『繭の中の街』

宇野碧 著

(双葉社・2024年3月・図書館)

 

 

神戸の街で生まれる様々な出会いと

同じ数だけある必然的な別れを描く

7編の短編集。

 

 「エデンの102号室」

 繭の中のような街で、惹かれ合う男女は大切な日々を紡ぐ

 

 「Let’s get iost」

 その男は、魂で繋がる誰かを、理由も分からず探し求めていた。

 

 「つめたいふともも」

 就活に苦戦する男子大学生は、ある日紫陽花のような女性と巡り合う。

 

 「赤い恐竜と白いアトリエ」

 赤いクレーンが林立する湾岸のコンテナに、白を描く画家が棲んでいた。

 

 「プロフィール」

 摩耗する日々を送る港湾労働者の青年は、翼を持つ種族と邂逅する。

 

 「秋の午後、神様と」

 幼い日、山の麓の小さな神社で、自堕落な神様を見つけた。

 

 「待ち合わせの五分前

  (おわりとはじまりの詩)」

 不安と期待を半々に待ち合わせに向かう姿を、街が見守っている。

 

 

宇野碧さん、読むのはこれが2作目です。

前に読んだデビュー作『レペゼン母』が良かったので、新刊を読んでみたのですが、

あまりにもテイストが違っていたので戸惑いました。

 

長編と短編という違いだけでなく、

『レペゼン母』が元気なかーちゃんの話だったのが、

今回は、何というかファンタジーっぽさもあり、ふわふわした感じで

捉えどころのない、何というか文学的な作品が多かったです。

(語彙力なくてすみません)

最初の作品で何だか眠くなり(寝不足だっただけかもです^^;)

これはわたしには合わないなーと思いつつ、どうせなら最後まで読んでしまおうと

読みましたが・・・

やはりファンタジーでした。

 

ただ、舞台が全作、作者の出身地でもある神戸ということで、

わたしの住んでいる県の県庁所在地ということもあり、何度も訪れたことはあり

情景は思い浮かべやすかったです。

山と海に囲まれた坂の多い街

異国情緒たっぷりのおしゃれな街

そして1995年の被災

そんな神戸の「らしさ」は感じられました。