イスラエル軍の空爆にコメントを出さない日本政府 | 永田町異聞

イスラエル軍の空爆にコメントを出さない日本政府

イスラエルが大変だというのに、麻生首相も、外務省も沈黙したままだ。


パレスチナ自治区ガザ地区への、イスラエル軍の大規模な27日の空爆で、200人をこえる死者と700人の負傷者が出ている。報復合戦で、全面衝突になる恐れが高まっているなか、日本政府の反応の鈍さは異常なほどだ。


新聞の首相動静によると、昨日の麻生首相はホテルオークラのフランス料理店で、外務省の藪中事務次官、佐々江外務審議官らと昼飯をとりながら会談した。タイミングから言って、緊急にイスラエルの空爆問題について話し合ったのだろうか。それとも、のんびり高級料理をを楽しんだだけなのか。


外務省のホームページをのぞいて見ると、26日発表の以下の声明文(一部だけ抜粋)があるだけだ。


「我が国は、パレスチナ武装勢力に対し、ガザ地区からのイスラエルに対するロケット攻撃を即座に停止することを要請します」


ガザ地区を支配しているパレスチナ武装勢力「ハマス」がロケット弾の攻撃をイスラエル領に仕掛けてきたことに対する批判声明だが、それなら、イスラエル側の報復攻撃である今回の空爆に対し、外務省は即座に何らかのコメントを発するべきであろう。


そもそも、11月初旬、イスラエル側がトンネル破壊作戦でハマス関係者を殺害したことが、事態悪化の発端だった。その後、ガザ地区からイスラエル領へのロケット攻撃が断続的に行なわれ、建物が破壊されるなどの被害が出た。ただし、イスラエル側に死傷者は出ていなかったのだ。


今回、イスラエル軍が空爆した地域には住宅が密集しており、死者のうち少なくとも10数人は女性やこどもといわれ、1日に軍事的攻撃で亡くなったパスチナ人の数は1948年の第1次中東戦争後、最多だという。


このあまりにひどい攻撃について、米国安全保障会議の報道官は「米国はイスラエルに、ガザのハマスを攻撃するさいに市民の犠牲者を出さないよう求める」(日経)という見解を発表したという。つまりは、イスラエル軍がハマスを攻撃することを容認しているということだ。


こうした米側の姿勢に配慮して日本政府が「だんまり」を決め込んでいるのか、それとも、ただ鈍感なだけなのかはわからないが、無謀というべき今回の攻撃に無反応なのはいただけない。


イスラエルが強攻策に打って出た背景には、総選挙を控えているという事情がある。ハマスのロケット弾攻撃に対する世論の反発を追い風に、右派野党が勢力を拡大しており、オルメルト首相には、空爆で世論を味方につけて選挙を有利に運びたいという思惑があったようだ。


総選挙が迫るわが日本でも、自公政権は、選挙用だと丸わかりの政策を平気で打ち出している。為政者はいずこも権力を守ることしか頭にないのだろうか。


麻生首相の昨日の夕食は帝国ホテル「なだ万」の日本料理。財務省の幹部とテーブルを囲んだ。冬休みだから文句は言うまいとは思うが、いつもながら、この人には思索の時間があるのだろうかと心配する。余計な心配には違いないが。


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