自己改革しない限り、国民の支持は得られないと言いたかったのだろう。


組織の古い固定観念に囚われず、一足飛びにでも思い切ったイメージ刷新をするべきだと、荒唐無稽に思われる「東国原総裁論」を突きつけたのだ。


しかし、その東国原の言葉を聞いた古賀の気分がよかろうはずはない。たたき上げの政治家である古賀は「知事になりたてのガキがなにを偉そうに」と内心、思ったに違いない。


ともかく「総裁候補にすること」が、マジで出馬の条件となり、マスコミに報道された。もちろん、こんなことに自民党が応じるわけはないし、国民も「東国原総裁」の自民党を望んでいるとは思えない。


「足もとを見ている」とか「そこまで自民党はなめられたのか」という党内外の声はともかく、直近のFNN世論調査で以下のような結果が出ているのは、東国原に国民が何を期待しているかの参考になるだろう。


注目知事の評価に関し、東国原知事を「評価する」は90.3%で、橋下知事89.3%、石原慎太郎60.7%、森田健作18.1%を上回っている。


しかし、国会議員の転身への期待度については、東国原49%、橋下50.5%、石原25.1%、森田7.9%で、知事としての高い評価からくらべると、一気にトーンダウンする。


それでも、49%が国政転身を期待しているというのは驚きだが、自民党総裁となるとまた、話は別だ。自民党総裁になることを期待するかどうかの世論調査をぜひやってもらいたい。


ただ、「総裁候補にするなら」と啖呵をきった以上、いい加減な妥協で出馬するようなことがあれば、東国原の人気、いや政治生命にもかかわってこよう。


人生の絶頂期を見極めるのは難しい。過去、政党の甘言に乗せられて多くの立派な方々が出馬し、落選の憂き目にあうなどして、人生が暗転した例は数多い。


上を目指すのは大きなリスクがつきまとう。東国原は独特の表現で出馬を断ったのか、それとも本気で、あんな条件を突きつけたのか。いまひとつ、東国原の本音が見えてこないことは確かだ。


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