翔くんは話しが早い。
「ウン、よろしくね」
長年の付き合いだからか俺の性格や嗜好をよく分かってるからなのか
俺の理想としている、まだ上手く言葉に出来ない事柄でさえ瞬時に察知して具現化してくれる。
「じゃあ」
『あと』
この人は恋人にでさえそんな風なんだろうか。
『さっきの智くんの件、ちゃんとしときなよ』
駆け引きやちょっとした嫉妬からの喧嘩なんてスマートにこなして相手の気持ち汲み取って。
「…っ、なんだよちゃんとって」
『意地を張るなんて子供みたいなことやめなさいよ勝ち負けじゃないんだから』
その意地の張り合いで誕生日をフイにするような、そんな馬鹿なことはしないんだろな。
「………俺悪くないもん」
『はははっ』
俺が負けず嫌いなの、
バラエティだろうがなんだろうが負けたくないの、翔くんは分かってる。
てか智だって分かってるはずなのに。
なんで智はこんな風に折れてくれないの。
誕生日だっていうのに、俺を1番に考えてくれないの。
『じゃあ…それなのに松潤の方から擦り寄って行ったら智くん堪んないだろうね』
「へっ?」
『何があったか知らないけどほんとは智くんだって自分が悪いと思ってると思うよ?
なのに謝れずにいる中で松潤が来てくれたらさ、余計反省するしもっと離したくねーってなると思うよ』
「……翔くん恋愛も計算高いの?」
『言い方!』
まぁ…確かに?
例えば今から家に行ったとしてマンションの下で追い返すようなことしないよな普通。
むしろ突然来てくれたら嬉しいよな?
うん、俺なら嬉しい。最初はちょっと怒ったフリするかもだけど絶対許すし。
そのあとめっちゃイチャイチャするし。
『別に終わりにしたいわけじゃないんだし喧嘩って時間の無駄じゃね?愛されてナンボだし。可愛げあった方がいいでしょ』
「…計算高いとしか思えないけど」
『オイ。人のアドバイスを』
「ふははっウソウソ、ありがとね」
通話終了のボタンを押して…
そのまま連絡先一覧から智の名前を表示させる。
「電話………」
じゃないな、この場合。
やっぱサプライズで押しかけて
智:え、潤くんなんで?
俺:智とずっとこんな状態なのやだったし…電話より直接言いたいと思って…
智:潤くんは悪くないよ、俺が勝手に期待して拗ねて…
俺:誕生日のことだろ?せっかく智が言ってくれてたのに俺勘違いしてて…
智:仕事なんだよね?俺も分かってるのにワガママ言って…
俺:ゴメン智!(ムギュ!)
智:ゴメン潤くん!好き!(ガバッ!)
「だな!」
俺の中のリトルMJが2役を完璧に演じて結論が出た。
あ。智の好きな甘い物でも買っていこうかな?
この時間でもやってる店。
この時間でも太りそうにないやつ。
あとで調べよ。
「よし」
そうと決まれば今すぐシャワーを浴びて智の家へGOだ!