迷走政権の喧騒の中で静かに誕生した農水省新天下りポスト | 永田町異聞

迷走政権の喧騒の中で静かに誕生した農水省新天下りポスト

鳩山vs西川の郵政合戦はますますエスカレート、やれ世襲制限だ、定数削減だ、減反見直しだと、民主党を意識してかまびすしい政権公約づくりもまとまらず、自民党はダッチロールの飛行機のようになってきた。


コックピットで操縦かんを握っているはずの麻生首相と、副操縦士、細田幹事長は、肝心のときに逃げを決め込んでいるようで、いっこうに機体を立て直す動きが見られない。


背中の火に気づかない「かちかち山の狸」(谷川秀善参院幹事長)と、その優柔不断ぶりを嘆く身内の声をよそに、麻生首相は昨日も、なぜか、東京都議の選挙事務所を精力的に回り、都議の息子に「世襲がんばれ」とはっぱをかける能天気ぶりだ。


そんな政治の迷走のさなか、官僚組織は着実に、自己保存の手を打っている。


巨額赤字で経営再建中の農林中央金庫の子会社に、農林中金総合研究所というのがある。研究所の現在の社長は農林中金出身だ。この会社を舞台に、農水省の陰謀が深く静かに進行した。


話は、松岡利勝大臣の自殺や、後任の赤城徳彦、遠藤武彦の相次ぐ辞任騒ぎで、農水省が大揺れだった2007年9月にさかのぼる。


当時の大物事務次官、小林芳雄は就任わずか1年で唐突に退任を表明した。「省内の閉塞感を切り替えたい」というのが理由だった。


農水省を去った小林に用意されたのが、前述の農林中金総合研究所顧問という、暫定ポストである。それは、農水省事務次官の天下り指定席、農林中金理事長への「待合室」といえる。


つまり、先輩事務次官、上野博史理事長の後任に就くというコースに乗ったわけである。ところが、農林中金は金融業というより、実態は機関投資家だ。リーマンショック以後の金融危機で、所有する有価証券が値下がりし、5721億円の巨額損失を出して、上野理事長は辞任した。


当初の予定では、当然、小林が後任の理事長になるはずだったが、経営責任を取って辞めた農水OBのあとに、再び農水OBが天下りするという厚顔無恥なことは、さすがにできなかった。仕方なく、農林中金生え抜きの人物が理事長になることを農水省も認めざるを得なかった。


小林は行くべき場所を失って、宙に浮いていた。そこで、農水省が思いついたのが子会社、農林中金総合研究所に理事長ポストを新設することだった。


社長がいれば十分なはずなのに、小林のために理事長ポストまで設けて、いったい何をさせようというのだろう。親会社が巨額損失で火だるまなのに、理事長は社長以上の報酬を受け取る見込みらしい。


農林中央金庫は、言うまでもなく農水省所管の金融機関で、かつて、大蔵省の規制が及ばないのをいいことに住宅ローン金融専門の「住専」にカネを流し込み続けた。


その「住専」が破綻したため、7000億円近い巨額の税金を投入して農林中金を救う政策を強力に推し進めたのは時の自民党幹事長で農林族の実力者、加藤鉱一だった。


加藤といえば、今日の日経にその素顔を垣間見るような記事が載っている。


この国の農業にとって、最大の問題はコメの生産調整、すなわち「減反政策」だろう。石破農水相はその見直しを明言して、9日に政府が示した「骨太方針2009」に盛り込もうとしたが、族議員の猛反発で、頓挫した。


日経の記事はこう書く。


「生煮えの農政改革を骨太方針に書かせては駄目だ」。今月3日、永田町のうなぎ屋。自民党の加藤鉱一元幹事長、谷津義男元農相ら農林族の幹部らに迫られると、保利耕輔政調会長は黙ってうなずくしかなかった。


族議員が絡みつく農業既得権。農水省官僚のおいしい天下り先、農林中金。いずれも、これまでどれだけの血税が注ぎ込まれたのかを考えると、暗澹たる気分にさせられる。


昨日、「骨太の方針2009」の参考資料として、内閣府は財政再建のため12%まで消費税を上げる必要があるとの試算を公表した。


時代に合うよう、根本的な国の仕組みを変えることなく、流されて、ハコモノづくりや基金創設オンパレードの大盤振る舞い補正予算を組んだ挙句、消費税を今の2倍以上に上げる必要があるという。


なんとも行き当たりばったりの政治には、ほとほと愛想が尽きる。


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