『人間標本』
湊かなえ 著
(角川書店・2023年12月・図書館)
人間も一番美しい時に標本にできればいいのにな
蝶が恋しい。蝶のことだけを考えながら生きていきたい。
蝶の目に映る世界を欲した私は、ある日天啓を受ける。
あの美しい少年たちは蝶なのだ。
その輝きは標本になっても色あせることはない。
五体目の標本が完成した時には大きな達成感を得たが、
再び飢餓感が膨れ上がる。
今こそ最高傑作を完成させるべきだ。
果たしてそれは誰の標本か。
幼い時からその成長を目に焼き付けてきた息子の姿もまた、
蝶として私の目に映ったのだった。
イヤミスの女王、さらなる覚醒。
15周年記念書下ろし作品。
湊かなえさんの最新刊。
湊さんは新刊が出ると必ず予約する作家さんですが、
何だか新刊久しぶり、と思ったら約2年ぶりでした。
新刊も久しぶりなら、黒湊さん=イヤミスはもっと久しぶり。
『人間標本』というタイトルは何を表しているのだろうと思えば、
何と、そのままの意味でした。
人間を蝶のように標本にしてしまった人のお話。
ページを開けばまず少年たちの標本のイラストが描かれた口絵。
何とも妖しい美しさを放っていてまずゾゾっとします。
そして蝶博士の手記になりますが、標本を作製する過程が、
まるで研究論文のように淡々と綴られ、もうグロくて
途中で読むのを止めようかと思いながらも結局最後まで読んでしまいました。
真相が二転三転して最後に裏で手を引いている人が、という展開でしたが、
多分、好き嫌いの分かれる作品かなと思います。
わたしは正直いってダメでした。
もう、黒湊さんが真っ黒すぎて・・・ほんとにイヤミスでした。
湊さんは、ほとんどの作品を読んでいるほど好きな作家さんなのですが、
今回はほんとすみません。