日露戦争で日本を支援したリーマン・ブラザーズの破綻 | 永田町異聞

日露戦争で日本を支援したリーマン・ブラザーズの破綻

リーマン・ブラザーズといえば、その昔、日本政府が日露戦争の資金を調達した投資銀行だ。六本木ヒルズ29-33階に東京オフィスがあり、最近ではホリエモンに、ニッポン放送株買占め資金八百億円を提供したことで知られる。この銀行が経営破綻に追い込まれるほど、米国の金融危機は深刻なのだが、実際には米連邦準備制度理事会(FRB)がドル札を増刷して市場に流せばカネはまわる。ドルが石油や商品取引市場の決済に使う基軸通貨である限り、底なしの暴落が起こることはない。むしろ、ドル安や資源・食料高騰による世界経済への影響のほうが心配だ。金融の話は専門家に任せるとして、まずは日露戦争から始まる日本とリーマン・ブラザーズとの奇しき因縁についてふれてみたい。ジェイコブ・シフ。ユダヤ資本家の「世界支配」が語られるとき、ロスチャイルドやロックフェラーとともに必ず登場する人物である。ドイツ・フランクフルトのユダヤ人街でシフ家とロスチャイルド家は同居していたが、ジェイコブ・シフは1865年、アメリカに渡り、金融界に飛び込んだ。その後、リーマン・ブラザーズの前身、クーン・ローブ社の頭取になったジェイコブ・シフを、ときの日銀副総裁、高橋是清が訪ねたのは日露開戦後のことだった。当時、日本の勝算は低いと見られて既発の外貨建て国債は暴落、戦費調達は困難な状勢だった。英国留学中の人脈を頼りに外債の引受先を捜していた高橋はロスチャイルド家の紹介で、シフのもとに向かった。シフは高橋に協力を約束した。「帝政ロシア打倒」をめざしていたからだ。数次に渡り、当時の日本の国家予算を上回る資金を提供した結果、日本を勝利に導いた。その後1917年には、レーニンらのロシア革命に2000万ドルの資金援助をしている。1920年にシフが亡くなった後、クーン・ローブ商会を買収したのがリーマン・ブラザーズだ。FRBの統括のもとにドル紙幣を発行する連邦準備銀行の最大の株主は米政府ではなくロスチャイルド、ロックフェラーというユダヤ系財閥が占めているが、連邦準備銀行の源流をたどるとジェイコブ・シフに行き当たる。時は流れ、ホリエモン率いるライブドアがニッポン放送に買収戦争を仕掛けたとき、いくつかの投資銀行に声をかけたが、唯一、巨額の資金提供に応じたのがリーマンだった。リーマンは自社に絶対有利な条件でライブドアにCB(転換社債)を発行させる巧妙な手口を駆使しつつ、拝金主義のホリエモンを暴走させた。結果的に、ホリエモンは検察介入により敗北の穴倉に放り込まれた。このあとのライブドア株の急落が、今に至る長い新興市場の低迷につながり、多くの個人投資家のフトコロを傷めたことは周知の通りだ。その強欲で屈強なリーマン・ブラザーズでさえ、自らがつくりあげた金融資本主義のガン細胞に侵され、無限の転移により瓦解した。公的支援を期待した米政府やFRBに見捨てられたのは、想定内だったかどうかは分からない。すでに政府系住宅金融大手2社やベアー・スターンズを緊急支援した米政府やFRBが「公的資金による企業救済は軽々しく実施すべきでない」という証拠として、リーマンを“生け贄”に選んだという気がしないでもない。                        (敬称略)*より多くの方に読んでいただくため、よろしければクリックをお願いします↓Blogbanner2人気ブログランキングへ