第一幕:2.サラの登場。それは教室の光だった(ちょっと盛った) | あらすじ道-幻想物語

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物語の基礎となるあらすじを書いているブログです。

二学期が始まり、相変わらずテオの周囲は灰色だった。ヤマさんの小言はパワーアップし、模試の回数も増え、教室の空気全体がピリピリしている。そんな中で、ひときわ存在感を放っていたのが、生徒会長のサラだった。

 

始業式の壇上で、落ち着いた声で力強く語るサラ。整った顔立ちと、背筋の伸びた姿勢は、どこか近寄りがたいオーラを放っている。テオにとって、サラは遠い世界の住人だった。学年トップの成績、誰にでも分け隔てなく優しい人柄、そして何よりも、あの隙のない完璧さ。同じクラスになったことは一度もないし、まともに話したことすらなかった。

 

そんなサラが、なぜか最近、テオの視界に入ってくるようになった。きっかけは、あの公園での出来事だ。真剣な表情でペンを走らせる彼女の姿が、テオの脳裏に焼き付いていた。完璧に見えるサラも、ああして一人で何かと向き合っているんだ、という発見は、テオにとって小さな衝撃だった。

 

ある日の昼休み、テオは購買に向かう途中で、生徒会室の前を通りかかった。ドアが少し開いていて、中から話し声が聞こえる。何気なく耳を傾けると、それはサラの声だった。

 

「…それで、文化祭のテーマはやっぱり『繋ぐ』でいきたいと思うんです。生徒一人ひとりの個性や才能を繋ぎ、先生と生徒、そして地域との繋がりも大切にしたい」

 

真剣な眼差しで、生徒会役員たちに自分の考えを伝えるサラ。その言葉には、熱意と信念が込められていた。普段、学校行事には無関心なテオでさえ、彼女の言葉に少しだけ心を動かされた。

 

(すげえな、あの人…)

 

その時、サラがふと顔を上げ、開いたドアの隙間からテオの存在に気づいた。目が合った瞬間、テオは心臓が跳ね上がるのを感じた。慌てて顔を背け、足早にその場を立ち去ろうとした。

 

「あ、あの…!」

 

背後から、サラの声が聞こえた。テオはドキドキしながら振り返る。

 

「何か用ですか?」

 

サラは、いつもの凛とした表情ではなく、少しだけ戸惑ったような、それでいてどこか親しみやすい笑顔を浮かべていた。

 

「い、いえ…あの、ただ通りかかっただけで…すみません!」

 

テオはどもりながらそう言うのが精一杯だった。自分の情けない姿に、心の中で盛大にツッコミを入れる。

 

「そうですか。でも、もし何か気になることがあったら、いつでも声をかけてくださいね」

 

サラはそう言って、また生徒会室の中へと戻っていった。

 

(…光、まぶしっ!)

 

テオは、先ほどのサラの笑顔を思い出し、心の中で叫んだ。それは、どんよりとした教室の風景の中で、一瞬だけ差し込んだ、希望の光…とまでは言わないけれど、少なくとも、いつもと違う色の光だった。

 

それからというもの、テオは少しだけ、サラのことを意識するようになった。廊下ですれ違った時、図書室で偶然見かけた時、体育祭の準備で忙しそうに動き回る彼女の姿を、つい目で追ってしまう。

 

(生徒会長って、あんなに色々やってるんだな…)

 

今まで全く興味のなかった生徒会の活動も、サラが関わっていると思うと、少しだけ気になるようになった。

 

そして、テオはまだ知らない。あの公園でサラが書いていたものが、彼と同じ「note」の記事だったということを。二人の間には、すでに目に見えない、小さな繋がりが生まれていたのだ。

 

続く