最強の発ガン物質「カビ毒」汚染米、将来の健康被害は心配ないのか | 永田町異聞

最強の発ガン物質「カビ毒」汚染米、将来の健康被害は心配ないのか

カビから生まれる最強の発がん物質「アフラトキシンB1」。三笠フーズが農水省から買った事故米の一部がこれによって汚染されていた。太田誠一農水相は「人体に影響がないことは自信を持って申し上げられる。だからあんまりじたばた騒いでいない」と発言し、世間のひんしゅくを買ったが、彼は殺虫剤「メタミドホス」のことしか頭にないようだ。「焼酎は蒸留する過程で有害なものが分かれていくから毒性はほとんどない。中国ギョーザに比べて60万分の1の低濃度」と能天気なことを言っている。三笠フーズは2003~08年度の6年間、事故米計1779㌧を政府から購入。メタミドホスに汚染された米は800㌧を占める。問題はカビ毒「アフラトキシンB1」に汚染された米9.5㌧だ。熊本、鹿児島の焼酎メーカー数社に売られた04年度購入のベトナム米など3.8㌧がアフラトキシン汚染米の一部だという報道がある。三笠フーズは「カビの部分は取り除いて売った」と弁明しているが、実はこのカビ毒、そんなに生やさしいものではない。カビがなくなってもカビ毒は残存する場合が多いのだ。カビ毒のうちでも最も恐ろしいのが「アフラトキシンB1」である。毒性はダイオキシンの10倍以上といわれ、また地上最強の発ガン物質でもある。15g/kg(g:百万分の1g)という微量のアフラトキシンB1を含んだ飼料で飼育されたラットは、全て肝臓ガンになったと東京都健康安全研究センターは報告している。幸い、日本にはアフラトキシンを生むカビはほとんど棲息していない。しかし、インド、タイ、アフリカ、北米南部など熱帯や亜熱帯地方からの輸入食品は要注意だ。わが国の輸入検疫では、 落花生、ピスタチオナッツ、ブラジルナッツ、ジャイアントコーン、アーモンド、クルミ、チリペッパー、レットペッパー、ナツメグ、ハトムギなどが検査されている。今回の汚染米について、農水省が問題の焦点を中国ギョーザ事件で馴染みになったメタミドホスに当て、「基準の5倍が検出されたが健康上の問題はない」と説明しているのは、アフラトキシンB1から目をそらす意図を感じる。アフラトキシンB1汚染に関し、農水省や厚労省はもっと詳しく調査して公表する必要がある。例えば、これまでに事故米を政府や商社から買い入れた三笠フーズなど3社に、それぞれどれだけアフラトキシンB1汚染米が売られ、どこの酒造業者や菓子メーカーなどに流れていったのか。そしてそれらの会社が汚染米を原料につくった食品が、どの地域のどの店で、どのくらいの期間にわたって売られていたのか。そういう追跡調査が必要だ。微量のアフラトキシンB1を含む食品でも、長期にわたって摂取し、体内に蓄積されていけば、肝臓ガンを発症する可能性がある。汚染の恐れのある焼酎などを愛飲していた人も、調査によって、将来の健康被害に怯えないですむことが分かれば、それでひと安心だ。アフラトキシンが発見されたのは昭和35年、英国で10万羽以上の七面鳥が死亡した事件がきっかけだった。飼料に使用されていたブラジル産のピーナッツミールからこれが見つかった。アフラトキシンには10種類以上あり、アフラトキシンB1のほか、B2、G1、G2、M1が問題視される。平成16年、ケニアで高濃度アフラトキシン汚染のトウモロコシを食べた120人が急性肝炎の症状で死亡している。白須敏朗農水事務次官が、アフラトキシンの猛毒性を認識したうえで「私どもに責任があると考えているわけではない」という発言をしたとすれば、それこそ犯罪的である。猛毒を含んだ食品を、たとえ工業用名目にせよ政府が売るべきではない。前回のブログでも指摘したように、相手国に抗議して返品するか、即廃棄しか選択肢はない。*より多くの方に読んでいただくため、よろしければクリックをお願いします↓Blogbanner2人気ブログランキングへ