もはやスキャンダル頼みか、自民党 | 永田町異聞

もはやスキャンダル頼みか、自民党

初めて自民党が下野し、細川非自民連立政権が誕生した1993年、自民党本部は千客万来だったそれまでの日常がウソのように、静まり返っていたという。


「自民党も終りだな」としょげ返る幹事長、森喜朗に、党組織委員長の亀井静香が言った。                      

                      
「夜陰に乗じて殿の寝首をかくしかないよ」


亀井静香は、森を説得し、裏舞台でひそかに細川首相のスキャンダル探しを進める。


このとき表舞台で、自民党は何をしたか。検察OBの松永光をトップとするダミーの調査委員会を公表し、目くらましに使った。


警察OBの亀井がつかんだのが、細川の資金の流れや、女性関係の情報だった。これを、どう活用して、細川を追い込むのか、周到に策が練られた。


まずは、週刊誌などにリークして細川スキャンダルに火をつけた。次に、表の主役として登場したのが野中広務だった。野中は細川の東京佐川急便からの1億円借り入れなどを国会で激しく追及した。


殿様の家系の細川にはスキャンダル追及に耐える力がなく、あっさりと政権を投げ出した。


その後、自民党は、あろうことか社会党を抱き込んで、政権を取り返す。自社対決に見えた55年体制が、実は自社馴れ合いであったことが、はからずも露呈し、社会党崩壊のきっかけとなった。


今の政治状況、筆者の目には、あのころと重なって仕方がない。このままいけば、政権交代の可能性が強く、自民党の下野が現実味を帯びてきた。


明らかに、自民党に計算外の事態が起きている。小沢一郎秘書逮捕によるマスコミの大騒動で、政権交代を望む民意の流れが反転し、細田幹事長は歓喜の雄叫びを上げたが、それもつかの間、再び、麻生政権の支持率は下降線を描き始めた。


西松建設事件の公判が開かれ、冒頭陳述のキーワード「天の声」に呼応するように、自民党幹部は再び「ときの声」をあげて、世間の空気を変えようとしたが、国民は思ったほどに乗ってこない。


自民政権凋落の戦犯の一人、安倍晋三がテレビに出て、民主党批判で麻生首相を援護射撃しても、話下手は相も変わらず、とても効果があるように思えない。


影の幹事長、菅義偉(選対副委員長)は、野党の切り札だった参考人招致を小沢一郎に求める考えをちらつかせて、スキャンダルに食らいつく。


自民党が、小沢とともに血祭りにあげようと目論んでいるのが、公明党・創価学会の天敵、石井一だ。


昨日のサンデープロジェクトだったか、細田幹事長が「永田町ではみんな知っていることだ」と、いわくありげな言い方をしたのは、厚労省局長が逮捕された郵便不正事件 と石井との関わりを匂わしたものだろう。


障害者団体への郵便料金割引制度を悪用したこの事件の首謀者、倉沢邦夫が、石井一の弟、石井一二の公設秘書を一時、つとめていたことは確かなようだ。石井一の私設秘書も数ヶ月、やったらしい。


倉沢が「民主党の大物政治家」の名詞を持って、厚労省障害保健福祉部を訪れ、障害者団体の証明書発行を依頼したということを、昨日のテレビ番組で自民党の誰かが話していた。石井一を思い浮かべてもらいたくて仕方がないようである。


倉沢のような古手の政治ブローカーともなると、いろいろな政治家の事務所に出入りし、秘書に裏情報を流すなどして親しくなる。


忙しい議員に代わり、秘書は様々な陳情や依頼を受け、省庁の担当役人に電話する。


「A事務所ですが、これからBさんという方がそちらに回られるそうなのでよろしく」。とりあえず電話一本しておけば、来訪者の機嫌を損なうこともないだろうというわけだ。


倉沢が石井事務所の名を出したとしても、そのようなレベルの話であれば問題はない。


むろん、倉沢の悪だくみに加担して分け前にあずかった人物が石井周辺にいるとすれば大スキャンダルに発展する可能性がある。


どうやら、麻生政権は、大阪地検特捜部が、石井一サイドに捜査の手を伸ばすよう期待をこめて、固唾をのんで経過を見守っているようでもある。


だとすれば、その捜査の進展状況の見極めしだいで、解散時期が左右されることになるのだろうか。


いずれにせよ、今の自民党が、民主党のスキャンダルを探し出し、あげつらうことを最大の選挙作戦と心得ているとすれば、勘違いもはなはだしい。国民が政治や社会に感じる閉塞感は、個人攻撃でスカッとするほど生易しいものではない。


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