原油の値上がりなど資源の高騰の背後に、金融機関が資源を保有している問題がある。
市場で売買される資源を、よりによって金融機関が保有するによって、資源が実際の商品の価格とはかけ離れたものとなっているためだ。
今、金融機関の現物資源の保有を禁じようという動きが出てきているらしい。
それは一般人の生活への影響を考えてのものではない。金融市場の不安定要因だからというのがその動機。あくまでも彼らの儲けに支障をきたすという理由である。
動機がそうであっても、一般消費者にとってありがたい話ではある。
既にJPモルガン・チェースが商品現物取引からの撤退を表明しているが、他の金融機関が同調するか、これからどういう動きがあるか注目である。
もっとも、JPモルガン・チェースは、昔の日本の銀行のように会社を儲けさせてその利益をもらうという、欧米の金融機関の中では比較的堅実な経営で知られていた銀行。
経営危機に陥って体質を変えたが、現物取引撤退はある程度健全な経営思想が残っていた事の現れかも知れない。
いずれにしても、歓迎すべき動きではあるが、今後、どうなるかはわからない。今後の動きには要注目。
Bloomberg:ゴールドマンなど米銀による商品資産保有の禁止訴え-有力議員
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N45F626JTSEJ01.html
4月16日(ブルームバーグ):
ゴールドマン・サックス・グループ など米銀による商品ビジネスの保有が、金融機関本体だけでなく全世界のサプライチェーンの脅威になる危険があり、金融持ち株会社による現物資産の保有を禁じるべきだとシャーロッド・ブラウン上院議員(民主、オハイオ州)とエリザベス・ウォーレン上院議員(民主、マサチューセッツ州)が、米連邦準備制度理事会(FRB)に宛てた書簡で訴えた。
ブラウン、ウォーレン両議員は、FRBの意見募集に応じる16日付の書簡で、金融持ち株会社に対し、「指定倉庫やパイプライン、タンカーといった現物資産の保有を禁止する必要がある」と主張。
「これらのビジネスは、金融機関の安全性や健全性、評判を著しく脅かしかねず、法的にもかなりのリスクを伴う」と指摘した。
FRBは1月14日に現物商品ビジネスなどへの銀行の関与縮小に関する意見公募を行うと発表した。
上院常設調査小委員会のカール・レビン委員長(民主、ミシガン州)もFRBに宛てた書簡で、銀行に認める商品ビジネス保有の基準を強化し、投資額を制限するとともに商品業界で発生する不測の事態に備えて追加資本や「十分な保険」を義務付けるようFRBに求めた。
原題:Senators Urge Fed to Ban Bank Ownership of CommodityAssets (1)(抜粋)
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JPモルガンが商品現物取引から撤退、ゴールドマンやMスタンレーの動向に注目集まる
(2013年 07月 30日)
http://jp.reuters.com/article/domesticFunds/idJPL4N0G00XE20130730
米金融大手JPモルガン・チェース が、コモディティ(商品)現物取引事業から撤退すると発表したことを受けて、これまで商品現物取引で大きな存在感を示してきた金融大手ゴールドマン・サックス とモルガン・スタンレー の動向に関心が集まっている。
両行は、金融商品と商品現物の双方の取引に精通した「ウォール街の精製所」として過去20年間にわたって名をはせてきた。
ただ、モルガン・スタンレーは2012年以降、コモディティー部門の売却を検討。ゴールドマンも現物事業の縮小に動いている。
ロイターが情報公開法に基づき入手した連邦準備理事会(FRB)と両行の書簡によると、両行は、通常の商業銀行の範囲外の業務について、規定順守や事業売却をFRB側と協議している。
ゴールドマンは、少なくとも3月から、金属倉庫会社のメトロ・インターナショナルの売却を検討しているが、ロイド・ブランクフェイン最高経営責任者(CEO)がキャリアをスタートした商品部門のJアロンについては、維持する方針を再確認している。
モルガン・スタンレーは、昨年夏から商品部門のスピンオフ・売却の可能性を模索しているが、成果は出ていない。
最近の動きをみると、巨大部門である原油現物取引に資源を集中し、オーストラリアの電力など周辺市場から撤退する可能性もある。
問題は、両行が商品事業の将来を決められるのか、FRBの規制見直しにより選択の余地がなくなるのかだ。
FRBはこのほど、銀行にコモディティ現物市場での取引を認めてきた従来の方針を「再検討している」との声明を発表。
上院でも、銀行によるパイプライン・倉庫など商業資産の保有を認めるべきかをめぐって、公聴会が開催された。
銀行や大手商品取引会社の金属倉庫事業をめぐっては、飲料缶メーカーからアルミ価格の引き上げにつながっているとの批判が出ており、 連邦規制当局と司法省が調査に乗り出している。
コモディテイ現物取引事業からの撤退を表明したJPモルガンは、規制面の圧力が撤退の一因になったとしているが、FRBと銀行側の協議が撤退の決定に影響したかは明らかではない。
事情に詳しい関係筋は、規制リスクや評価に与えるリスクを踏まえれば、商品取引の利益は薄すぎるとして、同行が撤退を決めたと説明している。
ゴールドマン・サックスはすでに多くの商品現物取引事業を売却。今後は商品デリバティブなどの取引に注力する可能性もある。
サンフォード・バーンスタインのアナリスト、ブラッド・ヒンツ氏は、JPモルガン以外の金融機関も、規制強化の流れを受けて、商品現物取引の縮小を迫られるだろうと指摘。
「将来のコモディティ事業は、ファイナンスとリスク管理が中心となり、現物取引には消極的になるだろう。商品市場の専門用語を使えば、ウォール街の金融機関は『ペーパートレーダー』になる」との見方を示した。
ただ、モルガン・スタンレーは、他行を凌ぐ規模の原油の現物取引事業を展開しており、事情は複雑だとの見方も出ている。
ゴールドマン、モルガン・スタンレーのコメントはとれていない。
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