総裁選から総選挙へ、自民党の考えるメディア戦略は | 永田町異聞

総裁選から総選挙へ、自民党の考えるメディア戦略は

自民党総裁選で広告代理店「電通」を上手に使ったのが小泉純一郎だ。橋本龍太郎、麻生太郎と戦った2001年4月の総裁選で、小泉は電通内につくらせたプロジェクトチームの提案を受け入れ、米国流のメディア活用術を実践した。「構造改革なくして景気回復なし」「自民党をぶっ壊す」「日本を変えます」これらのスローガンの繰り返し。いわゆるワン・フレーズ・ポリティックスだ。芝居気のある小泉は電通にとっても演出しやすい素材だった。 電通第九営業局は自民党や官公庁、政府系機関をスポンサーとする部門である。中曽根政権が国鉄をJRとして民営化したさいCI戦略を受け持つなど、自民党とは長期にわたる密接な関係を維持している。10日に告示される総裁選では、その電通も加わって、いつもとひと味違ったメディア戦略が繰り広げられそうだ。もちろん電通の絡み方は党、候補者個人、それぞれあるだろう。小池百合子などは側近の中山泰秀が電通出身だし、本人も元キャスターとしてこの分野に精通している。ただ、党全体としてのメディア対応として基本的に考えられるのは総選挙とうまくリンクさせることだろう。小沢民主党という強敵が待ちうける「総選挙」。それを目前にした「総裁選」を、「総選挙の一環」としてとらえ、候補者の発言にさりげなく「何でも反対の民主党」「責任感のない民主党」などの決まり文句を繰り返し織り込んでいく。それによって、党員だけが参加する総裁選を、その後に始まる国政選挙の有権者へのプロパガンダ期間として活用できるのだ。穿ち過ぎかもしれないが、すでにそのメディア戦略の一端が6日のテレビ番組で垣間見えたように思う。フジTV「報道2001」では、名乗りをあげている7人のうち、麻生太郎、小池百合子、与謝野馨という主役級3人がスタジオに姿を見せず代理出席。石原伸晃、石破茂、棚橋泰文、山本一太らは本人が出演した。麻生や与謝野は予定していた地元の行事を優先したようだが、あえて主役級の激突を本番まであとまわしし、リハーサルで脇役を大いに語らせた感が強い。代理を含めて7人が次から次へと発言すれば当然、民主党批判もどんどん出てくるわけだ。バランスをとるため民主党の出演要請にも応じたのだろう、さんざん自民党議員がしゃべったあとに、鳩山由紀夫と渡部恒三が現れたが、「多勢に無勢」で迫力不足は否めない。民主党はこの総裁選の期間、政敵のネガティブキャンペーンを受けるだけでは、奪い取れると思った政権が逃げていく。その恐れを十分に感じているから「われわれは王道を歩むだけです」と鳩山は強気を装っている。自民党にも、民主党にも、筆者からみて好ましい人、好ましからざる人がいる。以前にも書いたが「ガラガラポン」で政界を再編成してもらうのがいちばんいいと思っている。そのためには、選挙で今の政治状況を大きく変えなければならない。テレビとタッグを組むような「総裁選劇場」の宣伝効果は気になるところだが、巧妙なメディア戦略に乗せられることがないよう、冷静に一票を投じたい。                      (敬称略)*より多くの方に読んでいただくため、よろしければクリックをお願いします↓Blogbanner2人気ブログランキングへ