政策の誤りが支持率低下の原因と心得よ | 永田町異聞

政策の誤りが支持率低下の原因と心得よ

民主党の小沢代表にそれほど“ゆとり”があるわけはない。


それでも、日経31%、産経FNN27.5%と末期的な内閣支持率が紙面に躍り、かたや小沢代表が「超大連立」の選挙管理内閣構想をぶち上げたとなると、もはや勝敗の行方が見えたかのような幻想にとらわれる。


「超大連立」は麻生首相の退陣を前提にした構想だ。「この調子では麻生政権はもたない。退陣すれば、自公がたらいまわしでまた首相の顔をすげ替えるわけにはいかんだろう」(小沢代表)。だから、与野党で危機管理など最小限の国政運営ができる暫定内閣をつくって、衆院を即時解散するというものだ。


小沢発言の真の意図は、はかりかねるが、麻生首相がこの構想に乗るわけもなく、「大連立」という言葉だけが独り歩きしたり、「小沢は余裕綽々」のイメージが広がると、かえって民主党にはマイナスかもしれない。


が、たしかに小沢には、麻生官邸と自民党内の焦りがもたらすエラーを待っていればいいという、気持ちもあるだろう。放っておけば、自公政権は自壊するかもしれない。


迷いのなかでは、物事を見誤るものだ。麻生首相の失言を恐れ、執行部が党首会談での麻生節を封印したら、かえって支持率が低下した。そう見えた側近の議員や秘書官らが党執行部をこう批判したという。


「しゃべるな、しゃべるなと、みんなが首相を抑えるからいけない」「党首討論は遠慮しすぎだ」(朝日)


はたしてそんなことだろうか。「麻生節」を復活させたところで、効果はないだろう。問題は、首相としての手腕だ。トップダウンを装ってみても、全て人任せにし、人に言われて修正する。官僚を使うどころか、官僚の言いなりになり、肝心の政策はいっこうに進まない。


結局、公明党の政策だけは重視して「定額給付金」という愚策を打ち出し、日本の「国柄」を壊しかねないままの内容で「国籍法改正案」 を閣議決定してしまう。


こういう根本的なところを抜きに、いくら大手雑貨店で雇用問題重視のパフォーマンスをしたところで、人気回復につながる道理がない。


いまさら「首相には堂々と、そして熱く国家を語ってほしい」(産経、石橋文登記者)という呼びかけに応えて、麻生首相が再び熱弁をふるいはじめても、いったん冷めた国民の気持ちはそう簡単に戻らない。


「無謬性」に執着する官僚を一喝し、公明党への遠慮も捨て、思い切って「定額給付金」を撤回し、国籍法改正は「ニセ日本人」をつくらないよう、例えばDNA鑑定を義務づける。そこまでのことができれば、麻生首相の失言や誤読など小さいことに見えてくるだろう。


そこではじめて、小沢民主党と対等に戦うことができるのではないか。「枝葉」にとらわれることはない。首相公邸に集まった幹事長や幹事長代理に「早く家に帰ったほうがいい」(日経)とたしなめられ、昨夜はホテルのバーをパスして早々と帰宅したようだが、飲みたいなら飲めばいいではないか。


もちろん、やるべきことをやらなければ、些細なことでも批判される。「選挙より政策」と言ったのだから、選挙の結果を心配するより、早く国民を安心させる政策を具体化させるしかない。


できないのなら、すぐにでも解散し、国民に投票権を行使させてほしい。それしか、われわれには政治に参加する機会がないのである。 (敬称略)


より多くの方に読んでいただくため、よろしければクリックをお願いします↓↓

未設定