ギョーザ事件で中国の面子を守る日本政府 | 永田町異聞

ギョーザ事件で中国の面子を守る日本政府

中国人にとって命より大事なのは「面子」だという。だから「死んでも間違いを認めない」がモットーらしい。そんな人たちに中国製冷凍ギョーザ中毒事件の責任を云々しても所詮、ムダかもしれないが、中国国内で天洋食品のギョーザによるメタミドホス中毒が発生したと聞いても、口止めされたまま公表できぬ日本政府の腰抜けぶりには開いた口がふさがらない。日本に輸出していないギョーザで中毒事件が起こり、メタミドホスが検出されたことは「中国国内混入」を裏付ける重大な事実だ。にもかかわらず、読売新聞のスクープがなければ、いつまで隠し通していたかわからない。「中国国内での混入の可能性は極めて低い」としていた中国側が、それを覆す新たな事件展開を報告してくるのは当たり前のことだ。ところが、高村外相は「わが方に有利な情報を中国が伝えてきたことは多とする」と中国側の姿勢を高く評価する始末である。有利、不利の問題なのだろうか。おまけに「情報の世界では、提供者がしばりをかけた場合、よほど特殊な事情がない限り従うことが大原則」と公表を避けた理由を説明した。北京五輪に沸く中国の「面子」を守るために、よくぞ見え透いた理屈を作り上げたものだが、まったく説得力に乏しい。高村外相はサミット後の先月22日、シンガポール市内のホテルで中国の楊外相と会談した。このさい、同行記者団に「ギョーザ中毒事件について、協力して解決に取り組む方針を改めて確認した」と語っている。「生命と安全にかかわる大事なことだ。捜査と協力を強化したい。できるだけ早く真相解明したい」という楊外相の談話も報道された。すでに、事件が新展開しているこの時点での二人の会見が、いかに欺瞞に満ちたものであったかがよく分かる。遅ればせながらこの会見で、二人の外相が真実を公表しておれば、多くの日本人が中国に抱いていた疑念や不信感が多少は晴れただろう。中国政府高官はいまだ、情報の隠蔽に総反発する民主主義国家の国民心理と、「誠意」を求める日本人の心情を理解していないようだ。相手を思いやって誠意を尽くす者を信じ、面子ばかり気にしている者を信用しない。それが日本人というものだ。カネとハニートラップで操縦できる一部政治家のような人間ばかりと思ったら大間違いなのである。                      (敬称略)Blogbanner2人気ブログランキングへ