『清算』
伊岡瞬 著
(角川書店・2023年11月・図書館)
広告代理店「八千代アドバンス」は、経営悪化により、
会社を解散し清算することが決まる。
制作部の畑井伸一は、総務部長に任命され、経験のない
会社解散の手続きを担当することに。
そんな中、負債の返済用資金二億円が元社員と共に消えてしまう。
二億円の行方を捜す畑井の前に巻き起こるトラブル。
金を取り戻し、八千代アドバンスの秘密を”清算”することは
できるのか?
少し前に借りていた本ですが、期日までに読めずに延長し
今になりました。
まず、会社が立ち行かなくなったとき、倒産ではなくて
解散→清算という流れがあるというのは初めて知りました。
親会社が大手新聞社ということが大きいのかもしれません。
この作品を読んで一番感じたのは、主人公・畑井の人の良さ。
制作の仕事から全く畑違いの総務部長に任命され、残務整理を
一手に任されることになります。
生真面目で滅私奉公の気質を利用されたようなかたちです。
「清算部屋」でわずかな人数で業務にあたりますが、
周囲は何だか腹に一物みたいな人ばかりだし、
とっととうまく逃げ出した前任の総務部長は何かいけすかない女性だし。
二億円が部下と共に消えたかと思うと、殺人事件まで起こり、
もう逃げ出せばいいのに、と思いながら読んでいましたが、
そういうことはできない人なんですよね。
奥様が理解のある人だったことだけが救いです。
それにしても大金が手の届くところにあると、
人間おかしくなってしまうのかもしれませんねー。
ところで、今日は、本屋大賞の大賞が発表されました。
予想通りというか
『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈さん
わたし今回3作しか読んでいないのに、これが獲るような
気がしたんです。
(他に読んだのは青山美智子さんと夏川草介さんだけ^^;)
おめでとうございます!
映像化されるかもですね。
過去に『52ヘルツのクジラたち』町田そのこさん
と『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬さん 当てました^^