批判浴びた小沢代表、みのもんたに道路財源を語る | 永田町異聞

批判浴びた小沢代表、みのもんたに道路財源を語る

三月末、マスコミはどれだけ騒いだことか。「ガソリン暫定税率期限切れで大混乱する」。そして、四月。テレビも新聞も多数の記者を全国のガソリンスタンドに向かわせたが、思うような絵が撮れない。さぞかし、拍子抜けだったろう。

さしたる混乱がないとわかると、とたんに興味は失せたようだ。今日の紙面、ガソリンが期限切れ初日に全国平均で10.7円下がったことくらいしか載っていない。

「国民の生活を混乱させる」暫定税率期限切れの首謀者としてヤリ玉にあがっていた民主党代表、小沢一郎が今朝、みのもんたのTV報道番組に出演した。「理念なき政局至上主義者」と断罪する勇ましい新聞もあったが、さて、どんな話をするのか。
とりあえず、われわれ一般国民としては、二大政党の力が拮抗してきた状況を生かし、世論や選挙によって政治の流れを変えていかねばならない。バッシングにあった小沢の「見解」をしっかり聞く必要がある。

まず、福田首相が道路特定財源の一般財源化方針を打ち出したことについて。

小沢 「党議決定したわけでもない。閣議決定したわけでもない。裏づけがないから、対処のしようがないですよ」

自民党内では、いままさに、道路特定財源断固死守の道路族と、一般財源化賛成派議員の対立が表面化しはじめている。まず、党をまとめ、党議決定と閣議決定という裏づけをもって提案して欲しい、というのが小沢の主張だ。

つぎに、暫定税率期限切れによる歳入の穴をどうするかという問題。地方自治体が大騒ぎした件である。

小沢は「地方には迷惑をかけない」と前置きして、次のように理由を説明する。

暫定税率廃止による地方の減収は計9000億円だが、そのうち都道府県分の6000億円は国直轄事業のウラ負担として上納されるだけで、純粋に地方が使えるカネではない。だから、これを廃止する。市町村分の減収3000億円は、道路特別会計の繰越金があるので十分、補填できる。高速道路ネットッワークは早く完成させる必要がある。国の直轄事業はほとんど高速道路建設だが、それはもともと道路公団がやってきた事業だ。したがって、民営化した道路会社がやればいいことであり、ガソリン暫定税率の存廃とは関係がない。

つまり、高速道路建設は民営化会社に任せればよく、国の新直轄事業でやる必要はない。そうすれば、高速道路建設にかかる都道府県負担分は要らなくなる。ただし、市町村分は生活道路建設や補修に必要だから、道路特定財源繰越金から補えばいい、というわけだ。

国民にとってはガソリン代が安いに越したことはない。CO2削減のうえでガソリン代が高いほうがいいという政府与党の主張は、「環境」を錦の御旗にしたプロパガンダの色合いが濃い。「“環境”への逆行だと世界から批判を浴びる」という御用学者らの“たわごと”に耳を傾けることはない。

福田首相が道路特定財源の一般財源化を本気でやろうとしたら、自民党は分裂するだろう。道路族はいまのところ「やれるものならやってみろ」とタカをくくっているようだが、政権を維持するために「一般財源化」を避けては通れない。首相も不人気のまま終わりたくはないはずだ。

しかし、現実には自民党内で「ポスト福田」に向けた動きは日々、活発化している。町村官房長官や伊吹幹事長もバラバラな言動が目立ち、福田首相のもとで政府与党が結束しているようには見えない。実は、福田首相が孤立しつつあるのではないだろうか。

国民がこの国を大きく変えたいと思うなら、仕組みから変えるしかない。自民党にそれができそうにないなら、民主党に託すしかいまのところ選択肢はない。

小沢個人への懐疑心や、支持団体である自治労への不信は払拭できないが、ともかくも小沢民主党は「特別会計の一般財源化、独立行政法人の原則的廃止、天下り完全禁止」を謳っている。ほんとうにこれを実行してくれるのなら、多くの国民の希望に沿うことになる。

一度、民主党に政権をとらせてみるしか、硬直したこの国を動かす手立てはないように思うのだが、どうだろうか。そこから、望ましい政界再編の糸口も見えてくるのではないか。

                        (一部敬称略)