麻生、古賀、平沼は何を話し合ったのか
昨日、麻生首相と細田幹事長はお互い慰めあったようだ。
「小泉さんが田中真紀子を切ったときだって支持率が下がったじゃないか」
だから、今回、鳩山邦夫総務相の首を切って、一時的に内閣支持率が急落しても心配ない、という解釈だ。
あのときとは、立ち回る役者も状況もまるで違うと思うのだが、そう解釈して「何とかなる」と、自らに言い聞かせたい気持ちは分からぬでもない。
麻生首相の、チョー楽観的タフさの秘密がここにある。どんなことが起きても、あまり悲観的に考えず、都合よく解釈する。二人ともこれまでの人生、よほど運よくきたのだろう。
それでも、母子家庭で育った苦労人の選対委員長、古賀誠はそれほど楽観主義者ではない。
その夜、都内のステーキ店で、麻生首相は古賀ら4人の政治家と会った。
古賀は、政令指定市長選での連敗や、マスコミ各社世論調査結果での劣勢でよほど危機感を抱いたのだろう。
「7月12日の東京都議選とダブルで衆院選をやったほうがいい」
そう、麻生首相に提案したことを、会合のあと、同席した久間章生が報道陣に明かした。
どうやら、東京都議選に関する自民党本部の情勢分析の結果が芳しくないようである。
都議選で負ければ、いまのところ局所的な麻生おろしが本格的に拡大し、自民党の混迷が深刻化して、分裂含みとなる恐れがある。
実は、この席に無所属の大物議員がいた。平沼赳夫である。周知の通り、郵政民営化への造反がもとで自民党を離れたが、保守系政治家の中心的存在として政界での影響力は大きい。
新党結成を模索する平沼との連携に、民主党の鳩山代表も前向きな考えを明らかにしているだけに、この時期、平沼の自民党重鎮との同席は気になるところだ。
やや国家主義的な色彩を強く出しすぎるきらいはあるが、信念を曲げない確固たる平沼の姿勢は、リーダーの資質を感じさせる。小泉政治で失った保守派の大物を、自民党が再び必要としはじめたようにも見える。
麻生首相に乏しい武士道的な毅然とした政治姿勢を求める空気が党内のどこかに醸成されつつあるのだろうか。
だとすれば、スポークスマン役を託された久間が口にした「都議選とのダブル選挙」というのは、ある種のカムフラージュであって、会合の真の目的は、平沼を自民党に取り込むための工作であったと見ることもできなくはない。
むろん、郵政造反組復党問題をめぐって反目した中川秀直らとの確執が解消しているわけではなく、自民党に対する平沼自身の失望や怒りも尾を引いているはずだ。
平沼としては、新党を結成して総選挙にのぞみ、選挙結果にうまく対応して、政界再編の主役に躍り出たいというのが本音だろう。そのためには、全方位的にパイプをつないでおく必要がある。
さて、話は戻り、東京都議選とのダブル選挙を古賀から進言されたといわれる麻生首相はどう考えているのか。ダブル選挙をするためには日程上、来週早々にでも解散しなければならないだろう。
19日(金)には補正予算関連の税制改正法案など重要三法案が参院で否決され、衆院で再可決される見込みで、条件は整いつつあるが、公明党を納得させるのは容易ではない。
創価学会組織の動員による独特の選挙戦術を展開する公明党にとって、ダブル選挙は不利と考える傾向があるようだ。
それでも、ここまで追い込まれたら、麻生首相も公明党のことまで考えるゆとりはないかもしれない。
7月12日の都議選まであと26日。都議選敗北の恐れを抱きながら、麻生首相はギリギリの決断を迫られている。
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