紙面に躍りはじめた「17」の数字 | 永田町異聞

紙面に躍りはじめた「17」の数字

「17」という数字が各紙に躍っている。自民党から17人が造反すれば予算関連法案が成立しない、ということが現実の問題として浮上してきたからだ。


来年1月の通常国会は天下分け目の与野党激突となるが、客観状勢は圧倒的に民主党有利である。第一に、民主党など野党勢がねらう標的は、大きくて脆弱だ。そこに、ドカンと大砲を撃ち込めばいい。


まずは、世紀の無駄遣いとなりそうな「定額給付金」が最初のマトとなる。それを含むのが今年度の二次補正予算と、その関連法案。補正予算は衆院議決が優先されるため成立するだろうが、関連法案が野党多数の参院で否決されたら、衆院で再可決しなければならなくなる。


そのときに必要なのが衆院の三分の二の賛成だ。現在の衆院議席は478で、その三分の二は319。自公の現有勢力は335だから、そのうち17人が造反すれば、法案は成立しない。


民主党は、余計なことを考えず、これまでさんざん叩かれてきた「定額給付金」の問題点をひたすら突いていくこと。それが、世論を味方につけるシンプルにして最大の戦略となるだろう。


自民党内に湧き出している現政権への不満分子は、迫る総選挙を意識して、必ず世論の風向きになびく。17人の離反は、十分ありうることだ。


野党がねらい定めるもう一つのデカイ標的はいわゆる「道路特定財源の一般財源化」問題だ。


救急医療や少子化対策などに使われるはずだった「一般財源化資金」が自民党道路族によって骨抜きにされた。麻生首相は「自由に使えるカネ1兆円を地方に配る」と繰り返していたが、首相の意向は完全に無視された格好だ。


1兆円を公共事業、それも8割を道路事業に限る交付金として地方に配分するという、政府与党の決定は、国民への重大な背信といっていいい。


したがって、これが盛り込まれる来年度当初予算案も民主党など野党勢力にとって、きわめて攻めやすいターゲットとなる。ここにも、余計な計略は不要だ。


自民党は、選挙で頼みの綱となる公明党との妥協や、族議員の既得権益という、自らを縛る荒縄にがんじがらめにされ、党の体質がはらむ自壊装置によって、少しずつ裂けはじめている。


民主党が、はやることなく、「国民目線」でこの自然の成り行きを見守ることができるなら、チャンスは自ずから巡ってくる。


逆に「政権」を目の前にして、議員諸公の「私欲」が噴き出してくるようなら、攻守逆転の大どんでん返しもあることを、肝に銘じておかねばならない。


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