『中野のお父さんと五つの謎』

北村薫 著

(文藝春秋・2024年2月・図書館)

 

 

文藝編集者として出版社に勤める娘が仕事の現場で行き当たった<謎>を、

高校の国語教師のお父さんが解決してみせる<中野のお父さん>シリーズ第4弾!

かの夏目漱石は、英語の<アイ・ラブ・ユー>を<月が綺麗ですね>と訳した

__世間に広く伝わるこの話、

じつは根拠のない伝説だった!

ではこの伝説はいつ、どのように生まれたのか?

お父さんの推理が冴える!

ほかに芥川龍之介、松本清張、池波正太郎など、

<あの文豪>の<こんな話>を、お父さんが見事に解決!

 

目次

 漱石と月

 清張と手おくれ

 「白浪看板」と語り

 煙草入れと万葉集

 芥川と最初の本

 

 

『中野のお父さん』シリーズ第4弾。

今回は文豪に関する謎を解きます。

正直、この作品で提示される謎はわたしには高尚過ぎて(?)わかりづらい

ものが多かったです。

でも、編集者・田川美希と実家にいる中野のお父さんの雰囲気がなんだか好きなので

このシリーズはついつい予約入れてしまいます。

 

今回、印象的だったのは松本清張の話。

『点と線』は昭和30年代に書かれた大ベストセラーですが、

ミステリの専門家が書いたのではなく小説家が書いたんだから、

実は本格アリバイ崩しとしては穴があるらしいです。

何だか意外な気もしますが、読んでいないので何ともいえません。

東京駅のプラットホームの謎解き、

中学校の時ですから半世紀前、何の時だったか先生から聞いて

へー、面白そう、と思ったことを思い出しましたが、

でも読んでいないんですよね。

いつか読みたいです。

 

今回も落語家の人が登場する話があるのですが、

昔の噺家さんとか顔もわからない人が多かったなか、

わりと新しい米朝さん枝雀さん、文珍さんが出てきたのには何だか

ホッとしました。

 

本の世界はほんとに奥が深いです。