テポドン発射と非対称ジメチルヒドラジンの恐怖 | 永田町異聞

テポドン発射と非対称ジメチルヒドラジンの恐怖

ミサイルか人工衛星か知らないが、日本に落ちてくる可能性がないとは言えない物騒な飛行体を、もうすぐ北朝鮮がぶっ放すらしい。


かの国が人工衛星だといくら言い張っても、衛星を軌道修正する制御装置が見当たらないそうだから、3段式の長距離ミサイル「テポドン2号改良型」というやつなのだろう。


迎撃ミサイルの準備をしているとはいえ、迎撃したら報復すると脅しをかけてくる凶暴な隣人に対し、誰も諭してやめさせることができないのが現実だ。何事もなく上空を通過してくれとひたすら願うしかないのかも知れないが、万が一を考えるとやはり怖い。


最も心配されているのが、ミサイルの燃料として使われている可能性が高い「非対称ジメチルヒドラジン」という聞きなれない発火性物質の強烈な毒性だ。


FNNの独自取材で明らかになった政府の影響分析によると、最悪の状況として、何らかのミスや故障により2段目が燃料を満載した状態で地表に落ちたときを想定し、次のようにシミュレートしている。


「爆発ととともに生じる炎の影響で、半径およそ700メートルの範囲で家屋や人体に影響が及び、さらに爆風や破片などの影響は半径900メートルにも及ぶ。30分以内に救出されないと、有毒ガスにより元の健康状態に戻れない危険な範囲は、中心からおよそ900メートル。さらに、30分以上吸い込んだ場合に健康被害が生じる有毒ガスの影響範囲は、半径9kmにも及ぶ」


落下の可能性は低いとはいえ、半径9kmの範囲が有毒ガスに汚染されるという戦慄すべき分析結果である。


非対称ジメチルヒドラジンは、皮膚につくと大やけどし、そのガスを吸えば肺がダメージを受ける。発がん性もあるとみられ、国際がん研究機関(IARC)の発がん性評価ではグループ2Bに分類されている。


日本政府の初動対応はというと、発射後5~10分以内に、報道機関や地方自治体に発射の第一報を伝えるが、現実にはマスコミの速報に頼るほかない。


また、どこの上空を通過中だとか時々刻々とわかるものでもなく、せいぜい1時間後くらいに、「○○付近に落下した模様」という結果が政府から知らされる程度のことだ。


つまり、落下場所予測も困難なうえ、仮に予測できたとしても避難誘導するより先に着弾するわけで、せいぜい発射の速報を聞いたら地下にもぐるくらいのことしかできないだろう。


ところが地下街や地下鉄やビルの地下などがあるのは、ほんの限られた場所であり、要するにどうしょうもないという結論になってしまうのだ。


予測される他国の蛮行に対し、自国の安全のためにそのミサイルの性能が高いことを願わなければならないという、この不条理は、なんとも切なく、腹立たしいことである。


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