ナベツネと森、青木、山崎の会合、その目的は | 永田町異聞

ナベツネと森、青木、山崎の会合、その目的は

読売グループの総帥、渡邊恒雄は、「自民党の一大事」となれば、どうしても人任せにしておけないようである。


昨夜、森喜朗や青木幹雄ら、渡邊お気に入りの自民党重鎮が、山崎拓をともない、都内の料亭で渡邊を囲んだ。


周知の通り、福田政権誕生のお膳立てをしたのは渡邊だった。安倍前首相が辞任会見をした直後、外遊先のパリにいた森喜朗の携帯に、渡邊から国際電話があった。「山崎、古賀、青木は福田支持でまとまっている。残る仕事はあなたの派内の調整だけだ」。


帰国後、森が一気呵成に立ち回って福田が予定通り首相の座についたあと、小沢に連絡して「大連立」をもちかけ、森を交渉に向かわせたのも渡邊だった。


その後、支持率が低落する福田の「優柔不断」に業を煮やし、麻生太郎を日本テレビ本社に呼びつけて品定めをしたこともあった。麻生への「政権移譲」シナリオを考えた張本人は渡邊だったかもしれない。


ところが、期待を寄せた麻生政権も、思い通りにコトが運ばず、渡邊や森らが描いたシナリオは一行目から書き直しをしなければならなくなった。放っておけば、中曽根政権以来長きにわたって、渡邊が自らの権勢を保つ基盤としてきた自民党が、分裂するかもしれない。結党以来の危機である。


民主党との主戦場となる来年の通常国会で、17人の造反議員が出れば、政府与党は、白旗をあげるほかない。それだけはまず、食い止める必要がある。


表舞台では、昨日、河村官房長官が各派閥の領袖をまわり、政権運営の協力を求めて頭を下げた。政財界にかつてのような“大物寝業師”が影をひそめたいま、裏舞台では、渡邊の存在感が際立っている。


渡邊は当然、自民党の結束の必要性を力説したことだろう。とくに山崎は盟友、加藤紘一とともについ先日、小沢一郎と会談し、政界再編への布石かと噂されている。


衆参41人の議員を擁し、鉄の結束を誇るといわれる山崎の「近未来政治研究会」は、森の「清和会」、青木の「平成研究会」、古賀誠の「宏池会」に次ぐ勢力である。


しかも、山崎が自派に引き入れた石原伸晃は先の総裁選に出馬し、最近では「反麻生」発言を繰り返すなど、政界再編のキーマンの一人とも目される。日本テレビ出身でもあり、渡邊と親友の日テレ議長、氏家斉一郎は将来の総理候補として石原に期待しているフシもうかがえる。


もし「ポスト麻生」の有力候補として、石原の名が挙がったとすれば、山崎の自民党への執着は強くなるのではないか。少なくとも、山崎や加藤紘一の自民党離脱への抑止力となる可能性はある。


朝日の報道によると、会談の結果として「政治経験の豊かな人たちが党内の情報を把握し、政局の動きに適切に対処する」という認識で一致したことになっているが、こんなわけの分からない話でこの顔ぶれが揃うとは思えない。


損得勘定に敏感な山崎が、この会談のあと、どのような行動をとるか。それによって、会合で話し合われた真の内容が推測できるだろう。 (敬称略)


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